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Google Search Consoleにソーシャル・動画プラットフォームのプロパティが追加

Google Search Consoleにソーシャル・動画プラットフォームのプロパティが追加

Search Consoleに追加された「プラットフォームプロパティ」の概要

Search Consoleに追加された「プラットフォームプロパティ」の概要

2026年7月7日、GoogleはSearch Consoleに「プラットフォームプロパティ」という新たなプロパティタイプを追加した。Instagram、TikTok、X(旧Twitter)、YouTubeといったソーシャルメディアや動画プラットフォーム上の投稿が、Google検索やDiscoverでどのように表示され、クリックされているかを分析できる仕組みだ。

これまでSearch Consoleはウェブサイトを所有する運営者向けのツールだった。今回の変更により、自社サイトを持たないクリエイターやインフルエンサーも、自身の投稿パフォーマンスをGoogleの公式データで確認できるようになる。

Search Consoleのプロダクトマネージャーを務めるMoshe Samet氏がSearch Centralブログで発表した。同氏によれば、アカウントを連携すると、どの検索キーワードから投稿にアクセスがあったか、ユーザーが投稿に対してどう行動したかを把握できるという。

従来のSearch Console(Before)
管理対象 ウェブサイトのみ
利用者 サイト所有者が中心
ソーシャル分析 不可
プラットフォームプロパティ導入後(After)
管理対象 Instagram、TikTok、X、YouTubeを追加
利用者 ウェブサイトなしのクリエイターも利用可
ソーシャル分析 Google検索経由の流入を可視化
従来の制限  新たに対応した領域

上の図はSearch Consoleの管理範囲がどのように広がったかを整理したものだ。サイト単位の分析に加え、ソーシャルプラットフォーム上の個別投稿のパフォーマンスも同じダッシュボードで確認できるようになる。

利用可能な3つのレポート機能

利用可能な3つのレポート機能

プラットフォームプロパティでは、通常のSearch Consoleプロパティと同様のレポート構成が提供される。ただし、ソーシャルメディアや動画コンテンツに最適化された形で表示される点が特徴だ。

パフォーマンスレポート

総クリック数、表示回数(インプレッション)、平均CTR(クリック率)、平均掲載順位といった主要指標を確認できる。フィルタや並べ替え機能を使えば、どの投稿や検索クエリが最も流入に貢献しているかを特定しやすい。データはエクスポートにも対応しており、他の分析ツールでさらに深掘りすることも可能だ。

CTRとは「Click Through Rate」の略で、表示回数のうち実際にクリックされた割合を指す。たとえば100回表示されて3回クリックされればCTRは3%だ。検索結果に表示される頻度と、実際に選ばれる確率のバランスを見るための基本的な指標として使われる。

インサイトレポート

直近のトラフィック傾向や、最も成果を上げた投稿の概要、ユーザーがGoogle上でどのようにアカウントを見つけているかといった俯瞰的な情報を提供する。パフォーマンスレポートが数値ベースの詳細分析であるのに対し、インサイトレポートは「いま何が起きているか」を直感的に把握するためのダッシュボードだ。

アチーブメント

28日間の間に、検索からの総クリック数が一定のしきい値を超えるなどのマイルストーン達成を検出し、通知する仕組みだ。数値目標を持ちにくいソーシャルメディア運用において、客観的な達成基準として活用できる。

STEP 1 パフォーマンスレポートで流入キーワードを特定
STEP 2 インサイトレポートで全体的な傾向を把握
STEP 3 アチーブメントで成果のマイルストーンを確認
STEP 4 改善施策を立案し投稿内容に反映

3つのレポートは独立しているのではなく、上図のように段階的に活用することで効果を発揮する。数値確認→傾向把握→成果認知→改善実行というサイクルをSearch Console内で完結できるのが強みだ。

プラットフォームプロパティの追加手順

プラットフォームプロパティの追加手順

設定はSearch Consoleの所有権確認フローに沿って進める。具体的な流れは以下のとおりだ。

  • Search Consoleを開き、所有権の確認ページまたはプロパティセレクタに移動する
  • 「プロパティを追加」を選択する
  • Instagram、TikTok、X、YouTubeのいずれかを選ぶ
  • 画面の指示に従って連携を承認する

これだけで設定は完了する。従来のSearch Consoleプロパティのように、DNSへのTXTレコード追加やHTMLファイルのアップロードといった技術的な作業は不要だ。各プラットフォームのOAuth認証を使ったシンプルな連携方式が採用されている。

サーチプロファイルとの違い

サーチプロファイルとの違い

2026年6月、Googleは「サーチプロファイル」という機能を公開した。フォロワー10万人以上のクリエイターやパブリッシャーを対象に、公開プロフィールページを提供する仕組みだ。プラットフォームプロパティと混同しやすいため、両者の違いを明確にしておく。

サーチプロファイル
目的 クリエイターの公開ページとして表示
対象 フォロワー10万人以上のクリエイター
機能 コンテンツを集約してフォロワーに見せる
プラットフォームプロパティ
目的 検索パフォーマンスのデータ分析
対象 フォロワー数に関係なく全クリエイター
機能 クリック数や検索クエリなどの分析データを提供
公開用プロフィール(見せる機能)  分析用ダッシュボード(測る機能)

