
GoogleがGemini 4 Argonを発表、出力100万トークンとサイバー防御に特化
Google DeepMindが次世代フロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表した。信頼できるサイバー防御者向けのFairwind Programを通じて、まず限定的な提供を開始している。
このモデルは出力トークン上限を100万に拡大し、ソフトウェアエンジニアリングのベンチマークであるDeepSWE v1.1で77.9%を記録した。サイバーセキュリティのCWE-bench v1では68%で同率1位となっている。
一般提供の前には段階的な安全性検証を進める方針だ。本記事では発表された性能、Google社内での活用事例、価格、今後の展開予定を整理して解説する。
Gemini 4 Argonの概要と段階的な提供

Gemini 4 Argonの大きな特徴は、複雑で長期にわたるワークフローで深い推論を持続できる点にある。実世界のソフトウェアエンジニアリング、法律や金融などの企業知識作業、サイバーセキュリティ防御の各領域で最高水準の性能を発揮するとしている。
段階的な提供アプローチ
このレベルのフロンティア能力を安全に提供するには段階的な進め方が必要になる。Google DeepMindは米国政府のモデル事前アクセスに関する自主的なプロセスに積極的に関与しており、アクセスを徐々に拡大している。
早期テスターからフィードバックを集めながらガードレールを改善した上で、できるだけ早く開発者、企業、一般消費者に提供する方針だ。
このデモは提供の段階を示している。現在はサイバー防御者向けの提供が始まっており、フィードバックを反映した後に一般向けへ拡大する計画だ。
導入価格
料金は入力トークン100万個あたり2ドル、出力トークン100万個あたり10ドルに設定された。キャッシュ済みの入力トークンは入力価格から95%引きになる。
Google社内でのエージェント活用事例

Gemini 4 ArgonはすでにGoogle社内のワークフローで実用されている。数千人規模のGooglerが専門的なコーディング作業、深い調査、文章作成でモデルの強みを報告しているという。
量子アルゴリズムの最適化
量子コンピューティングの研究者は、重要なアプリケーションのボトルネックとなるサブルーチンについて、時空リソース(量子ビット×ゲート)を最適化する目的でArgonを使用している。ある例では公開されているベースラインを数分で40%上回った。
データセンターのメモリ効率化
Argonエージェントのチームがフリート全体のプロファイリングテレメトリを解析し、Googleのデータセンター全体でメモリ最適化を自律的に特定して適用した。展開後には300TiB超のメモリを解放し、合計の削減量は500TiBから1PiBと見積もられている。
大規模コードベースの移行
ArgonエージェントはGoogle全体でC/C++コードベースのRustへの移行に取り組んでいる。対象はコアライブラリのre2やlibgav1では数万行、Fuchsia Zirconカーネルでは80万行超に達する。
これらの大規模書き換えは、本番環境への展開前に厳格な自動監査と手動監査、エミュレーションテスト、レビューを受けている。
libgav1の例では、Argonエージェントが既存のRustポートをベースにSIMDコード32K行を置き換えた。多くのプロファイル誘導実験を繰り返し、コンパイラの出力を調査して、自動ベクトル化される安全なRustコードを生成した。結果として、同一の映像出力でRustポートより2.7倍高速なメモリ安全な動画デコーダが完成した。
技術仕様とベンチマーク結果

出力トークン上限を100万に拡大
長く複雑なユースケースを支えるため、出力トークンの上限は従来の64Kから業界最高水準の100万に大幅拡大された。モデルが深く思考し、1回の軌道で数十万トークンを生成できる余裕があると、難しい問題を一括で解く新しい推論の深さが生まれる。
主要ベンチマークの結果
ソフトウェアエンジニアリングの実世界タスクを測定するDeepSWE v1.1では77.9%を記録し、新たな最高水準を樹立した。Googleエンジニアは日々のデバッグから大規模コード移行、アルゴリズム設計までArgonを日常的に使用している。
コード生成以外でも、金融、コーディング、法律、税務作業の経済的影響を測定するVals Indexで首位を獲得した。Vals Finance Agent v2(多段階の金融リサーチ)やHarvey’s Legal Agent Benchmark(法的調査と文書作成)でも首位級の結果を出した。
ZapierのAutomationBench(主要なビジネス機能のエンドツーエンド実行を測定)では51.3%で1位となった。長尺動画の理解力を測定するLVBenchでは91.7%で最高水準を記録している。
DeepSWE v1.1とLVBenchでは最高水準、AutomationBenchでは単独1位、CWE-bench v1では同率1位という結果になっている。
サイバーセキュリティ防御への特化

