WooCommerce 11.1.0リリース。バリエーション画像ギャラリーが標準機能に

WooCommerce 11.1.0リリース。バリエーション画像ギャラリーが標準機能に

WooCommerce 11.1.0リリース。バリエーション画像ギャラリーが標準機能に

WooCommerce 11.1.0が2026年9月1日にリリースされた。今回のアップデートでは商品バリエーション画像ギャラリーが標準機能となり、専用プラグインが不要になった。Store APIとREST APIの応答速度も最大42%改善している。

今回のリリースは後方互換性を保っており、データベース更新を伴う。561件のプルリクエストがマージされ、77人のコントリビューターが参加した。WooCommerceを運用しているECサイトでは更新前に変更点を把握しておきたい。

この記事ではWooCommerce 11.1.0の主要な変更点を、店舗運営者向けと開発者向けに分けて解説する。更新作業の前に確認すべき注意点もまとめた。

WooCommerce 11.1.0の主な変更点

WooCommerce 11.1.0の主な変更点

WooCommerce 11.1.0では店舗運営者に直接影響する機能追加と、開発者向けの内部改善が同時に行われた。本番サイトへの適用前には公式の更新ガイドとチェンジログを確認することが推奨されている。

店舗運営者に影響する変更は3つある。1つ目は商品バリエーション画像ギャラリーの標準搭載、2つ目はEU顧客向け注文撤回フォームの追加、3つ目は仮想商品の管理画面表示の改善だ。これに加えて商品ギャラリーへの動画対応がベータ機能として導入された。

開発者向けにはブロックエディタアセットの統合、ブロック登録処理の最適化、注文アイテム削除ロジックの修正などが含まれる。特にStore APIとREST APIの応答速度は30%から42%改善しており、ヘッドレス構成や外部連携を運用している場合に効果が大きい。

WooCommerce 11.1.0の変更分類
店舗運営者向け バリエーション画像ギャラリーの標準化
店舗運営者向け EU顧客向け注文撤回フォームの追加
パフォーマンス Store APIとREST APIを最大42%高速化
ベータ機能 商品ギャラリーへの動画対応
店舗運営者向け  パフォーマンス改善  ベータ機能

上記デモはWooCommerce 11.1.0の変更点を影響範囲ごとに分類したものだ。青と緑が店舗運営者向け、オレンジがパフォーマンス改善、紫が実験的ベータ機能に該当する。

商品バリエーション画像ギャラリーが標準機能に

商品バリエーション画像ギャラリーが標準機能に

WooCommerce 11.1.0で、商品バリエーションごとに複数の画像を持たせる「バリエーション画像ギャラリー」が全ストアで標準機能として有効化された。これまでこの機能は「WooCommerce Additional Variation Images」という別プラグインで提供されていたが、今回のリリースをもって公式の専用プラグインは提供終了となる。

バリエーション画像ギャラリーとは、商品のサイズやカラーといったバリエーションごとに、複数の商品写真や画像を登録できる仕組みだ。たとえばサイズ違いのTシャツ商品で、MサイズにはMサイズの着用写真を複数枚登録し、LサイズにはLサイズの写真を複数枚登録できる。購入希望者が自分に合ったサイズの写真だけを確認できるため、購入決定の精度が上がる。

今回の標準化では設定画面の実験的機能フラグが削除された。データベース更新(11.1.0-1)により、過去に実験的フラグをオフにしていたストアでも自動的に有効化される。個別に切り替える必要はなく、WooCommerceを11.1.0に更新すれば全ストアで利用できる。

11.1.0以前(Before)
追加プラグイン 必須 プラグイン終了予定
バリエーション画像ギャラリーを利用するには専用プラグインの導入が必要だった。設定も個別のプラグイン管理画面から行う必要がある。
11.1.0以降(After)
WooCommerce標準機能 追加費用なし 全ストアで自動有効化
WooCommerce 11.1.0に更新するだけで全ストアで利用できる。実験的フラグは削除され、データベース更新で自動的に有効化される。

専用プラグインが不要になり、バリエーション画像ギャラリーはWooCommerceの標準仕様となった。既存の専用プラグインユーザーも移行作業なしでそのまま利用できる。

Store APIとREST APIのパフォーマンス改善

Store APIとREST APIのパフォーマンス改善

WooCommerce 11.1.0ではStore APIとREST APIの応答速度が大幅に改善された。ブロックタイプとパターンの登録処理が、ブロックを描画できないリクエストではスキップされるようになったことが主な要因だ。

Store APIとは、WooCommerceの商品データや注文データを外部から利用するためのAPIだ。ヘッドレス構成でフロントエンドとWooCommerceを接続する場合や、モバイルアプリから商品情報を取得する場合に使われる。REST APIも同様に外部連携の窓口となる。

今回の変更により、ブロックタイプ(block types)とパターン(patterns)の登録が、ブロックを描画・編集できないリクエストでは実行されなくなった。これまではAPIリクエストでも無駄にブロック関連の処理が走っていたため、応答時間が長くなっていた。変更後はStore APIとRESTリクエストの速度が30%から42%向上した。

11.1.0以前のAPIリクエスト(Before)
APIリクエスト ブロック登録処理 無駄に実行
ブロックを描画できないAPIリクエストでも、ブロックタイプとパターンの登録処理が実行されていた。これが応答時間を長くする要因になっていた。
11.1.0以降のAPIリクエスト(After)
APIリクエスト ブロック登録をスキップ 30〜42%高速化
ブロックを描画・編集できないリクエストでは登録処理がスキップされる。Store APIとREST APIの応答速度が最大42%改善した。