サーチプロファイルが「見せる」ための公開ページであるのに対し、プラットフォームプロパティは「測る」ための分析ツールだ。両者は補完関係にあり、検索上での存在感を高めたいクリエイターにとってはどちらも有用な機能といえる。

なお、今回のプラットフォームプロパティは、2025年12月に実施されたソーシャルチャネルデータをSearch Consoleに統合する実験を発展させたものだ。

実務への影響と活用ポイント

実務への影響と活用ポイント

この機能が実務に与える影響は大きい。従来、ソーシャルメディアの投稿が検索経由でどの程度見られているかを知るには、各プラットフォームのアナリティクスに頼るしかなかった。しかし、プラットフォーム側のデータは検索エンジン経由の流入を正確に分離できないケースが多い。

Google公式のSearch Consoleでデータを取得できる意味は2つある。1つはデータの信頼性が担保されること、もう1つは検索クエリとの紐付けが可能になることだ。たとえば「おすすめ カフェ 東京」という検索キーワードでInstagramの投稿が表示され、クリックされたという因果関係を追跡できる。

ウェブサイトを持たないクリエイターへの恩恵

最大の変化は、自社サイトや個人ブログを持たないクリエイターにもSearch Consoleの門戸が開かれたことだ。これまでSearch Consoleはサイト所有者のツールであり、ドメイン認証が必須だった。今回のプラットフォームプロパティでは、ソーシャルメディアのアカウントさえあれば利用できる。

SEO担当者にとっての新たな分析軸

企業のSEO担当者にとっては、検索結果ページに表示される自社のソーシャル投稿を管理する手段が増えたことを意味する。YouTubeの動画やInstagramの投稿が検索結果に表示されるケースは増えており、それらのパフォーマンスをSearch Console上で一元管理できるメリットは無視できない。

従来の分析体制(Before)
Webサイト流入 Search Console で分析
ソーシャル経由流入 各プラットフォームの分析画面
プラットフォームプロパティ導入後(After)
Webサイト流入 Search Console で分析
ソーシャル経由流入 Search Console で一括分析
プラットフォームごとに分析ツールが分散  Search Consoleに集約される

分析ツールの断片化が解消されることは、レポート作成の手間を減らすと同時に、データの解釈を統一する効果も期待できる。これまで「Instagramのインサイトでは伸びているのに、検索からの流入が測れない」というジレンマを抱えていた運用担当者にとっては朗報だ。

今後の展開と注意点

今後の展開と注意点

プラットフォームプロパティは数週間かけて段階的に展開されるため、アカウントによってはまだ表示されない場合がある。Googleは初期段階として4つのプラットフォームに対応するが、今後の対応範囲拡大についても示唆している。

設定にあたっては、Googleのヘルプドキュメントが用意されているほか、Search Console内とSearch Central Communityにフィードバックリンクが設置されている。初期リリースということもあり、運用しながら改善が加えられていくフェーズと考えるのが妥当だ。

今すぐ取り組むべき3つの準備

  • 利用可能になった時点で迅速に設定できるよう、Search Consoleのアカウントを最新の状態にしておく
  • 現在運用中のソーシャルアカウントのうち、どのプラットフォームを優先的に連携するか社内で方針を決めておく
  • 連携後にどの指標をKPI(重要業績評価指標)として追うか、事前に整理する

プラットフォームプロパティは、検索マーケティングの対象領域をウェブサイトの外側に拡張する第一歩ともいえる。検索結果が多様化する中で、テキストコンテンツだけでなく動画やソーシャル投稿も含めた総合的な検索対策が求められる時代に向けた布石だ。

この記事のポイント

  • Search Consoleにプラットフォームプロパティが追加され、Instagram、TikTok、X、YouTubeの投稿パフォーマンスを分析できるようになった
  • パフォーマンスレポート、インサイトレポート、アチーブメントの3種類のデータを提供する
  • 自社サイトを持たないクリエイターでもSearch Consoleを利用可能になった点が最大の変化
  • サーチプロファイルとは異なり、あくまで分析ツールとして機能する
  • 数週間の段階的展開が予定されており、対応プラットフォームは今後拡大する可能性がある
Search Consoleに生成AIレポート登場、ECサイト運営への影響を解説

Search Consoleに生成AIレポート登場、ECサイト運営への影響を解説

Search Consoleの生成AIレポートが登場、ECサイト運営に何をもたらすか

Search Consoleの生成AIレポートが登場、ECサイト運営に何をもたらすか

Google Search Consoleに「生成AI」セクションが追加され、全ユーザーが利用可能になった。このレポートは、ECサイトのページがAI OverviewやAI Modeでどれだけ表示されているかを確認できる初めての公式データだ。Google検索のAI回答に自社の商品ページやブログ記事が引用されているかを把握する手がかりになる。

ただし提供される指標は「インプレッション」のみであり、クリック率や実際の閲覧数は含まれない。しかもこのインプレッションの定義には大きな注意点がある。カウントの仕組みを正しく理解しないまま数字を追うと、誤った施策につながりかねない。

