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Cloud Run instances登場!AIエージェントを月額6ドル弱で常時稼働

Google Cloudが2026年8月27日、常時稼働するAIエージェント向けの新サービス「Cloud Run instances」をプレビュー公開した。サーバーレスの利便性を保ちながら、単一インスタンスを長期間動かし続けるための専用ランタイムだ。

1vCPU・1GiBメモリの構成なら、30日間連続稼働して月額5.70ドル。従来の専用VMと比較すると運用コストと管理負担を大幅に抑えられる。

パーソナルAIエージェントを自宅のPCや専用サーバーで動かしていた開発者にとって、クラウド移行の有力な選択肢になる。本記事ではCloud Run instancesの特徴、料金構造、実際のデプロイ手順までを解説する。

Cloud Run instancesの基本と既存サービスとの違い

Cloud Run instancesの基本と既存サービスとの違い

Cloud Run instancesは、Google Cloudのサーバーレスコンテナ基盤であるCloud Runの新しい実行モードだ。既存のCloud Run servicesが高スループットなWebサービス向けに設計されているのに対し、Cloud Run instancesは「1つのインスタンスを確実に動かし続ける」ことに特化している。

主な特徴は次の4つにまとめられる。

  • オートスケーリングなしの単一インスタンスのみを実行する
  • 最大7日間の連続実行と自動再起動ポリシーを標準で備える
  • 更新や再起動後も変わらない固定HTTPS URLが発行される
  • 使わないときは停止し、必要なときに再開できる
Cloud Run services(既存)
Webサービス向け、オートスケーリング対応
リクエスト停止時にスケールゼロで終了
Cloud Run instances(新サービス)
AIエージェント向け、単一インスタンスを継続実行
最大7日間連続、自動再起動、固定HTTPS URL
従来の専用VM
24時間365日課金、OS管理が必要
ファイアウォールやHTTPS設定を自力で構築

3つの実行環境の違いを比較した図だ。Cloud Run instancesは既存Cloud Runと専用VMの中間的な位置づけで、サーバーレスの手軽さと常時稼働の確実性を両立している。

既存のCloud Run servicesとの決定的な違い

Cloud Run servicesは、リクエストが途絶えるとインスタンスがスケールゼロになる。これは高トラフィックなWeb APIには効率的だが、常に1つのコピーが動き続けることを期待するAIエージェントには不向きだ。一方、Cloud Run instancesはオートスケーリングを行わず、指定した設定のインスタンスを1つだけ動かし続ける。これが最大の設計上の違いになる。

なぜAIエージェントに最適なのか

なぜAIエージェントに最適なのか

OpenClawやHermesといったパーソナルAIエージェントは、継続的に動作し、通常は一度に1人のユーザーにしかサービスしない。これらの特性は、ステートレスな高スループットWebサービスとはインフラ要件が大きく異なる。

OpenClawは、ユーザーの代わりにさまざまなタスクを実行するオープンソースのパーソナルAIエージェントだ。使うほど学習して賢くなる。多くのOpenClawユーザーは最初に自分のノートPCで実行し始めるが、ノートPCがスリープするたびに停止してしまう問題に直面する。ここでクラウド上の常時稼働環境が必要になる。

従来の選択肢の問題点

専用VMを借りる方法もあるが、24時間365日の課金、OSのアップデート管理、ファイアウォールのポート開放、HTTPSエンドポイントの構築といった手間が発生する。Cloud Run instancesはこれらの管理タスクをクラウド側に任せつつ、低コストで常時稼働を実現する。

ここでのポイントは、AIエージェントのワークロードが「バースト型」であることだ。普段は待機状態でCPUをほとんど使わず、ユーザーが指示を出した瞬間だけ計算リソースを消費する。共有vCPUとバーストバジェットによる課金モデルは、このバースト型の特性と相性が良い。常時フルパワーのCPUを確保する必要がないため、価格を抑えられる。

料金とコスト構造の分析

料金とコスト構造の分析

1vCPU・1GiBメモリのCloud Run instanceを30日間連続稼働させた場合のコストは5.70ドル。共有vCPUとvCPUバーストバジェットを利用して、低く予測可能な価格で連続実行を実現している。

従来の専用VM(Before)
月額 約50〜100ドル
24時間365日課金・OS管理・ファイアウォール設定が必要
💻 常時フルパワーのCPUを占有
Cloud Run instances(After)
月額 5.70ドル
サーバーレスなので管理不要・自動再起動つき
✅ 使った分だけの課金・バースト時のみCPU増強
従来の専用VM  Cloud Run instances