新時代のサイバー攻撃に備えて、Gemini 4 Argonはサイバーセキュリティ防御に高い能力を持つように訓練された。重大なソフトウェア脆弱性を自律的に発見、検証、修正できる。信頼できる防御者とGoogle社内チーム向けには、サイバーガードレールなしで提供され、フロンティア級の防御能力を完全に活用できる。
脆弱性の発見と修正
CWE-bench v1(セキュリティ脆弱性の修正能力を評価するベンチマーク)では68%で首位タイを記録した。これは3.8 Flash CyberのCWE-bench v0でのフロンティア性能を基盤にしている。
内部の包括的な脆弱性ベンチマークでは、20のプログラミング言語にわたる複雑なコードベースから広範囲の露出を発見した。Wizの内部ブラックボックス侵入テストベンチマークでは、ソースコードなしでライブWebシステムを解析する能力が試され、攻撃対象の発見、脆弱性の特定、検証用の概念実証の生成において3.8 Flash Cyberを上回った。
Wizとの連携実績
クラウドセキュリティ企業のWizは、無償で重要な公共インフラを保護する取り組み「Scan for Good」を通じてArgonをサイバーセキュリティ防御に利用している。初期のデモでは、世界中の病院で使われる医療ソフトウェアに個人情報を漏えいさせる重大な脆弱性を発見した。これは以前のフロンティアモデルが見逃していた深刻なリスクだった。
Argonは従来モデルが見逃していた脆弱性を発見し、検証から修正まで自律的に対応できる点が実用上の大きな違いだ。
包括的な安全対策と展開ロードマップ

フロンティアモデルを広く提供する前に、Google DeepMindは四つの主要領域で安全性対策を強化している。それぞれの取り組みは、モデルの能力が高まるほど悪用や誤動作のリスクも高まるという前提に基づく。
誤用の防御
サイバー攻撃や化学・生物・放射性物質・核(CBRN)攻撃への悪用を防ぐため、Argonは有害な要求を拒否しつつ、正当なデュアルユース科学研究を保持する設計になっている。これはFrontier Safety Frameworkに沿ったものだ。
社内外のレッドチームによる手動および自動の攻撃手法を組み合わせた堅牢性テストを通じて、対策の効果を検証している。
プロンプトインジェクションへの耐性
悪意ある指示や文脈で外部からモデルの動作を乗っ取る間接的プロンプトインジェクションに対して、Argonはこれまでで最も高い耐性を持つ。自動レッドチーミングと敵対的トレーニングを通じて、Gray SwanのIndirect Prompt Injection(IPI)ベンチマークで最高水準を記録した。
システムの強化
モデルの思考連鎖と行動を監視し、ユーザーの意図を超えた行動を取ろうとした場合に実行を停止する仕組みも導入された。同様のシステムをトレーニング実行の監視にも使用し、専任のインシデント対応チームにアラートを送る運用を行っている。
エージェント制御ロードマップに沿って、高リスクのトレーニングや評価の前にサンドボックス環境を隔離・封印する対策も進めている。これらのベストプラクティスはパートナーと共有し、業界全体の安全性向上を目指す。
一般提供は有料API顧客とGoogle AI Ultra加入者から始まり、その後開発者、企業、一般消費者へと順次拡大される予定だ。
この記事のポイント
- Gemini 4 Argonは出力トークン上限100万、DeepSWE v1.1で77.9%を記録した
- Google社内では量子計算の最適化、メモリ300TiB削減、C/C++からRustへの大規模移行で実績を上げている
- サイバーセキュリティ防御に特化し、CWE-bench v1で68%の首位タイを達成した
- 価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力同10ドルから始まる
- 一般提供は段階的に進められ、有料API顧客とGoogle AI Ultra加入者から開始される