従来のSearch Console(Before)
「検索パフォーマンス」レポートでクリック数・表示回数・CTR・掲載順位を確認
生成AIレポート追加後(After)
AI OverviewやAI Modeでのインプレッションを別レポートで確認可能
※生成AIレポートにはクリックデータは含まれない。インプレッションの意味を慎重に解釈する必要がある

この新レポートは「パフォーマンス>検索結果>生成AI」に配置されている。AI回答に表示されたURLのリスト、期間別のインプレッション数、検索者の国とデバイス情報が確認できる。ただしAI Overview、AI Mode、Discoverといった検索機能を区別するフィルターは用意されていない。

ECサイトでAI回答が目立つ意味

オンラインストアにとって、AI回答への掲載は新たな流入経路になりうる。たとえば「小型ビジネス向けSMSマーケティングツール」のような質問に対して、AIがカテゴリ別にツールを紹介するケースが増えている。自社の商品カテゴリページや比較記事が引用されれば、見込み客の目に触れる機会が広がる。

しかしAI回答内で表示されるURLは、必ずしもユーザーに実際に見られているとは限らない。その点を次章で詳しく見ていく。

「インプレッション」の落とし穴、表示されていなくてもカウントされる仕組み

「インプレッション」の落とし穴、表示されていなくてもカウントされる仕組み

生成AIレポートの唯一の指標であるインプレッションについて、GoogleのJohn Mueller氏は「URLがAI回答のどこかに含まれていれば、ユーザーの操作がなくてもカウントされる」と説明している。つまり、検索者が実際にそのURLを目にしたかどうかは問われない。

AI Overviewで引用元が隠れている状態(Before)
AI回答が省略され、引用元を見るには「もっと見る」→「すべて表示」の2クリックが必要
クリック後にすべての引用元が展開(After)
ここでようやく自社URLが表示される。しかしSearch Console上は「インプレッション」としてすでに計上済み
※実際の閲覧有無に関わらず、AI回答にURLが含まれた時点でインプレッションが発生する

このカウント方式によって「自社ページがAI回答で大量に表示されている」という表面的な数字が生まれやすい。だがその大半は、検索者が「もっと見る」を押さずに離脱したかもしれない。インプレッション数だけを根拠にAI最適化の成否を判断するのは危うい。

フォローアップ質問や「他のユーザーも質問」もインプレッションを生む

AI Modeで検索者が追加入力した場合も、回答に含まれるURLは新たなインプレッションとして計上される。また「他のユーザーも質問」ボックスは、質問をクリックしてAI回答が開かない限りインプレッションは発生しない。つまりクリックを経て初めてカウントが始まるが、展開後の回答内のURLはやはりユーザーが実際に目を向けたかに関わらずインプレッションに含まれる。

検索者 質問をクリック AI回答 が表示 引用URL がインプレッション取得
※クリック後に表示される引用URLは、すべてインプレッション対象。閲覧の有無は問わない

AI回答にECサイトが取り上げられるパターンと「クリックなき表示」の実態

AI回答にECサイトが取り上げられるパターンと「クリックなき表示」の実態

オンラインストアの商品比較記事やガイドコンテンツは、AI Overviewでカテゴリ推薦やリスト形式で引用されることが多い。たとえば「ベストSMSマーケティングツール」の検索では、AIが使用用途別にツールを整理し、出典として複数の記事URLを提示する。

ここで重要なのは、初期表示では引用元が完全には見えていない点だ。「もっと見る」ボタンで回答全文が展開され、さらに「すべて表示」を押すとすべての出典が列挙される。この2段階の操作を検索者が実行したかは分からない。それでもSearch Consoleの生成AIレポート上は、該当URLが「インプレッションを獲得した」と記録される。

STEP 1 AI Overviewが部分的に回答を表示(引用元は非表示)
STEP 2 検索者が「もっと見る」を押すと回答全文と一部の引用が表示
STEP 3 「すべて表示」で全引用元が現れるが、この時点ですべてインプレッション済み
※Search ConsoleはSTEP 1の時点でインプレッションを計上する。クリックデータは存在しない

この流れを理解しておけば、生成AIレポートの数値に振り回されずに済む。ECサイトのSEO担当者は「本当に読まれているのか」という視点を常に持つ必要がある。

実践的な活用法〜通常トラフィックとAIインプレッションをExcelで突き合わせる

実践的な活用法〜通常トラフィックとAIインプレッションをExcelで突き合わせる

クリックデータがない以上、AIインプレッション単体では施策の優先順位を決めにくい。そこで有効なのが、通常の検索パフォーマンスレポートのデータとの組み合わせだ。具体的な手順は以下の通り。

  • 「検索パフォーマンス」レポートから、トラフィックの多い上位URLリストをダウンロードする
  • 「生成AI」セクションから、インプレッション数の多いURLリストをダウンロードする
  • 両方をExcelでVLOOKUPなどを使って紐づけ、URLごとのトラフィックとAIインプレッションを可視化する
パターンA:トラフィックは多いがAIインプレッションが少ない
AI回答に取り上げられていない強みページ。構成や解決策の明示を改善し、AIに引用されやすくする
パターンB:AIインプレッションは多いがトラフィックが少ない
コンテンツの更新や内部リンク強化で通常の検索順位を高め、クリック獲得力を底上げする
※両方のデータを組み合わせることで、AI表示と実際の集客力のギャップが明確になる