従来の専用VMと比べると、クラウド料金に大きな差がある。30日間連続稼働でわずか5.70ドルという価格は、個人開発者が気軽に試せる水準だ。

価格設定の分析

5.70ドルという価格は、パーソナルAIエージェントの利用シーンを想定した戦略的な設定だ。個人開発者がノートPCの代わりにクラウドでAIエージェントを常時稼働させるには、月額10ドル以下という心理的なハードルが大きい。Cloud Run instancesはこの価格帯を実現したことで、パーソナルAIエージェントのクラウド移行を加速する可能性がある。

OpenClawデプロイの実践手順

OpenClawデプロイの実践手順

OpenClawをCloud Run instancesにデプロイする手順はシンプルだ。設定ファイルをCloud Storageバケットにアップロードした後、1つのコマンドを実行するだけでデプロイが完了する。

STEP 1 OpenClawの設定ファイルをCloud Storageバケットにアップロード
STEP 2 デプロイコマンドを1つ実行
STEP 3 Cloud Run instanceが起動し固定HTTPS URLが発行される
STEP 4 TelegramやWhatsAppなどのメッセージングと連携して対話

デプロイ後のOpenClawは、使いたい限り動かし続けられる。メッセージングアプリと接続してタスクを任せることも、必要なツールと連携させることも可能だ。

SSHアクセスと今後のアップデート

Cloud Run instancesとCloud Run servicesの両方で、SSHアクセス機能が近日中に提供される予定だ。これにより、実行中のコンテナに直接ログインしてデバッグや設定変更ができるようになる。詳しい手順はCloud Runのcodelabで公開されている。

ユーザー事例と今後の展望

ユーザー事例と今後の展望

OffDeal社の導入効果

中小企業向けのAI投資銀行を提供するOffDealは、Cloud Run instancesを長期間稼働するエージェントの主要インフラとして利用している。OffDeal社のLuis Ruiz Morel氏によれば、コールドスタートが88%削減され、実装も非常にシンプルで信頼性が高いとのことだ。

コールドスタート88%削減とは、エージェントが待機状態からタスクを開始するまでの起動時間が大幅に短縮されたことを意味する。AIエージェントの応答性がビジネス成果に直結するユースケースでは、この改善は大きな価値となる。

プレビューからGAへ

Cloud Run instancesは現在プレビュー段階で、パフォーマンスを犠牲にせずに新しい種類のワークロードをコスト効率よく実行する手段として提供されている。今後、GA(一般提供)への移行とともに、より多くのAIエージェントワークロードがこの基盤に集約される可能性がある。

Cloud Run instancesの登場は、サーバーレスコンピューティングの適用範囲を「常時稼働するステートフルなワークロード」にまで広げる動きとして捉えられる。従来のサーバーレスは「イベント駆動・ステートレス・短期実行」が前提だったが、AIエージェントのような新しいワークロードの台頭が、この前提を変えつつある。Google Cloudがこのニーズに素早く応えた形だ。

この記事のポイント

  • Cloud Run instancesは常時稼働するAIエージェント向けの新しいサーバーレス実行環境
  • 単一インスタンスのみ、オートスケーリングなし、最大7日間連続実行
  • 1vCPU・1GiBメモリで30日間連続稼働して月額5.70ドル
  • 固定HTTPS URLが提供され、停止・再開も自由
  • OpenClawを1コマンドでデプロイ可能
  • 近日中にSSHアクセス機能が追加予定
Cloud Runのマルチリージョン高可用性が強化、障害検知と自動復旧が数秒単位に

Cloud Runのマルチリージョン高可用性が強化、障害検知と自動復旧が数秒単位に

発表の概要

発表の概要

Google Cloudは2026年7月20日、Cloud Runにおけるマルチリージョン高可用性の機能強化を発表した。ミッションクリティカルなアプリケーションのダウンタイムは、企業の収益や評判に直結する問題だ。これに対処するため、Cloud Runは単一コマンドで複数リージョンに同一サービスを展開できる設計をとってきたが、今回のアップデートで障害検知と自動復旧の精度が大幅に向上している。

新たに導入された機能は「Readiness Probe」と「Service Health」の2つだ。インスタンスレベルの死活監視とリージョンレベルの健全性評価を組み合わせることで、リージョン障害が発生した際のトラフィック迂回が数秒単位で自動化される。

