
Google Search Consoleの生成AI検索除外設定 仕組みと判断すべきポイント
Google Search Consoleに、AI OverviewsやAI Modeなど生成AIによる検索機能からサイトを除外できる新設定が追加された。Search Consoleの設定項目に新設されたこのコントロールは、サイト単位でAI検索体験への表示をオフにする一方で、通常の検索結果への影響はないとされる。しかし、実際に使うかどうかの判断は一筋縄ではいかない。Top StoriesがAI Overview内に表示されるケースが増えており、除外設定によって思いがけず貴重な掲載機会を失う可能性が指摘されているからだ。
この記事では、新設定の仕組みと背景、そしてオプトアウトを検討する前に把握しておくべき3つの要素を、データと規制動向を交えて整理する。
生成AI検索除外設定の概要

Search Consoleの「設定」内に追加されたこのコントロールは、サイトのコンテンツをAI Overviews、AI Mode、Discoverの生成AI機能に表示するかどうかを決定する。デフォルトは「サイトを含める」で、AI機能内でリンクとして表示され、AIの回答を裏付ける情報源として使われる。除外を選択すると、リンクや文章を問わず、それらの生成AI領域からサイトのコンテンツが一切表示されなくなる。
設定変更が有効になるまでには通常数日かかり、さらにキャッシュの影響で反映に1〜2日を要することもある。ただし、この設定は通常のウェブ検索結果やランキングシグナルにはまったく影響しないと公式ヘルプページで明言されている。また、Merchant CenterやGoogle Adsの参加設定を上書きするものではなく、ショッピング関連の表示とは独立した判断になる。さらに、AIの学習データとしての利用を制御する仕組みとは別物であり、そちらは別のオプトアウト(Google-Extended)を経由する。
CMAの関与と設定誕生の経緯

この除外設定が実装された背景には、英国の競争市場庁(CMA)による規制がある。今年に入るまで、AI検索機能だけを対象にサイトを除外する手段は存在しなかった。従来使えたnosnippetはスニペットを非表示にするが、同時にAI Overviewsの表示も奪うオールオアナッシングだったし、Robots.txtはクロール制御に過ぎず、インデックス済みコンテンツの表示可否は決められない。Google-ExtendedはGeminiモデルの学習や一部のグラウンディングを制御するが、AI Overviewsへの表示には関与しなかった。
状況が動いたのは今年1月だ。GoogleがAI検索機能のオプトアウト手法を検討中と発表したのと同日に、CMAが事業者へのAIオプトアウトを義務付ける協議を開始した。そして6月、CMAは生成AIをめぐるコンテンツ使用に関する「行為要件」を課し、Googleは同一週に英国のプロパティで設定のテストを開始した。現在、この要件は英国でのみ法的拘束力を持ち、より詳細な制御の導入期限は来年まで延びている。
Top StoriesとAI Overviewの融合がもたらすジレンマ

Googleの説明では、この設定はAI機能と通常の検索結果を別物として扱う。しかし実際の検索画面では、その境界が曖昧になりつつある。トレンドのニュース検索で、従来は独立して表示されていたTop Storiesのカルーセルが、AI Overviewの枠内に埋め込まれるケースが増加しているのだ。
SEO分析ツールを提供するNewzDashの調査によると、米国でトレンドニュースクエリを追跡した結果のうち15.5%、英国では17.46%で、Top StoriesがAI Overview内に表示されていたという。NewzDashのCEOであるJohn Shehata氏は、この現象について「新しいSearch Consoleの生成AI除外設定を使うと、AI Overview内のTop Storiesからもパブリッシャーが除外される可能性が高い」とLinkedIn上で指摘している。ワシントンポストのSEO責任者Kyle Sutton氏も、自身の観測として同様の傾向を確認しているとコメントしている。
ただし、この解釈はあくまでShehata氏の見解であり、Googleが公式に認めたものではない。公式ヘルプページには「除外されたサイトはAI機能に表示されなくなる」とあるが、AI機能の内部に組み込まれた伝統的な機能についての挙動は明記されていない。つまり、除外設定をオンにすると、AI Overviewsの魅力を削ぐだけでなく、これまでAI機能とは別に獲得していたTop Storiesの露出まで手放すリスクがある。軽々に設定を切り替えられない理由はここにある。
オプトアウト判断前に確認すべき3つの要素