この突き合わせ作業は手間がかかるが、ECサイトがAI時代に取るべき施策の方向性を見極めるうえで欠かせない。とくにパターンBの「AIには表示されるがクリックが少ない」ページは、商品詳細の充実や関連商品への導線強化が効果を発揮しやすい。

AI回答への表示をブロックできるが、ECサイトは原則不要

AI回答への表示をブロックできるが、ECサイトは原則不要

Search Consoleには新たに「AI制御」機能が追加され、サイト単位でAI回答へのコンテンツ表示をブロックできるようになった。設定は「設定>AI制御>検索生成AI」から行い、デフォルトでは許可状態になっている。

AI制御のトグル設定
許可(デフォルト) ← 切り替え → ブロック(非推奨)
ECサイトにとってAI表示を拒否するメリットはほぼない。新たな集客機会を失うだけ

ブロックを有効にすると、AI OverviewやAI Modeから自社の商品ページや記事が完全に除外される。Practical Ecommerceの記事でも「EC事業者がこれを行う理由は見当たらない」と指摘されている通り、販売機会を自ら狭める行為になる。むしろAI回答に表示されることで、検索者が能動的にクリックしなくてもブランド認知が高まる可能性を考慮すべきだ。

この記事のポイント

  • Search Consoleに生成AIレポートが追加され、AI回答での表示状況を確認できるようになった
  • インプレッションはユーザーの閲覧有無を問わずカウントされるため、数字を鵜呑みにしない
  • 通常の検索パフォーマンスデータとAIインプレッションをExcelで紐づけ、ギャップを分析する
  • AI回答への表示ブロックはECサイトにとってメリットがなく、原則不要
Google、Search ConsoleでAI検索専用レポートをテスト開始

Google、Search ConsoleでAI検索専用レポートをテスト開始

Googleが2026年6月3日、Search Consoleに2つの新機能を追加するテストを開始した。生成AI検索機能への表示を制御するトグルと、AI検索内での表示回数やインプレッションを確認できる専用レポートだ。

まずはイギリスの一部サイトを対象に提供され、その後に全世界へ展開される予定だ。サイト運営者にとって、これまで「ブラックボックス」だったAI検索経由のパフォーマンスを可視化する第一歩となる。

この記事では、2つの新機能の具体的な内容と、現場のSEO担当者がどう受け止め、どのような準備をすればよいかを詳しく解説する。

GoogleがSearch Consoleでテストする2つの新機能

GoogleがSearch Consoleでテストする2つの新機能

今回テストが始まったのは、AI表示制御トグルとAI専用パフォーマンスレポートの2つだ。いずれも、生成AIが検索体験に深く入り込む中で、サイト運営者が自サイトの表示状況を把握し、必要に応じて制御できるようにするための機能である。

AI表示制御トグル

1つ目のAI表示制御トグルは、文字通り「自サイトをAI検索機能に表示させるかどうか」を切り替えられる設定だ。このトグルをオフにすると、AI OverviewsやAI Mode、Discover上のAI Overviewsなど、Googleの生成AI検索機能から自サイトへの表示が一切行われなくなる。

なお、この制御はAI検索機能のみに適用され、従来の検索結果ランキングには影響しないとGoogleは明言している。いわゆるランキングシグナルとして利用されることはないというわけだ。

トグルなし(従来)
AI OverviewsやAI Modeに自サイトのコンテンツが表示されるかどうかを、サイト運営者はコントロールできなかった。
Google検索 AI機能が自由にコンテンツを取得
トグル導入後(After)
Search Console上でトグルをオフにすれば、AI検索機能に自サイトのコンテンツが一切表示されなくなる。ランキングには影響しない。
Google検索 AI機能から除外 表示停止

このトグルは、従来のスニペット制御やGoogle-Extendedの延長線上にある。スニペット制御は従来型の検索結果での表示内容を管理するものだったが、今回のトグルは「AI検索機能での表示そのもの」を対象にしている点が新しい。

AI専用パフォーマンスレポート

2つ目は、生成AI検索機能における表示回数(インプレッション)を、サイト単位・ページ単位・国別・デバイス別・日時別に確認できる専用レポートだ。データ粒度は1時間単位まで対応するという。

これまでAI検索上のデータは、Search Consoleの総合パフォーマンスレポートにまとめられており、通常の検索とAI検索を分離して分析することができなかった。今回の専用レポートによって、AI検索だけの表示傾向を把握できるようになる。

ただし、現時点ではクリック数や検索クエリ別の指標は含まれていない。Googleは「サイト運営者と協力しながら、どのような指標が最も役立つかを継続的に検討している」と述べており、今後の拡充が期待される。