マルチリージョン高可用性を支える2つの新機能

マルチリージョン高可用性を支える2つの新機能
Readiness Probe(準備状況プローブ)
コンテナがトラフィックを処理できる状態かを検証するヘルスチェック。Cloud Runサービス内の各インスタンスの稼働状況を可視化し、異常があれば速やかに検知する。
Service Health(サービス健全性)
Readiness Probeの結果を集約し、リージョン単位でサービスの健全性を評価する。この情報はサーバーレスNEG(ネットワークエンドポイントグループ)を通じてグローバルロードバランサに公開され、異常が確認されたリージョンへのトラフィックが自動的に停止される。
Readiness Probe  Service Health

Readiness Probeの役割は「個々のコンテナが外部リクエストを受け付けられる状態か」を確認することだ。この結果はCloud Runコンソールからもリージョン別に確認でき、どのリージョンでインスタンスが縮退しているかが一目で分かる。

Service Healthはこのプローブ結果をリージョン単位で集約するレイヤーにあたる。複数のヘルスチェック結果を「そのリージョンが正常に稼働しているかどうか」というひとつの評価に落とし込み、グローバルロードバランサがこの評価に基づいてルーティングを切り替える。この仕組みにより、障害発生時の手動オペレーションが原則不要になる。

パブリックとプライベートで異なる自動フェイルオーバーの経路

パブリックとプライベートで異なる自動フェイルオーバーの経路

自動フェイルオーバーを実現するには、トラフィックが流入してくるネットワーク層によってロードバランサの種類を選択する必要がある。Cloud Runは外部向けと内部向けで最適なバランサ構成を用意している。

パブリックインターネットアプリケーション
ユーザー グローバル外部ALB リージョンA NEG(正常)
ユーザー グローバル外部ALB リージョンB NEG(異常) ※自動迂回
ウェブサイトや一般公開API向け。グローバルな外部ロードバランサがトラフィックを受け、障害リージョンを除外してルーティングする。
プライベートネットワークアプリケーション
内部VPC クロスリージョン内部ALB リージョンA NEG(正常)
内部VPC クロスリージョン内部ALB リージョンB NEG(異常) ※自動迂回
社内システムやマイクロサービス間通信向け。VPC内に閉じた内部ロードバランサが同じ自動フェイルオーバー機能を提供する。
リクエスト元  外部ALB  内部ALB  正常リージョン  障害リージョン

この構成の利点は、どちらのパターンでもロードバランサ側が自動でService Healthを参照し、異常リージョンをルーティング対象から外してくれる点にある。手動でのDNS切り替えや手作業によるトラフィック操作が不要になるため、復旧までの時間が大幅に短縮される。

設計段階で押さえるべき3つのポイント

設計段階で押さえるべき3つのポイント

Service Healthの活用を前提にマルチリージョン構成を設計する際、見落としやすい検討項目が3つある。いずれも高可用性に直結するため、初期段階で整理しておくことが望ましい。

1 単一障害点の排除 全レイヤー(Web・アプリ・DB)を対象とする。3層アーキテクチャであればWeb層は外部ALB、アプリ層は内部ALBでそれぞれマルチリージョン化し、DB層にも冗長構成が求められる。
2 データレプリケーション リカバリポイント目標(RPO)の要件を明確にしたうえで、リージョン間でのデータ複製方針を決める。書き込みの多いワークロードはアクティブ-アクティブ同期が効果的だが、ゼロデータロスが必須かを先に判断する必要がある。
3 データレジデンシー 特定の国や地域にデータを置く必要がある場合、Firestore、Spanner、Cloud Storage、Cloud SQLなどGoogle Cloudのマルチリージョン対応データベースを選定する。これらはCloud Runとの相性がよく、厳格なデータ主権要件にも対応しやすい。

単一障害点をなくすには、インフラ層だけでなくアプリケーション自体のステートレス設計が前提になる。データ層を別途冗長化し、ロードバランサの背後で自由にインスタンスを入れ替えられる状態を作っておくことが、Cloud Runのマルチリージョン構成を最大限活かす秘訣だ。

利用開始とコスト

Cloud Runのマルチリージョン高可用性に関する一連の機能は、すでに全リージョンで利用可能だ。Service Healthの機能そのものに追加料金は発生しない。Readiness Probeの実行に伴う標準的なCPU・メモリ消費のみが課金対象となる。

導入にあたっては、既存のCloud RunサービスにReadiness Probeを設定し、Service Healthを有効にしたうえで適切なロードバランサに接続するだけでよい。公式ドキュメントにチュートリアルが用意されており、少ないステップでマルチリージョン高可用性の基盤を整えられる。

