Gravity Forms PDFで合計金額が倍になる原因と修正方法

Gravity Forms PDFで合計金額が倍になる原因と修正方法

Gravity Forms PDFで合計金額が倍になる原因と修正方法

Gravity Forms で作成したフォームから PDF を出力するプラグイン「PDF Invoices for Gravity Forms」を使っていて、テンプレート内で get_total() メソッドを複数回呼び出すと合計金額が呼び出し回数に応じて倍々に膨らんでしまう現象は、静的変数 self::$total が各呼び出しのたびに加算され続ける設計になっているのが原因だ。直すにはヘルパークラスを子テーマから拡張し、get_total() の内部で毎回リセットして再計算させる変更を加える。

合計金額が倍になる現象はどのようなときに起こるのか

合計金額が倍になる現象はどのようなときに起こるのか

たとえば請求書のテンプレートに「小計」と「総合計」を別々の位置に表示したい場合、PDF_Invoices_For_GravityForms_Helpers::get_total() を2回呼ぶことになる。ところがイベント参加登録や商品注文フォームなどで実際にこの処理を通すと、2回目の呼び出し時には1回目に加算された値にさらに同じ計算が上乗せされ、本来 10,000 円のところが 20,000 円になるといった不具合が起きる。

なぜ get_total() を複数回呼ぶと値が積み上がるのか

なぜ get_total() を複数回呼ぶと値が積み上がるのか

問題の根本は class-pcafe-gfpi-helpers.php ファイル内の get_total() メソッドにある。このメソッドは静的変数 self::$total を使い、内部で次のように加算している。

public static function get_total(){
    self::$total += self::get_subtotal();
    self::$total += self::$shipping;
    return self::$total;
}

静的変数はリクエストの間ずっと値を保持するため、同じ処理中に get_total() が呼ばれるたびに前回の合計に小計と送料が足されていく。2回呼べば「小計 + 送料」が2倍になり、3回なら3倍になる。通常、こうした合計取得メソッドは毎回ゼロから計算し直すべきであり、内部で継ぎ足す構造は意図したものでない可能性が高い。

Before(問題のある状態)
1回目呼び出し: 小計=10,000 + 送料=500 → total=10,500
変数 self::$total が 10,500 を保持したまま
2回目呼び出し: 10,500 + 10,000 + 500 → total=21,000
After(修正後のあるべき動作)
1回目呼び出し: 小計=10,000 + 送料=500 → total=10,500
2回目呼び出し: 変数をリセット後 再計算 → total=10,500
静的変数が保持され加算される問題  毎回リセットして再計算する修正後

上の図のように、2回目で合計が倍になる。特に「小計」「消費税」「総合計」など複数の金額を PDF テンプレートに配置する場合にこの問題が顕在化しやすい。

get_total() 修正の基本的な考え方

get_total() 修正の基本的な考え方

プラグイン本体のファイルを直接編集してしまうと、アップデートのたびに修正が上書きされて消える。そのため子テーマの functions.php を使い、プラグインのヘルパークラスを拡張した独自クラスを用意する方法をとる。拡張クラスでは get_total() メソッドをオーバーライドし、計算前に self::$total を強制的に 0 にリセットしてから小計と送料を加算する。

子テーマでヘルパークラスを拡張して修正する手順

子テーマでヘルパークラスを拡張して修正する手順

独自ヘルパークラスを作成する

まず子テーマの functions.php に、プラグインのヘルパークラスを継承したクラスを定義する。子テーマがない場合は、Code Snippets プラグインを使うか、wp-content/themes/(現在のテーマ)/functions.php に追記する形でもよい。コードは以下のようになる。

class Custom_GFPI_Helpers extends PDF_Invoices_For_GravityForms_Helpers {

    public static function get_total() {
        self::$total = 0; // 計算前に必ずリセットする
        self::$total += self::get_subtotal();
        self::$total += self::$shipping;
        return self::$total;
    }
}