新機能の詳細と現場への影響

新機能の詳細と現場への影響

トグル機能の仕組みと注意点

AI表示制御トグルをオンからオフに切り替えた場合、AI OverviewsやAI Mode、Discover上のAI Overviewsからのトラフィックとインプレッションがすべてゼロになる。AI経由の流入を意図的に避けたいサイトにとっては、明確なコントロール手段となる。

一方で、このトグルはあくまでもAI検索「機能」への表示を制御するものであり、Google-ExtendedのようにAIモデルの学習データとしての利用を制御するものではない。両者は目的が異なるため、必要に応じて併用する必要がある。

また、Googleはトグルの状態をランキングシグナルに使わないとしているが、長期的な検索エコシステムへの影響は未知数だ。AI検索が検索体験の主流になった場合、「AI機能に表示されない」という選択がサイト運営者にどのような機会損失をもたらすかを、慎重に見極める必要がある。

レポートが示すデータと欠落情報

新レポートでは、AI検索機能での自サイトのインプレッション数が詳細に把握できる。たとえば「特定のページがAI Overviewsで1日あたり何回表示されたか」「AI Mode上での国別の表示頻度」といった分析が可能になる。

しかし、大きな課題としてクリックデータが欠落している。インプレッション数だけでは、表示されたコンテンツが実際にクリックされ、サイトへの訪問に結びついたかどうかがわからない。Search Engine Journalの記事でも、この計測ギャップが1年以上にわたってAI検索の評価における最大の論点であり、今回の発表でもいまだ解消されていないと指摘している。

従来の統合レポート(Before)
通常検索とAI検索のデータが混在しており、AI経由のパフォーマンスを分離できなかった。
通常検索 AI検索 合算表示
新AI専用レポート(After)
AI検索だけのインプレッションデータをページ別、国別、デバイス別、時間単位で確認できる。クリック数は未提供。
AI検索のみ 表示回数○ クリック数✕

SEO担当者にとって、AI検索でのクリック率(CTR)は、コンテンツが実際にどの程度ユーザーの行動を促せているかを測る重要な指標だ。Googleがこのデータの提供を急ぐべき理由は明白だが、現時点ではスケジュールや具体的な追加指標は発表されていない。

AI計測をめぐるこれまでの経緯

AI計測をめぐるこれまでの経緯

AI Overviewsが2024年にアメリカで初めて導入されて以来、Search Console上でAI固有のパフォーマンスを把握したいという要望がサイト運営者やSEO専門家から繰り返し上がっていた。Search Engine Journalも、AI専用データの提供をGoogleに求め続けてきたと記事で述べている。

2025年には、AI ModeのトラフィックがSearch Consoleの総合データに統合されることが確認されたが、その際も通常のオーガニック検索との区別はできなかった。さらに、John Mueller氏は「AI Overview内のすべてのリンクはSearch Console上で単一のポジションを共有する」と説明しており、どのリンクが実際に成果を上げているのかを評価するのが難しい状況が続いていた。

そして2026年5月、GoogleはAI機能におけるリンク表示面を拡大したものの、その表示面に特化したクリックデータは依然として提供されなかった。この発表はSEOコミュニティに「計測のブラックボックス化がさらに進むのでは」という懸念をもたらした。

競合の動き、Bingの先行事例

競合の動き、Bingの先行事例

AI検索のレポーティングにおいて、MicrosoftのBingはGoogleよりも早く動いている。Bing Webmaster Toolsは2026年2月にAIパフォーマンスダッシュボードを導入し、AI検索機能で自サイトが引用された際のデータを提供し始めた。同年3月には、AIが参照したクエリと実際に引用されたページをマッピングする機能を追加し、5月のSEO WeekではCitation Share(引用シェア)のプレビューを公開している。

Bingのこれらの機能は、AI検索での自サイトの立ち位置を定量的に把握するうえで有効なツールとなっている。Googleが今回のテストでようやく第一歩を踏み出した形だが、機能面では依然としてBingに後れを取っていると言わざるを得ない。

競合が先行する状況は、Googleにとってレポーティング機能の拡充を急がせる圧力となるだろう。Search Engine Journalもこの点を指摘しており、今後のGoogleの動きに注目が集まっている。

サイト運営者が取るべき対応

サイト運営者が取るべき対応

現時点では、このテストはイギリスの一部サイトに限定されているが、グローバル展開後の準備は今から始めておくべきだ。

まず、自サイトがAI検索でどの程度表示されているのか、既存のSearch Consoleデータの中で手がかりを探しておくこと。AI Overviewsの表示傾向は、検索クエリの傾向や特定のページの急激なインプレッション増加などから、ある程度推測できる場合がある。

次に、AI表示制御トグルをどのように扱うかの社内方針を検討しておくこと。AI検索への表示を許容するのか、あるいは制限するのかは、サイトの収益モデルやコンテンツ戦略によって判断が分かれる。迷った場合は、当面はトグルをオン(表示を許容)にしたままデータを蓄積し、レポートが充実してから判断するのが賢明だ。

さらに、Bing Webmaster ToolsのAIレポートも並行して確認する習慣をつけておくと、AI検索全体のトレンドをより早く把握できる。Googleのレポート機能が成熟するまでの間、マルチプラットフォームでのデータ収集がリスクヘッジにもなる。