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Shopifyが全AIショッピングチャネルに自動登録。デフォルト設定の全容
Shopifyが2026年1月から、対象ストアを新しいAIショッピングチャネルへ自動登録する仕組みを本格稼働させている。2026年9月8日のMeta「Muse」ローンチ当日には、対象ストアの商品情報が即座にMetaへ共有された。
現在、ChatGPT・Google・Microsoft Copilot・Metaの主要4チャネルでAIエージェント経由の販売が可能だ。チャット内で決済まで完了する「ダイレクトチェックアウト」もデフォルトで有効になっている。
この記事では自動登録の仕組み、ダイレクトチェックアウトの影響、アナリティクス計測で発生する盲点、停止手順までを解説する。
ShopifyのAIショッピングチャネル自動登録の仕組み

このデモは「Shopifyに管理を任せる」設定のオン・オフで表示がどう変わるかを示している。オフにすると3つの独立したスイッチが現れ、細かな制御が可能になる。
Shopify管理画面の「販売チャネル → Agentic」ページには「Allow Shopify to manage for me(Shopifyに管理を任せる)」という設定がある。この設定がオンの場合、Shopifyは対象ストアを新しいAIショッピングチャネルへ自動で登録する。デフォルトで有効だ。
Shopifyの公式ドキュメントによると、この設定では次の3つが自動的に行われる。Shopify Catalogを通じた商品アクセスの提供、関連チャネルでのダイレクトチェックアウトの有効化、新しいエージェンティックストアフロントチャネルへの自動登録だ。
Shopify Catalogは、多くのAIアプリが商品リストを取得する仕組みだ。Googleは例外で、Google Merchant Centerから商品情報を読み取る。
自動登録の最初の大規模適用は2026年1月12日に実施された。その後2026年9月8日のMeta「Muse」ローンチ時に、対象ストアの商品が即座にMetaへ共有された。MuseはMetaのAIエージェントで、ブラウザの操作やフォーム入力、価格交渉まで行える。2026年9月20日には、AmazonがMuseを自社ストアからブロックしている。Shopifyの自動共有からわずか12日後のことだ。
自動登録の対象となる主要チャネル
管理画面には「その他のチャネル」という行もあり、PerplexityのようなAIプラットフォームや、実験的なショッピングエージェントを開発するスタートアップが含まれる。この行もデフォルトでオンになっている。
ダイレクトチェックアウトで店舗訪問不要の購入が可能に

従来フローではサイト訪問が必須だったが、ダイレクトチェックアウトではチャットアプリ内で決済まで完了する。この違いがアナリティクス計測に影響を与える。
ダイレクトチェックアウトとは、顧客がAIチャットアプリ内のShopifyチェックアウトで決済を完了し、自社サイトを一切開かない購入方法だ。条件を満たすストアではデフォルトで有効になっている。
- Meta、米国・カナダ・メキシコ向けに販売するストア
- Google AI ModeとGemini、米国のストアが米国顧客向けに販売し、Google Merchant Centerアカウントを持つこと
- Microsoft Copilot、米国内で販売するストア
ChatGPTは仕組みが少し異なり、顧客を自社ストアのチェックアウトへ誘導する。ChatGPTアプリ内ブラウザで表示されるか、Web版なら新しいタブでチェックアウトが開く。
アナリティクス計測に生じる盲点

カスタムピクセル あり
サーバーサイド計測 あり
カスタムピクセル なし
サーバーサイド計測 あり
Shopify管理画面の注文記録 あり
ダイレクトチェックアウトではクライアントサイドの計測が止まる一方、Shopify管理画面には注文が記録される。売上分析の際は計測経路の違いを理解しておく必要がある。
ダイレクトチェックアウトでの購入では、自社サイトのトラッキングコードが実行されない。Shopifyによると、Google AnalyticsとカスタムピクセルはGoogle・Copilotのチェックアウトで発火せず、サーバーサイドトラッキングのみが機能する。Metaのチェックアウトではサードパーティ製アナリティクスピクセルが発火しない。
ただしShopify管理画面には注文が記録される。Meta経由の注文も「他の販売チャネルと同じ方法で」表示されるため、Shopifyの管理画面を見ていれば売上自体は把握できる。
このため、Google Analyticsや広告ダッシュボードで売上を確認しているストア運営者は、AI経由の売上を見落とす可能性がある。月に1回程度、注文リストをチャネル別にフィルタして確認する運用が推奨される。
自動登録を停止する手順と注意点