この記事のポイント

  • Readiness Probeがコンテナ単位の死活監視を行い、Service Healthがリージョン単位の健全性を可視化する
  • Serverless NEGを通じてグローバルロードバランサに健全性が通知され、障害リージョンを数秒で自動迂回する
  • パブリック向けは外部ALB、VPC内向けは内部ALBを選択すれば、どちらも自動フェイルオーバーに対応可能
  • DB層を含めた全レイヤーでの冗長化と、データレプリケーションの方針決定が設計の鍵を握る
  • 機能追加に伴う追加コストはなく、通常のリソース消費のみで全リージョンですぐに利用を開始できる
Cloud Run Sandboxesがパブリックプレビュー、AI生成コードを安全に隔離実行

Cloud Run Sandboxesがパブリックプレビュー、AI生成コードを安全に隔離実行

Cloud Run Sandboxesがパブリックプレビューに。AI生成コードを隔離実行

Cloud Run Sandboxesがパブリックプレビューに。AI生成コードを隔離実行

Google Cloudは2026年7月9日、Cloud Run上で信頼できないコードを安全に実行するサンドボックス機能をパブリックプレビューとして公開した。AIが生成したプログラムや、エンドユーザーがアップロードしたスクリプトを、ホスト環境やクラウドの認証情報から完全に分離した状態で動かせる。

起動はミリ秒単位で、既存のCloud RunインスタンスのCPUやメモリを共有する。追加のVMや専用のサンドボックスホスティングプラットフォームを使う必要はなく、追加料金も発生しない。この発表はベルリンで開催中のWeAreDevelopers World Congressで行われた。

これまで開発者は、AIが動的に生成したコードを安全に実行するために、コンテナクラスタを組んだり、サードパーティのmicroVMランタイムを契約したりする必要があった。Cloud Run Sandboxesは、その複雑さを取り除くサーバーレスネイティブの仕組みだ。

サンドボックスとは何か、なぜ必要なのか

サンドボックスとは何か、なぜ必要なのか

サンドボックスとは、プログラムを隔離された領域で実行する仕組みのことだ。子供が砂場(サンドボックス)の中で自由に遊んでも、砂が外に散らばらないのと同じで、中で何が起きても外側のシステムには影響を与えない。

AIエージェントやLLM(大規模言語モデル)がコードを生成する時代では、この隔離が極めて重要になる。モデルが書いたPythonスクリプトに意図しないファイル削除やネットワーク経由のデータ流出が含まれていたとしても、サンドボックス内で止められるからだ。

従来の単一実行環境とサンドボックスの違い
従来の単一実行環境
アプリ本体 AIが生成したコード
← 同じ領域で実行されるため、悪意あるコードが環境変数やクラウド認証情報にアクセスできる危険がある
Cloud Run Sandboxes(改善後)
アプリ本体 サンドボックス AI生成コード
← アプリ本体とは完全に分離。ネットワークアクセスはデフォルトで遮断され、ファイルの変更も破棄される

Cloud Run Sandboxesは、既存のCloud Runサービスインスタンス内でほぼ瞬時に生成できる軽量な隔離実行境界だ。専用のVMを立ち上げる必要がなく、サーバーレス環境を離れずにすべてが完結する。

サンドボックスの仕組みとセキュリティ設計

サンドボックスの仕組みとセキュリティ設計

シンプルな有効化とネイティブな呼び出し

利用開始は驚くほど簡単だ。Cloud Runサービスをデプロイする際に、gcloudコマンドまたはYAML設定でサンドボックスランチャーを有効にするフラグを1つ追加するだけでよい。有効化すると、軽量なサンドボックスCLIバイナリが実行環境に自動でマウントされ、標準的なサブプロセス呼び出しでプログラムからサンドボックスを生成できる。

実際の動作例として、LLMが動的に生成したPythonコードを安全に実行するデモが公開されている。1000個のサンドボックスを起動し、それぞれの処理を実行して停止するまでの平均レイテンシは500ミリ秒だ。

ゼロトラストを前提とした3層のセキュリティ境界

Cloud Run Sandboxesは、悪意あるコードや誤ったコードからホストアプリケーションとクラウドリソースを守るために、3つの重要なセキュリティ境界を強制する。