この記事のポイント

  • GoogleがSearch ConsoleでAI表示制御トグルとAI専用パフォーマンスレポートのテストをイギリスで開始した
  • AI表示制御トグルはAI検索機能への表示を制御するもので、ランキングシグナルには使われない
  • AI専用レポートではインプレッションを詳細に分析できるが、クリックデータは未提供
  • BingはすでにAI引用データやクエリマッピングを提供しており、Googleは後れを取っている
  • グローバル展開に備え、既存データの分析と社内方針の検討を今から進めておくべき
WordPress高速化の正攻法。パフォーマンスオーディットで原因を特定する手順

WordPress高速化の正攻法。パフォーマンスオーディットで原因を特定する手順

WordPressサイトの表示速度が低下した際、多くの運営者は反射的にキャッシュプラグインを導入しようとする。しかし、根本的な原因を特定せずにツールを重ねる手法は、期待したほどの効果を生まないことが多い。元記事の著者であるMark Zahra氏は、場当たり的な対応ではなく、体系的な「パフォーマンスオーディット(性能調査)」の重要性を説いている。

パフォーマンスオーディットとは、適切なツールを正しい順序で使用し、サイトの遅延を招いている真の要因を突き止める作業だ。本稿では、無料ツールのみを用いて、コードに触れることなくサイトのボトルネックを特定する具体的なステップを解説する。

このプロセスを実践することで、サーバーの応答速度、画像の最適化不足、あるいは特定のプラグインによる負荷など、改善すべき優先順位が明確になるはずだ。

Google Search Consoleで「現場のデータ」を把握する

Google Search Consoleで「現場のデータ」を把握する

高速化調査の第一歩は、スピードテストツールを回すことではない。まずはGoogle Search Console(グーグル・サーチコンソール)を開き、左サイドメニューの「エクスペリエンス」内にある「ウェブに関する主な指標」を確認することから始めるべきだ。

多くのガイドがこの手順を飛ばしてシミュレーションテストに移行してしまうが、それは誤りだと指摘されている。Search Consoleが提供するのは「フィールドデータ」と呼ばれるもので、過去28日間に実際の訪問者が体験したパフォーマンスの記録である。Googleが検索順位の決定に使用するのは、シミュレーション値ではなく、この実測データの方だ。

CWV(コアウェブバイタル)のステータスを確認する

レポートでは、ページが「良好」「改善が必要」「不良」の3つのカテゴリに分類される。ここで重要なのは、どの指標が問題を引き起こしているかを特定することだ。例えば、LCP(Largest Contentful Paint / 最大視覚コンテンツの表示時間)に問題があるサイトと、CLS(Cumulative Layout Shift / 視覚的な安定性)に問題があるサイトでは、必要な対策が全く異なる。

LCPとは、ページ内で最も大きなコンテンツ(通常はヒーロー画像や見出し)が表示されるまでの時間を指す。一方、CLSは読み込み中にレイアウトがガタつく度合いを示す指標だ。これらを区別せずに「なんとなく高速化プラグインを入れる」だけでは、特定の問題を解決することはできない。

なお、アクセス数が少ないサイトや公開直後のサイトでは、データが表示されない場合がある。その場合は、次のステップであるPageSpeed Insightsによる診断へ進むことになる。

PageSpeed Insightsでボトルネックを深掘りする

PageSpeed Insightsでボトルネックを深掘りする

次に、Search Consoleで「不良」と判定されたページや、サイト内で最も重要なページ(通常はトップページや人気記事)のURLをPageSpeed Insights(ページスピード・インサイト / PSI)で測定する。PSIはシミュレーション環境でのテスト結果(ラボデータ)を表示するツールだ。

結果が表示されたら、デスクトップではなく必ず「モバイル」のスコアを重視すべきだ。Googleはモバイル版のパフォーマンスを評価基準とする「モバイルファーストインデックス」を採用しているため、デスクトップで高得点でもモバイルで低得点であれば、改善の優先度は高い。

診断セクションの重要項目を読み解く

PSIのレポートには多くの項目が並ぶが、特に注目すべきは以下の3点だ。まず、TTFB(Time to First Byte / 最初の1バイトが到着するまでの時間)を確認する。これはサーバーがリクエストを受け取ってから、ブラウザに最初のデータを返すまでの時間だ。もしTTFBが600ms(0.6秒)を超えている場合、原因はサーバー側(ホスティング環境)にある可能性が高い。この値が正常であれば、サーバーではなくサイトの構成要素に問題があると判断できる。

次に「レンダリングを妨げるリソース(Render-blocking resources)」をチェックする。これは、ブラウザが画面を表示する前に読み込まなければならないCSSやJavaScriptファイルを指す。ここでの推定短縮時間が1,000msを超える場合は、最優先で対処すべき課題となる。

最後に、どの要素が「LCP要素」として判定されているかを確認する。多くの場合、トップページのヒーロー画像がこれに該当する。画像が適切に圧縮されているか、次世代フォーマット(WebPなど)が使われているか、そして「遅延読み込み(Lazy Load)」が誤って適用されていないかを確認する。ファーストビューの画像に遅延読み込みを適用すると、逆に表示が遅くなり、LCPスコアを悪化させる原因になるからだ。