「Shopifyに管理を任せる」設定をオフにすると、次の3つのスイッチが表示される。
- Shopify Catalogアクセス
- 新しいストアフロントの自動登録
- ダイレクトチェックアウト
「新しいストアフロントの自動登録」をオフにすれば、既存チャネルは維持しつつ新規チャネルへの自動登録だけを停止できる。
チャネル別にも設定がある。MetaとCopilotはカタログアクセスとダイレクトチェックアウトのそれぞれにスイッチを備える。ChatGPTはカタログアクセスのみ、Googleはダイレクトチェックアウトのみだ。
カタログアクセスをオフにした場合、Shopifyは商品データの共有が停止するまで最大7日かかるとしている。即時に共有が止まるわけではない点に注意が必要だ。
特定商品だけをAIアプリから隠すには「unlisted(非公開)」に設定する。ただし非公開にするとサイトマップやGoogle検索、自社サイト内検索からも除外される。AIチャネル限定の除外はできない。
手数料は当面無料、Metaは将来の手数料徴収を示唆

2026年9月時点で、ChatGPT・Google・Microsoft Copilot・Metaはいずれも手数料を請求していない。ストア運営者が支払うのは通常の決済処理手数料のみだ。販売者としての立場も変わらず、発送・返品・カスタマーサービスは引き続きストア側が担当する。
ただしMetaは将来の手数料徴収を明確に示唆している。Mark Zuckerberg氏は2026年9月8日公開のポッドキャストで、Museについて「時間の経過とともに、取引額のごくわずかなカットを徴収するビジネスモデルを期待している」と発言した。手数料はMuseが取引を仲介する事業者から徴収する形になる見通しだ。
GoogleとMicrosoftからは同様の手数料計画は明らかにされていない。No HacksのポッドキャストEpisode 233では、MetaがMuseについて述べた内容と手数料の見通しを詳しく検証している。
AI参照トラフィックは急増中

Agenticページ上部に表示される「ショッパー数」は、AIアプリから自社ストアへの訪問数を表す。Shopifyのドキュメントでは「指定期間内にAIチャネルからオンラインストアへの総訪問数」と定義されている。
ただしダイレクトチェックアウトでの購入はWebサイトを開かないため、この数には含まれない。つまりこの数値は「AIエージェントが購入した数」ではなく「AIチャットアプリの回答からリンクをクリックして訪問した人数」だ。
Search Engine Journalの記事では、このショッパー数を「エージェンティックショッピングではなくLLM参照トラフィック」と整理している。AIチャットアプリの回答経由でストアに送られてきた訪問者という位置づけだ。
Shopifyは2026年8月、2026年第2四半期に「AI参照セッションが前年同期比197%増、注文数も3倍に増加した」と発表している。一方、AIエージェントがチャットアプリ内で完了した購入の具体的な件数は、Shopifyからも他社からも公表されていない。
Search Engine Journalの記事は、当面はすべての設定をオンにしたまま、Shopifyがチャネルリストに追加する項目を注視することを推奨している。ダイレクトチェックアウトの売上は、チャネル別にフィルタした注文リストでしか把握できないためだ。
この記事のポイント
- Shopifyの自動登録設定はデフォルトで有効、対象ストアは新AIチャネルに自動参加する
- ダイレクトチェックアウトではGAやピクセルが発火せず、計測の盲点が生じる
- 自動登録は「Shopifyに管理を任せる」設定をオフにすれば停止できる
- 現在は手数料無料だが、Metaは将来の手数料徴収を示唆している
- AI参照トラフィックは前年比197%増と急成長している

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CloudflareがAI決済2製品をベータ公開、サイト運営者が知るべき課金モデルとは
CloudflareがAI決済分野で動きを加速させている。9月30日に2つの製品をベータへ移行した。Monetization GatewayとPay Per Useだ。いずれもサイト運営者がAIエージェントやAI企業から収益を得るための仕組みである。
Monetization GatewayはAIエージェントからのリクエスト単位で課金する。Pay Per UseはAI企業がコンテンツを使用した際にパブリッシャーへ支払う。どちらも現在は米国拠点の利用者に限定したクローズドベータだ。
AI検索の普及でコンテンツの無断利用が問題視される中、この発表はサイト運営者にとって新たな収益化の選択肢となる。本記事では仕組みと実務への影響を解説する。
CloudflareがAI決済製品をベータ公開、収益化の選択肢が拡大