Cloud Run Sandboxesの3層セキュリティ境界
境界 1 認証情報と環境変数の隔離
サンドボックス内部からは、Cloud Runサービスの環境変数にアクセスできない。Google Cloudのメタデータサーバーへの呼び出しも不可。AIが誤って認証情報を読み取ろうとしても、物理的に到達できない設計だ。
境界 2 ネットワーク通信のデフォルト遮断
デフォルトでは、サンドボックスからの外向きネットワークアクセスは一切許可されない。仮にAIがデータを外部サーバーに送信しようとするスクリプトを生成しても、システム層でブロックされる。外向き通信が必要な場合は、明示的に許可する設定が可能だ。
境界 3 安全なファイルシステムオーバーレイ
サンドボックスは、コンテナのファイルシステムを読み取り専用で参照する。インストール済みのパッケージやPythonランタイムは利用できるが、書き込みはすべて一時的なメモリオーバーレイに隔離され、サンドボックス終了時に破棄される。必要なファイルはサンドボックス間でインポート・エクスポートできる。
認証情報隔離  ネットワーク遮断  ファイルシステム分離

この3層構造によって、AIが生成したコードがどれほど予測不能な動作をしても、ホスト側への影響は生じない。セキュリティを理由にAIコード実行を諦めていた開発者にとって、大きな転換点になる。

3つの主要ユースケース

3つの主要ユースケース

Cloud Run Sandboxesは特に以下の3つの用途で力を発揮する。いずれも「信頼できないコードを隔離実行する」という共通の要件を持つシナリオだ。

Cloud Run Sandboxesの3つの主要ユースケース
LLMコードインタプリタ
AI製品に高度なデータ分析機能を組み込む。モデルがPython、R、SQLのコードを生成してデータセットを分析し、グラフを作成したり複雑な計算を実行したりする。サンドボックスがあれば、そのコードを安全に実行できる。
ユーザー 自然言語で質問 LLM コード生成 サンドボックス 安全に実行
ヘッドレスブラウザ
AIエージェントに安全なブラウザ実行環境を提供する。Webページのスクレイピング、スクリーンショット取得、Webワークフローの自動化をホストマシンにリスクを及ぼさず実行できる。情報収集や競合調査の自動化に有効だ。
ユーザー提出コードの実行
AI以外の用途でも、Cloud Runでホストするプラットフォームがエンドユーザーのカスタムスクリプト、プラグイン、Webhookを安全に実行できる。オンラインジャッジシステムやローコードプラットフォームの基盤として使える。

ADKとComputeSDKとの統合

ADKとComputeSDKとの統合

Cloud Run Sandboxesは、Googleのエージェント開発キットであるADK(Agent Development Kit)の次期バージョンでネイティブサポートされる。新しいCloudRunSandboxCodeExecutorを使うと、ADKエージェントがわずか1行のコードでサンドボックス内のコード実行を指示できる。

また、ベンダーに依存しないサンドボックス実行用SDKであるComputeSDKにも対応が追加された。このSDKを使えば、Cloud Runサービスの外部からリモートでサンドボックスを呼び出すことも、サービス上のローカルツールとして直接使うこともできる。既存のツールチェーンにスムーズに組み込める設計だ。

コスト面の利点と実運用への影響

Cloud Run Sandboxesの大きな特長は、追加コストが一切かからないことだ。オンデマンドのVMに対して高いプレミアムを課金する専用サンドボックスホスティングプラットフォームとは異なり、既存のCloud Runインスタンスに割り当てられたCPUとメモリを直接共有する。

起動時間がミリ秒単位であることも実運用上の利点だ。従来のVMベースの隔離環境では、新しいVMを立ち上げるたびに数秒から数十秒の待ち時間が発生していた。Cloud Run Sandboxesなら、ユーザーからのリクエストに対してほぼ待ち時間なく応答できる。

Google Cloud Blogの記事で紹介されたデモでは、1000個のサンドボックスを起動してコードを実行し、終了するまでの平均レイテンシが500ミリ秒だった。これは「AIが生成したコードをリアルタイムで安全に実行する」という要件に対して十分実用的な数値だ。

この記事のポイント

  • Cloud Run SandboxesはAI生成コードや信頼できないバイナリを安全に実行する隔離環境で、パブリックプレビューとして公開された
  • 起動はミリ秒単位で、既存のCloud Runインスタンスのリソースを共有するため追加コストは発生しない
  • 環境変数の隔離、ネットワーク通信のデフォルト遮断、安全なファイルシステムオーバーレイの3層でセキュリティを確保
  • LLMコードインタプリタ、ヘッドレスブラウザ、ユーザー提出コードの実行が主要ユースケース
  • ADKとComputeSDKに組み込み対応し、開発者は1行のコードでサンドボックス実行を指示できる