GTmetrixのウォーターフォール図で読み込み順を可視化する

GTmetrixのウォーターフォール図で読み込み順を可視化する

PSIが「何が起きているか」を教えてくれるのに対し、GTmetrixは「なぜそれが起きているか」を視覚的に理解するのに役立つ。無料アカウントを作成してテストを実行し、「Waterfall(ウォーターフォール)」タブを開くことが推奨されている。

ウォーターフォール図は、ページを構成するすべてのファイルがどの順番で、どれくらいの時間をかけて読み込まれたかを横棒グラフで示したものだ。棒が右に伸びているほど、そのファイルの読み込みに時間がかかっていることを意味する。

グラフから読み取れる遅延のサイン

図の最上部、最初のファイルが読み込まれる前に長い空白時間がある場合は、やはりサーバーの応答速度がボトルネックだ。また、画像ファイルの横棒が極端に長い場合は、ファイルサイズが大きすぎること(未圧縮)を示唆している。

さらに、外部スクリプトの挙動にも注目したい。解析ツール、チャットウィジェット、SNSの埋め込みなどは、読み込みの後半で大きな遅延を引き起こすことが多い。ウォーターフォール図の後半で特定の外部ドメインからの通信が停滞しているのを発見できれば、その機能を停止するか、読み込み方法を最適化する(非同期読み込みなど)といった具体的な対策が打てるようになる。

Query Monitorでサーバー内部の挙動を監視する

Query Monitorでサーバー内部の挙動を監視する

これまでのステップはブラウザ側から見た性能調査だったが、最後の手順はサーバー内部の挙動を調査することだ。これには無料プラグインの「Query Monitor(クエリ・モニター)」を使用する。

プラグインをインストールして有効化すると、管理画面の上部ツールバーに数値が表示されるようになる。フロントエンドのページを表示した状態でこの数値をクリックすると、詳細なパネルが開く。開発者でなくても、特定の情報に注目するだけで原因を絞り込むことが可能だ。

データベースクエリとAPIコールの異常を検知する

まずチェックすべきは「Database Queries(データベースクエリ)」のセクションだ。1ページを表示するために発行されたクエリの数と、それぞれの実行時間が表示される。適切に最適化されたサイトであれば、1ページあたりのクエリ数は20〜50個程度に収まる。もし150個を超えていたり、個別のクエリに50ms以上の時間がかかっていたりする場合、特定のプラグインやテーマが非効率な処理を行っている証拠だ。Query Monitorは、どのプラグインがそのクエリを発行したかまで教えてくれる。

もう一つの重要項目は「HTTP API Calls」だ。これは、WordPressがページを生成する過程で外部サービスと通信している記録である。例えば、ライセンス認証や外部データの取得のためにプラグインが外部サーバーへリクエストを送り、その返信を待っている間、サイトの表示はストップしてしまう。もし予期しない外部リクエストが多発しているなら、そのプラグインの設定を見直す必要がある。

優先順位に基づいた改善リストの作成

優先順位に基づいた改善リストの作成

4つのツールからデータが集まったら、それらを統合して改善の優先順位を決める。著者のMark Zahra氏は、以下の順序で対策を行うことを推奨している。

1. サーバー環境の改善

TTFBが遅い場合は、他のどの対策よりも先にサーバー環境を見直すべきだ。土台となるサーバーが遅ければ、どんなにコードを最適化しても限界がある。パフォーマンスを重視した高品質な国内レンタルサーバーや、マネージドホスティングへの移行を検討するのが最も効果的だ。

2. 画像の最適化

LCPのスコアが低い場合、対象となるヒーロー画像のファイルサイズを削減する。圧縮、WebPへの変換、そしてファーストビュー画像に対する遅延読み込みの解除を行う。これだけでスコアが劇的に改善することも珍しくない。

3. コードの整理とキャッシュ

サーバーと画像がクリアになった段階で、初めてキャッシュプラグインやコードの最適化(CSS/JSの縮小化など)を導入する。Query Monitorで特定された「重いプラグイン」を削除したり、軽量な代替プラグインに差し替えたりすることもこの段階で行う。

4. サードパーティスクリプトの調整

最後に、解析ツールや広告タグなどの外部スクリプトを整理する。これらは利便性とのトレードオフになることが多いため、本当に必要なものだけを残し、遅延読み込みさせるなどの調整を行う。

独自の分析:なぜ「オーディット」が高速化の成否を分けるのか

独自の分析:なぜ「オーディット」が高速化の成否を分けるのか

筆者の見解として、WordPressの高速化において最も大きな障壁は「情報の過多」にあると考える。ネット上には「このプラグインを入れれば速くなる」という断片的な情報が溢れているが、サイトごとに遅延の理由は千差万別だ。あるサイトでは画像が原因であり、別のサイトではデータベースの肥大化が原因かもしれない。

今回紹介した手順の核心は、仮説ではなく「証拠」に基づいて動く点にある。Search Consoleで「何が悪いか」を知り、PSIで「どこが悪いか」を絞り込み、GTmetrixで「読み込みの順序」を確認し、Query Monitorで「内部の犯人」を特定する。この一連の流れは、まさにサイトの健康診断だ。