このデモはAPIリクエスト時の処理フロー変化を示している。ブロック登録の最適化は店内回遊の速度向上ではなく、外部連携やヘッドレス構成での応答性能に直接効く変更だ。

EU顧客向け注文撤回フォームの追加

EU顧客向け注文撤回フォームの追加

WooCommerce 11.1.0ではEU圏の規制に準拠するための「注文撤回フォーム」が追加された。デフォルトでは無効になっており、EUガイドラインへの準拠が必要なストアが手動で有効化する形だ。

注文撤回とはEUの消費者保護規則に基づく権利で、消費者が商品を受け取ってから一定期間内に購入をキャンセルできる仕組みだ。ストア側はこの権利に応じた返金・返品プロセスを用意する必要がある。今回追加されたフォームは、その撤回申請を顧客自身がオンラインで提出するための画面をマイアカウントページに作成する。

撤回申請が提出されるとシステムに記録され、ストア運営者にはメール通知と管理画面のダッシュボード通知が送られる。ただし実際の注文撤回処理と返金作業は手動で行う必要がある。各ストアのポリシーや商品特性によって処理手順が異なるためだ。

STEP 1 顧客がマイアカウントページで注文撤回フォームを開く
STEP 2 顧客が注文撤回リクエストをオンラインで提出
STEP 3 システムに記録され運営者へメールとダッシュボードで通知
STEP 4 運営者が返金・返品処理を手動で実行

注文撤回フォームはデフォルト無効のため、通常の国内向けストアでは追加設定は不要だ。EU向け販売を行うストアはWooCommerceの設定画面から有効化できる。

商品ギャラリーの動画対応と仮想商品の表示改善

商品ギャラリーの動画対応と仮想商品の表示改善

WooCommerce 11.1.0では商品ギャラリーへの動画対応がベータ機能として追加された。クラシックテーマとブロックテーマの両方の商品ギャラリーで動画を表示できる。

初期リリースではローカルにアップロードした動画のみが対応する。外部ホスティングの動画URL(YouTubeやVimeoなど)は現時点ではサポートされていない。実験的機能のため、今後のリリースで仕様が変更される可能性がある。

この機能はデフォルトでは無効になっている。有効化するにはWooCommerceの設定画面から「設定 → 詳細 → 機能」と進み、「商品ギャラリー動画」をオンにする必要がある。商品の見せ方を動画で強化したいストアはテスト環境での検証を推奨する。

仮想商品の管理画面表示が整理された

発送処理が不要な仮想商品のみの注文では、管理画面の注文サマリーに配送先住所が表示されないようになった。これまでStore APIのチェックアウト処理が互換性維持のために請求先住所から配送先住所を生成していたため、仮想商品のみの注文でも意味のない住所が表示されていた。

この変更により、仮想商品のみの注文画面がすっきりと整理される。実際の住所データが削除されるわけではなく、表示されなくなるだけだ。物理商品を含む注文や、配送情報が未確定の注文では従来どおり住所が表示される。

開発者向けの変更点

開発者向けの変更点

WooCommerce 11.1.0には複数の開発者向け変更が含まれる。ブロックエディタアセットの統合、注文アイテム削除ロジックの修正、WooCommerce Adminの安定済みフィーチャーフラグ廃止などだ。

統合ブロックエディタアセット(実験的)

実験的な新機能として、ブロックエディタ向けのJavaScriptとCSSファイルが統合された。これまでWooCommerceのブロックはそれぞれ個別のスクリプトとスタイルを読み込んでいたが、共有バンドルにまとめることでエディタ画面でのリクエスト数と総サイズが削減される。

デフォルトでは無効になっており、11.1.0では影響が出ない。有効化した場合もフロントエンド側のアセットは変更されず、既存のブロックハンドルは従来どおり動作する。管理画面の編集速度を改善したいストアは検討の余地がある。

注文アイテム削除ロジックの修正

WooCommerceの注文アイテム削除処理に含まれていた潜在的なバグが修正された。更新前は、拡張プラグインが注文保存前に差し込んだ置換用アイテムが、削除処理によって誤って消される可能性があった。

具体的にはWC_Abstract_Orderクラスのremove_order_itemsメソッドが、削除要求時に存在していたアイテムIDを記録するようになった。これにより拡張プラグインが追加したアイテムが誤って削除されるのを防ぐ。9割以上の拡張プラグインではコード変更は不要だが、カスタム注文データストアを実装している場合はget_item_idsとdelete_items_by_idsの実装を確認する必要がある。

安定済みフィーチャーフラグの廃止

WooCommerce Adminの安定機能として採用済みのフィーチャーフラグの一部が、設定パイプラインを介さず直接読み込まれるようになった。機能自体は削除されておらず、互換性維持のための互換レイヤーも残されている。

互換レイヤーはFeatures::is_enabled()とwindow.wcAdminFeaturesに対して従来の値を返し続けるが、非推奨警告を出力するようになった。自作の拡張プラグインでフィーチャーフラグに依存している場合は、互換レイヤーが撤去される前に対応を進めておきたい。

この記事のポイント

  • バリエーション画像ギャラリーがWooCommerce標準機能として全ストアで有効化された
  • 専用プラグイン「WooCommerce Additional Variation Images」は提供終了となる
  • Store APIとREST APIの応答速度が最大42%向上した
  • EU顧客向け注文撤回フォームが追加された(デフォルトでは無効)
  • 商品ギャラリーの動画対応はベータ機能としてデフォルト無効で提供される
  • 仮想商品のみの注文では管理画面に配送先住所が表示されなくなった
海田 洋祐

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験 ・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識 ・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験 ・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験 ・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験

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