この比較図は3つの支払いモデルの課金タイミングを示している。縦に並んだ各モデルは、それぞれ異なる課金ポイントを持つ。
Cloudflareは7月1日にMonetization Gatewayを発表し、順番待ちリストを開設していた。今回のベータ移行で実際の利用が始まった形だ。Pay Per Useも同じくベータ段階に入っている。
3つの支払いモデルが揃った
Cloudflareが提供するAI関連の支払いモデルはこれで3つになった。既存のPay Per Crawlに加え、今回の2製品が加わった。それぞれ課金のタイミングと主体が異なる。
- Pay Per Crawlはクローラーがアクセスした時点でサイト所有者が設定した料金を支払う
- Monetization GatewayはAIエージェントからのリクエストごとに売り手が設定した料金を請求する
- Pay Per UseはAI企業がコンテンツを使用したと報告した時点でAI企業が設定した料金をパブリッシャーに支払う
この3モデルを理解すると、AI時代のコンテンツ課金の全体像が見えてくる。
Monetization Gatewayの仕組み

このフロー図はMonetization Gatewayの処理手順を示している。支払いが完了するまでコンテンツは提供されない。
Monetization GatewayはAIエージェントに対してリクエスト単位で課金する仕組みだ。API、MCPツール、データセット、サイトなど、リクエストがあるたびに使用が発生するリソース向けに設計されている。MCPツールとは、AIアシスタントが外部の機能を呼び出すための標準規格Model Context Protocolに対応したツールを指す。
リクエスト単位の課金フロー
このゲートウェイはx402プロトコルとHTTP 402 Payment Requiredステータスコードを使用する。x402プロトコルは、HTTP 402を利用した機械支払いのための規約だ。人間の介入なしにAIエージェント同士が支払いを処理できるよう設計されている。
HTTP 402は「支払いが必要」という意味のレスポンスコードだ。AIエージェントが保護されたリソースへアクセスすると、まず支払い条件を受け取り、支払い承認に署名してから再試行する。支払いはこのリクエスト内で処理され、売り手のサーバーが応答する前に検証される。つまり、支払いが確認できなければコンテンツは提供されない仕組みだ。
料金設定は固定と変動の2種類から選べる。固定価格は入力が同じなら常に同じ料金になる。変動価格は上限額を設定し、実際の使用量に応じて売り手側が請求額を報告する。決済は1回0.001ドルから100ドルまで対応する。
支払い処理にはUSDCステーブルコインを採用した。Baseブロックチェーン上でCoinbaseのx402 Facilitatorを経由する。将来的には他の支払い方法も追加する予定だ。
導入に必要な条件
現在はクローズドベータのため、利用するには条件がある。売り手と買い手の双方が米国に拠点を置く必要がある。売り手側はクレジットカードの登録、確認済みメールアドレス、開設から60日以上経過したアカウントが求められる。
さらにサイトがCloudflare経由でプロキシされており、作成から30日以上経過していること、ゾーンのセキュリティチェックを通過することが条件だ。アクセス申請はダッシュボードから行う。
4つのライブ実装も公表されている。Ceramic.aiはエージェント向けのWeb検索APIを固定価格で提供する。AI Gatewayは4つのオープンモデルで推論リクエストごとの支払いを受け付ける。Stocktwitsは市場シグナルをリクエスト単位で課金する。API2PDFはリクエストの計算量と帯域幅に基づく変動価格でPDF生成APIを提供する。
API2PDFの事例は示唆的だ。初月無料の後にクレジットカードを要求すると変換率が50%以上低下したという。AIエージェント向けの決済はスムーズさが重要だと示している。
Pay Per Useの仕組み

