
WordPress共同創業者Matt Mullenweg氏、Automattic CEOを解任される
WordPressの共同創業者であるMatt Mullenweg氏が、AutomatticのCEOを解任された。後任にはMark Davies CFO(最高財務責任者)が就く。Mullenweg氏は有給休暇扱いとなる。
解任の投票は、Mullenweg氏に事前通知からわずか50分しか与えられなかった。同氏は独立した法律顧問によるレビューを繰り返し求めたが、拒否されたと報じられている。
この解任劇は、WP Engineとの法廷闘争やWordPressの市場シェア低下が続く中で起きた。WordPressエコシステム全体に波及する出来事だ。
解任の経緯と社内発表

Mullenweg氏は社内Slackで、解任の知らせを受けた状況を詳しく説明している。投票の決議を受け取ったのは会議開始の50分前で、独立した法律顧問によるレビュー時間を数時間でも確保したいと繰り返し要請したが、すべて拒否されたという。
同氏はSlackで、CFOのMark Davies氏が取締役会と共謀して背後で動いていたと非難した。解任の動きは急激で、事前の協議や段階的な移行プロセスはなかったと見られる。
このデモは、Automatticの経営体制が急速に変化した状況を示している。わずか50分の事前通知でCEO交代が決まった点が異例だ。
取締役会の判断は何を意味するか
取締役会がMullenweg氏の要請を拒否した点は、単なる人事異動ではない。法的リスクを抱えるCEOの続投を認めないという強い意思表示と受け取れる。
WP Engineとの訴訟では、Mullenweg氏が証拠を破壊または保存しなかったとする制裁動議が出ている。取締役会はこの法的リスクを重く見た可能性が高い。
WP Engine紛争との深い関係

Mullenweg氏の解任は、WP Engineとの長期化する紛争と切り離せない。同氏は自ら「nuclear(核兵器級)」と表現した攻撃をWP Engineに仕掛け、WordPressコミュニティに大きな亀裂を生んだ。
WP EngineはAutomatticとMullenweg氏に対して訴訟を起こしており、裁判所はWP Engine側の仮差止命令を認める方向に傾いているとされる。さらに、Mullenweg氏が証拠を破棄したとする制裁動議も提出されている。
この紛争の影響は法廷だけにとどまらない。WordPressの市場シェアは低下し、コミュニティの求心力も弱まっている。
失われた証拠の問題
Automatticの電子証拠開示ベンダーであるJonathan Robins氏によると、Mullenweg氏のノートPCと電話1台が所在不明になっているという。バックアップ失敗と2台のデバイス紛失が重なり、メッセージが失われたと報告されている。
制裁動議では、この証拠喪失が意図的だったかどうかが争点になる。電子証拠開示とは、訴訟で必要となるデジタルデータを収集・保存するプロセスのことだ。
WordPressエコシステムへの影響

Mullenweg氏の解任は、WordPressエコシステムが直面する複合的な課題の象徴だ。市場シェアの低下、WordCamp参加者の減少、プラグイン開発者の収益悪化、脆弱性の発見増加が同時に進行している。
このデモは、WordPressが現在直面している4つの主要な課題を示している。いずれもAIの進化と無関係ではない。
AIによるコーディング支援の普及は、プラグイン開発者の収益基盤を揺るがしている。また、AIを使った脆弱性スキャンの高度化により、これまで見逃されていた問題が次々と発見されている。
市場シェア低下の背景
WordPressのCMS市場シェアは長年トップを維持してきたが、近年は減少が続く。Astroのようなモダンな静的サイトジェネレーターが開発者の支持を集め、従来型CMSの牙城を崩しつつある。
WP Engine紛争による混乱も、企業ユーザーの信頼を損ねた。大規模サイトの運営者は、WordPressのガバナンス不安定化をリスクと見なし、代替プラットフォームへの移行を検討し始めている。
Mullenweg氏の反応

Mullenweg氏は解任後、X(旧Twitter)でユーモアを交えた投稿を行った。「一日中会議に出ていた。何か見逃したかな?新しいiPhoneでも出たのかな?」という内容だ。
この投稿は、深刻な状況に対する同氏の軽妙なスタンスを示している。しかし、法的な争いが続く中で、この反応がコミュニティにどう受け止められるかは不透明だ。
この記事のポイント
- Matt Mullenweg氏がAutomattic CEOを解任され、Mark Davies CFOが後任に就いた
- 解任は50分前の通知で、法的レビューの要請は拒否された
- WP Engineとの紛争、市場シェア低下、コミュニティ離れが背景にある
- 証拠破棄疑惑で制裁動議も提出されており、法的リスクが深刻化している
- WordPressエコシステムはガバナンスとAI対応の両面で岐路に立つ

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