テンプレート内でカスタムクラスを呼び出す

拡張クラスを作っただけでは既存のテンプレートには反映されない。PDF テンプレート内で PDF_Invoices_For_GravityForms_Helpers::get_total() を呼んでいる箇所を、先ほど定義した Custom_GFPI_Helpers::get_total() に置き換える。

テンプレートファイルは多くの場合 wp-content/uploads/pdf-invoices-for-gravity-forms/templates/ 以下にカスタムテンプレートとして配置されている。該当の .php ファイルを開き、以下のように書き換える。

<?php
// 修正前
// echo PDF_Invoices_For_GravityForms_Helpers::get_total();

// 修正後
echo Custom_GFPI_Helpers::get_total();
?>

これでテンプレート内のどの場所から呼び出しても、毎回リセット後に計算が走るため合計が積み上がることはなくなる。

変更後にキャッシュと動作を確認する

変更を加えたあとは、必ず PDF を生成し直して合計金額が正しいか確認する。Gravity Forms のエントリーから「PDFを表示」ボタンで実際の請求書を開き、同じ合計が要求された位置すべてに正しく表示されているかをチェックする。サイトでキャッシュプラグインを使っている場合は、キャッシュを全削除してから確認すると確実だ。

STEP 1 子テーマの functions.php にカスタムクラスを定義する
STEP 2 PDF テンプレート内の呼び出しを Custom_GFPI_Helpers に変更する
STEP 3 キャッシュを削除し、PDF を生成し直して合計金額を確認する

よくある質問

プラグイン本体のファイルを直接修正してもよいか

推奨しない。プラグインがアップデートされるたびに修正が上書きされ、その都度同じ変更を加えなければならなくなる。子テーマや Code Snippets を使う方法なら、アップデートに影響されず継続的に動作する。

他の金額表示(税額や値引き額)も倍増している場合の対処は

同じヘルパークラス内で定義されている get_tax()get_discount() にも同様の静的変数の加算構造がある可能性が高い。それらのメソッドも同じ要領でカスタムクラス内にオーバーライドし、内部で該当の静的変数をリセットする処理を加えるとよい。

子テーマを使っていない場合でも対応できるか

子テーマがない場合は Code Snippets プラグインが便利だ。スニペットとしてクラス定義を追加すれば、テーマに依存せず同じ修正を適用できる。テンプレートの書き換えは手動で行う必要があるが、クラスの読み込み自体はスニペット経由で問題なく動作する。

修正後に PDF が真っ白になる場合の確認点は

クラス名やメソッド名のスペルミス、オートローダーがカスタムクラスを見つけられていないケースが考えられる。まず PHP のエラーログを確認し、クラスが見つからないという趣旨の致命的エラーが出ていないか調べる。出ている場合はクラス定義の記述ミスか、定義のタイミングが早すぎる可能性があるため、init フックなどで定義を遅らせると改善することがある。

この記事のポイント

  • get_total() の多重呼び出しで合計が倍増するのは、静的変数 self::$total が加算され続ける設計のため
  • プラグイン本体を直接修正せず、子テーマの functions.php でカスタムクラスを定義する
  • カスタムクラス内で get_total() をオーバーライドし、計算前に self::$total = 0; でリセットする
  • PDF テンプレート側の呼び出しをカスタムクラスに差し替え、キャッシュ削除後に動作確認する
  • 同様の構造を持つ get_tax()get_discount() も併せて修正を検討する
佐々木 太陽

・ Reddit、Stack Overflow、WordPress.org フォーラムを日々巡回し、現場の悩みを拾い上げて記事化 ・ WordPress、WooCommerce、Next.js などモダンWeb制作領域のトラブルシューティングが専門 ・ 「検索しても答えが見つからなかった」を一つでも減らすことが目標 ・ エラーメッセージから根本原因にたどり着く粘り強い調査が得意 ・ 初心者がつまずきやすい箇所を先回りで解決する記事作りを心がけている

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