このフロー図はPay Per Useの役割分担を示している。AI企業が使用を報告し、Cloudflareが照合してパブリッシャーへ支払う流れだ。
Pay Per Useは別のアプローチを取る。パブリッシャーがコンテンツを提供し、AI企業がそのコンテンツを使用したと報告した場合に、AI企業からパブリッシャーへ支払いが発生する。
使用報告の流れ
役割分担は明確だ。AI企業が支払う用途と価格を定義する。パブリッシャーは提示されたオファーを承認するか拒否するかを決める。承認後は自分のコンテンツがどれだけ使われ、いくら稼いだかを確認できる。Cloudflareは登録、使用記録、請求、支払いを担当する。
使用の記録はAI企業側が自己申告する。タイムスタンプ、ソースURL、イベントIDを報告し、Cloudflareが各使用報告が登録済みパブリッシャーのものか照合する。そこから買い手に請求し、毎月パブリッシャーへ支払う流れだ。
ベータ期間中、Cloudflareは個々の買い手および参加を選択したパブリッシャーと直接連携している。買い手の企業名はまだ公表されていない。
パブリッシャーが注意すべき点
Pay Per UseではAI企業が使用用途と価格を設定する。パブリッシャーはオファーを承認するか否かの判断のみで、価格交渉はできない。また、使用データは買い手の報告に依存するため、実際の使用頻度との乖離があり得る。
各プログラムの規約には、AI企業がコンテンツをどう扱えるか、学習用途の制限なども含まれる。参加前に規約を確認する必要がある。
サイト運営者への実務的な影響

これら2製品は、AIエージェントの台頭でコンテンツ収益が脅かされているサイト運営者に新たな選択肢をもたらす。特にMonetization GatewayはAPIやデータセットを提供する事業者との相性が良い。Pay Per Useはコンテンツメディア向けだ。
SEO観点での評価
SEO対策の観点では、AI検索エンジンがコンテンツを読み取る動きが加速する中、その利用に対して対価を求める仕組みが整ってきた点が重要だ。これまで無断でクロールされ、引用される一方だったパブリッシャーに交渉の余地が生まれる。
ただし現段階では取引件数や支払い実績は公表されていない。収益化の効果を実証するデータはまだない。ベータ期間中の成果報告が待たれる。
導入を検討する際のチェックポイント
現時点で導入できるのは米国拠点の事業者に限られる。日本からはまだ利用できない。地理的な拡大は予告されているが、時期は明らかではない。まずは動向を追い、仕組みを理解しておくことが現実的だ。
- 自社コンテンツがAIエージェントに利用される頻度を把握する
- Pay Per Crawl、Gateway、Pay Per Useの違いを理解する
- Cloudflareを利用しているか、利用予定があるか確認する
- ベータが日本に開放された際にすぐ試せるよう準備する
今後の展開と注目ポイント

CloudflareはPay Per Useのベータで、パブリッシャーが買い手の提示価格に対抗してカウンターオファーを出したり、用途別に異なる料金を設定したりする方法を模索している。
また、Pay Per Useで購入するAI企業の社名が公表されるかも注目点だ。Gatewayについては新たな地域への対応が予告されている。日本からの利用開始時期も気になるところだ。
AIエージェント経済のインフラが整いつつある。サイト運営者はこの変化を収益化のチャンスと捉え、早期に情報をキャッチアップしておくべきだ。
この記事のポイント
- Cloudflareが2つのAI決済製品をベータ公開した
- Monetization Gatewayはリクエスト単位でAIエージェントに課金する
- Pay Per UseはAI企業の使用報告に基づきパブリッシャーへ支払う
- どちらも現段階では米国拠点の限定ベータである
- AI時代のコンテンツ収益化に新たな選択肢が加わった

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WooCommerce Dual APIが専用プラグインに移行、コアから削除へ
WooCommerce 11.2で、実験的なDual APIエンジンがコアから削除され、専用プラグインとして提供される。10.9から11.1まで利用できた検証用の商品・クーポンAPIも廃止されるため、使っていた開発者は対応が必要だ。
Dual APIとはPHPクラスからGraphQLエンドポイントを自動生成するコードファーストな仕組みで、WooCommerce 10.9で実験機能として導入された。今回の変更は、開発の自由度を高めるための構成変更である。
WooCommerce 11.2でDual APIの提供形態が変わる

