
Amazonが欧州で一括保管サービスAWDを開始 5カ国で8月20日から
Amazonが欧州で一括保管サービスAWD(Amazon Warehousing & Distribution)を開始する。8月20日からドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国の5カ国で利用可能になる。同サービスはAmazonセラーが大量の在庫を長期保管し、需要に応じてFBAフルフィルメントセンターへ自動補充する仕組みだ。
欧州でAmazonの販売を手がける中小事業者にとって、このサービスは物流面の大きな変化になる。特に繁忙期の在庫管理に悩むセラーには有効な選択肢となり得る。本記事ではAWDの仕組みと利点、そして物流チェーンへの影響を解説する。
AWDとは何か

AWD(Amazon Warehousing & Distribution)は、Amazonセラーが商品を一括でAmazonの配送センターに預け、長期間保管できるサービスだ。保管された在庫は、需要に応じてFBA(Fulfilment by Amazon)フルフィルメントセンターへ自動的に補充される。FBAとは、Amazonが商品の保管、梱包、発送、カスタマーサービスまでを代行する仕組みである。
一括保管と自動補充の仕組み
従来のFBAでは、セラーは商品をフルフィルメントセンターに直接納入する。しかしFBAには保管容量の制限があり、大量の在庫を一度に預けることは難しかった。AWDはAmazonの配送センターで長期の一括保管を行い、FBA側の在庫が減ると自動で補充する。これによりセラーは在庫を手動で移動させる手間から解放される。
AWDは物流の上流に位置する保管拠点の役割を果たし、FBAは注文に応じた出荷を担う。この2つの層をAmazonが一括管理することで、セラーの在庫管理業務が簡素化される。
AWDの料金体系
AWDの料金は、保管料に加えてFBAセンターへの処理費と輸送費が発生する。Amazonはセラー向けの説明で「定額制の長期一括保管」と表現しており、保管コストを予測しやすい設計になっている。ただし処理費と輸送費が別途かかるため、導入前に自社の物流コストと比較する必要がある。
欧州5カ国での提供開始

8月20日からAWDはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国で利用可能になる。これらは欧州最大のEC市場であり、Amazonが各市場でトップの地位を築いている。欧州のセラーにとって、AWDの開始は物流インフラの選択肢が増えることを意味する。
対象市場とAmazonの地位
欧州のEC市場は国ごとに商慣行や物流網が異なる。しかしAmazonは5カ国すべてで市場リーダーであり、多数の中小セラーが出店している。これらのセラーがAWDをどう活用するかが、今後の普及を左右するだろう。
セラーにとっての3つのメリット

AWDの導入により、セラーは主に3つのメリットを得られる。FBA容量制約からの解放、自動補充による品切れ防止、繁忙期の在庫管理の容易化だ。いずれも売上機会の損失を減らす効果が期待できる。
FBA容量制約からの解放
FBAには保管容量の制限があり、セラーは在庫を増やしたくても受け入れ枠の問題で制約を受けることがあった。AWDを利用すれば、Amazonの配送センターで大量の在庫を長期保管できるため、FBAの容量制約に縛られずに商品を仕入れることが可能になる。
AWDを利用する前と後では、在庫管理の自由度に大きな差が出る。容量制約に縛られずに仕入れができる点は、売れ筋商品の取り扱い数を増やしたいセラーに特に有効だ。
自動補充で品切れを防ぐ
Amazonの説明によると、AWDの自動補充機能は手動での在庫補充作業を不要にし、品切れリスクを低減する。売れ筋商品の在庫が減れば、Amazonが需要を判断してFBAへ補充する。これによりセラーは商品管理から発注業務に時間を割かずに済む。
繁忙期の在庫管理が容易になる
Prime DayやBlack Fridayなどの繁忙期は、短期間で需要が急増する。こうした時期に在庫切れを起こすと、大きな売上機会を失う。AWDなら事前に大量の在庫を保管しておき、需要の高まりに応じて自動でFBAへ補充できる。繁忙期特有の在庫不足を防ぐ手段として、特に中小セラーには実用性が高い。
物流チェーンの支配強化とセラー依存

AWDはセラーの在庫とFBAネットワークの間に、新たな物流の段階を追加する。これは利便性の向上と同時に、Amazonが物流チェーン全体を掌握する動きとも読み取れる。
物流チェーンにAWDが加わることで、商品の保管から出荷までの工程がAmazonの管理下に置かれる。セラーにとっては手間が減る一方、Amazonへの依存度が高まる構造になる。
Amazonの物流支配が強まる
AWDは、Amazonがセラーの在庫保管から配送までを一貫して担う流れを加速させる。Amazonは昨年、欧州でセラー向け手数料を引き下げる施策を実施している。物流サービスを拡充する一方で手数料を調整し、より多くのセラーを自社物流網に取り込む戦略が見える。
セラーの依存度増加
欧州には10万を超えるサードパーティセラーが存在し、Amazonの欧州店舗における売上の大部分はこれらのセラーによって生み出されている。特に中小企業が多い。AWDによって業務が簡素化される一方で、在庫保管から配送までAmazonに委ねる割合が増えれば、プラットフォームへの依存はさらに深まる。Amazonは自社を欧州の中小企業の「味方」と位置づけているが、その関係性は常に緊張をはらんでいる。
米国での展開と今後の可能性

AWDは米国で4年前にサービスを開始しており、すでに一定の実績がある。欧州への展開はその成功を踏まえたものだ。ただし欧州版には現時点で含まれない機能もある。
米国では外部販売チャネルにも供給可能
米国ではAWDに預けた在庫を、Amazonの販売チャネル以外にも供給できるオプションが提供されている。つまりセラーは自社のオンラインストアや他社のECモールへ商品を供給する際にも、Amazonの保管拠点を利用できる。しかし欧州版のローンチ時点では、この外部チャネルへの供給オプションは含まれていない。
欧州の今後の展開は未定
現時点で、AWDが欧州の5カ国以外に展開されるかどうかは明らかになっていない。ただ欧州のEC市場規模を考えると、今後対象国を拡大する可能性は十分にある。外部販売チャネルへの供給機能が欧州でも提供されれば、AWDの価値はさらに高まるだろう。
この記事のポイント
- Amazonが欧州5カ国で一括保管サービスAWDを8月20日から開始する
- AWDは長期の一括保管とFBAへの自動補充が特徴だ
- セラーはFBA容量制約なしで在庫を保管でき、品切れリスクを抑えられる
- 一方でAmazonへの物流依存度が高まる側面もある
- 米国では外部販売チャネルへの供給も可能だが、欧州版では未対応だ

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験
・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識
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