1. AI機能での現在の表示状況を把握する
まず自社サイトがAI機能でどれだけのインプレッションを得ているかを確認する。Search Consoleには「生成AIパフォーマンスレポート」が順次ロールアウトされており、ページ別、国別、デバイス別のインプレッション数が確認できる。ただし、このレポートにはクリック数や検索クエリのデータは含まれていない。Googleアナリティクスなどの一般的な分析ツールでも、流入をAI Overviewsと通常の検索に切り分けることはできない。現状では、AI機能経由のトラフィックを正確に把握できない点を認識しておく必要がある。
2. 各制御ツールの役割を整理する
除外に関する判断を混乱させるのが、類似した複数のコントロールが存在していることだ。どのツールが何を制御するのか、違いを正しく理解しておきたい。
ポイントは、このSearch Consoleの設定がAI機能の表示だけを扱う点だ。これに対して、Google-Extendedはモデルの学習やグラウンディングに特化しており、検索結果の表示可否には関与しない。複数のレバーがあるからこそ、意図しない情報コントロールを避けるためには、それぞれの適用範囲を正確に把握しておく必要がある。
3. ビジネスへの影響を慎重に評価する
除外がもたらす影響は業態によって異なる。ニュースメディアにとっては、AI Overview内のTop Stories露出が収益源のひとつになり得る。ECサイトであれば、サイトコンテンツの表示とショッピング枠への参加は独立した意思決定であるため、除外設定が直接的に商品表示を消すわけではない。ただ、いずれの事業者にとっても共通するのは、AI機能での表示が代替しているトラフィックの規模を正確に評価する手段が今のところ存在しないという事実だ。
CMAの要件では、クリックデータやクリック率といった指標が提供される予定で、その多くは今年12月から順次展開される見通しである。だが現時点では、AI機能へのオプトアウトがもたらす具体的なコストを数字で判断できない。データがない段階での切り替えは、将来の規制対応を先取りする戦略的判断か、あるいは様子見のリスク回避か、経営方針と照らし合わせながら決めるしかない。
今後の展開と欠けているピース

CMAのスケジュールでは、より詳細なページ単位の除外設定が2027年3月までに導入されることになっている。また、Googleは検索コンソールを通じてクリックデータやクリック率を共有し、パブリッシャーがその数字を評価できるツールを提供する必要がある。さらに、初年度は半年ごとに、その後は状況が落ち着けば年次で、コンプライアンス状況の報告が求められる。
一方で、このような規制によって本当にパブリッシャーの利益が守られるのか疑問視する声もある。オックスフォード大学の研究者Spencer Cohen氏とUCLのTodd Davies氏は、学術誌に寄稿した論文の中で「オプトアウトの救済策では不十分」との見解を示している。Davies氏は過去にGoogleでソフトウェアエンジニアとして勤務した経歴を持ち、LinkedIn上でも「オプトアウトはAI Overviewsが引き起こす問題を解決せず、パブリッシャーのビジネスモデルを保護する効果は限定的だ」と述べている。
結局のところ、今はコントロールが与えられたが、その操作に必要なデータはまだ揃っていない。NewzDashは近日中に除外効果の直接テストを実施すると予告しており、近いうちに実際の影響を測る材料が増える可能性はある。当面は、設定の存在を認識しつつ、運用判断はクリックデータの提供開始後まで保留する、あるいは試験的に一部のプロパティで効果を観察するといった現実的なアプローチが求められるだろう。
この記事のポイント
- Search ConsoleにAI Overviews等の生成AI検索機能からサイトを除外する新設定が追加された。通常の検索結果には影響しない
- 英競争市場庁(CMA)の要請により導入され、現在はサイト単位でのみ制御可能。ページ単位のコントロールは2027年3月までに実装予定
- Top StoriesがAI Overview内に表示されるケースが15〜17%存在し、除外によってそれらの露出も失うリスクがある
- 現状ではAI経由のトラフィックやコンバージョンを切り分けるデータがなく、オプトアウトの損得を数値で評価することはできない
- Google-ExtendedやRobots.txtなど類似の制御ツールとの違いを理解し、本来の意図に合った設定を行う必要がある

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験
・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識
・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験
・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験
・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験

海田 洋祐
・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験 ・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識 ・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験 ・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験 ・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験