WooCommerce 10.9で導入されたDual APIは、PHPクラスを定義するだけでGraphQLエンドポイントを生成できる実験的な拡張機能だった。これまではWooCommerce本体に組み込まれ、フィーチャーフラグで有効化する方式だった。
WooCommerce 11.2では、このDual APIエンジンがWooCommerceコアから削除される。代わりに、WooCommerce Dual APIプラグインとして独立したリポジトリで提供される形だ。
この変更により、WooCommerce本体のリリースサイクルに縛られず、Dual APIだけを柔軟にアップデートできるようになる。Dual APIエンジン自体は、独自のAPIを開発したいエクステンション開発者にとって引き続き有用だ。
検証用の商品・クーポンAPIは削除される
WooCommerce 10.9から11.1まで、商品とクーポンに関する検証用APIが組み込みで提供されていた。このAPIはWooCommerce 11.2で削除される。
この検証用APIを使っていた開発者は、利用を停止するか、自前のエクステンションで同等のAPIを構築する必要がある。注意点として、Dual APIプラグインをインストールしても、この検証用エンドポイントが復活することはない。
Dual API移行で開発者が知るべき変更点

独自のDual APIを開発しているエクステンション開発者には、いくつか重要な変更がある。フィーチャーフラグの廃止、APIビルダースクリプトの移設、ドキュメントの場所変更、そして依存関係の宣言方法だ。
プラグイン依存関係をヘッダーに宣言する
これまでDual APIエンジンを有効化していたフィーチャーフラグは利用できなくなる。代わりに、Dual APIプラグインをインストールして有効化することでエンジンが使えるようになる。プラグインの要件はWooCommerce 11.2以上、PHP 8.1以上だ。
エクステンションがDual APIエンジンに依存する場合、プラグインのヘッダーで両方の依存関係を宣言する必要がある。具体的には以下のように記述する。
Requires Plugins: woocommerce, woocommerce-dual-apiこの記述により、エクステンションのインストール時にWooCommerce本体とDual APIプラグインの両方が必要であることが明示される。依存関係の宣言は、プラグインの動作に必要な前提条件をユーザーに伝える重要な役割を果たす。
APIビルダーとドキュメントの場所が変わる
APIビルダースクリプトは、WooCommerce Dual APIプラグインのリポジトリに移動した。利用するには、プラグインをインストールするか、リポジトリをローカルにクローンする。
ドキュメントもDual APIプラグインのリポジトリ内に移設された。GitHub Pagesでも閲覧できる形で提供されている。開発者は最新のドキュメントをプラグインリポジトリで確認することになる。
エンドポイント登録のコード例
Dual APIプラグインはエンジンを提供し、エクステンション側で独自のGraphQLエンドポイントを登録する。WooCommerceのシンプルイベントサンプルプラグインから、登録方法のコードを示す。
use Automattic\WooCommerce\Api\Infrastructure\Main as DualApiMain;
add_action(
'plugins_loaded',
static function () {
if ( method_exists( DualApiMain::class, 'register_graphql_endpoint' ) ) {
DualApiMain::register_graphql_endpoint(
__DIR__,
'wc',
'/graphql/simple-events'
);
}
}
);このコードは、プラグインの読み込み時にDual APIエンジンが利用可能か確認し、利用可能であればGraphQLエンドポイントを登録する。エンドポイントのパスや名前空間はエクステンションごとに自由に設定できる。
Dual APIは引き続き実験的ステータス

Dual APIはプラグインに移行した後も、実験的なステータスは変わらない。Automattic\WooCommerce\Api名前空間以下のすべての要素は、後方互換性のない形で変更される可能性がある。
つまり、将来のリリースでAPIの構造が変わったり、削除されたりする可能性があるということだ。このため、本番環境のエクステンションでDual APIを使用することは推奨されていない。開発用途や検証目的に限定して使うべきだろう。
開発者コミュニティへのフィードバック募集

WooCommerceチームは、Dual APIエンジンが実際に有用かどうか、非実験的な状態でWooCommerce本体に含めるべきか、改善点はないかについて、開発者からの意見を求めている。
フィードバックはGitHubの専用ディスカッションページで受け付けている。Dual APIを試した開発者は、実際の使用感や要望を共有することで、今後の方向性に影響を与えることができる。
この記事のポイント
- WooCommerce 11.2でDual APIエンジンがコアから削除され、専用プラグインとして独立した
- 10.9〜11.1の検証用商品・クーポンAPIは削除されるため、利用者は移行が必要
- プラグインの要件はWooCommerce 11.2以上、PHP 8.1以上
- 依存関係はプラグインヘッダーで宣言する
- 引き続き実験的ステータスであり、本番利用は推奨されない

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