また、高速化は一度行えば終わりではない。WordPressはプラグインの更新や記事の追加によって、時間の経過とともにパフォーマンスが低下していく傾向がある。数ヶ月に一度、このオーディットをルーチンとして行うことで、サイトの健全性を長期的に維持できるだろう。

この記事のポイント

  • 実測データを優先する: Google Search Consoleのフィールドデータが、SEOにおいて最も重要な指標となる。
  • サーバーの応答を確認: TTFB(Time to First Byte)をチェックし、問題があればホスティング環境の変更を最優先する。
  • LCP要素の特定: ページで最も大きな要素(画像など)を特定し、その読み込みを最速化する。
  • 内部負荷の可視化: Query Monitorを使い、プラグインが発行するデータベースクエリや外部通信の異常を突き止める。
  • 一歩ずつの改善: 複数の対策を同時に行わず、一つ修正するごとに再テストを行い、効果を検証する。

出典

  • WP Mayor「WordPress Performance Audit: How to Find What’s Slowing Down Your Site」(2026年3月25日)
Google Search Consoleに「ブランドフィルタ」が登場。ECサイトのブランド分析を効率化する活用法

Google Search Consoleに「ブランドフィルタ」が登場。ECサイトのブランド分析を効率化する活用法

Google Search Console(グーグルサーチコンソール)のパフォーマンスレポートに、ブランドに関連する検索クエリを簡単に抽出・除外できる新しいフィルタ機能が追加された。このアップデートにより、自社名や製品名を含む「指名検索」の動向を、これまで以上に迅速かつ直感的に把握することが可能になる。

2026年3月のリリース以降、この機能はAI(人工知能)を活用してクエリを自動分類し、企業のマーケティング担当者やSEOエンジニアの分析工数を削減する役割を担っている。特にブランド認知が売上に直結するECサイト運営者にとって、指名検索の分析は競合対策やキャンペーン評価の要となる要素だ。

本記事では、新しく導入されたブランドフィルタの仕組みと、実務での具体的な活用シナリオ、そしてAIによる分類の限界について、専門的な視点から詳しく解説する。

ブランドフィルタの仕組みとAIによる自動分類

ブランドフィルタの仕組みとAIによる自動分類

今回追加されたブランドフィルタは、検索パフォーマンスレポート内で「ブランドを含むクエリのみを表示」または「ブランドを除外して表示」を切り替える機能だ。従来、ブランド検索を特定するには正規表現(Regex)を用いた複雑なフィルタリングが必要だったが、新機能によって数クリックで同様の操作が完結するようになった。

AIが判別する「ブランドクエリ」の定義

GoogleはAIを用いてクエリを分類しており、以下の要素がブランドクエリとして認識される。指名検索とは、ユーザーが特定のブランドやサイトを目的地として検索する「ナビゲーショナルクエリ」とも呼ばれるものだ。

  • 会社名やサイト名
  • ドメイン名(例:example.com)
  • ブランド固有の製品名やサービス名
  • 一般的なスペルミスや表記揺れ

例えば、Appleというブランドであれば、「iPhone」や「MacBook」といった製品名、さらには「Aple」といったスペルミスもブランドクエリとして統合的に処理される。これにより、ユーザーの検索意図をより正確に反映したデータ抽出が可能となっている。

従来手法(正規表現)との違い

これまで、ブランド名と非ブランド名を分けるには、正規表現(Regex)を使いこなす必要があった。正規表現とは、特定の文字列のパターンを表現する記法のことだ。例えば「自社名|じしゃめい|jisya」といった複数のキーワードを組み合わせた抽出条件を自ら作成し、フィルタに入力する手間が生じていた。

新機能は、こうした手動の設定をAIが代替する。Googleが保有する膨大なナレッジグラフ(実在するモノや概念のデータベース)を参照し、何がそのサイトにとってのブランドであるかを自動的に判断するため、設定の漏れやミスを防ぎやすくなっている。ただし、記事によれば、この機能は利便性を高めるためのものであり、新しいデータそのものを提供するわけではない点に注意が必要だ。

AI分類の精度と現時点での限界

AI分類の精度と現時点での限界

AIによる自動分類は非常に強力だが、完璧ではない。元記事の著者であるアン・スマーティ氏は、自身のテストにおいてAIがいくつかの誤認や見落としを発生させたことを報告している。実務で利用する際には、これらの特性を理解しておく必要がある。

認識されるバリエーションと見落とし

スマーティ氏の検証によると、フィルタは以下のバリエーションを正確に捉えることができたという。

  • 1単語または2単語の表記(スペースの有無)
  • ハイフン付きの名称
  • 略称や一般的な誤字

一方で、特定の製品名や代表者の名前については、認識が不安定な側面も見られた。例えば、創業者の名前はブランドクエリとして認識されたが、その創業者が執筆した書籍のタイトルはブランドとして認識されなかったという。これは、GoogleのAIが「何がブランドの構成要素であるか」を判断する際、その知名度や関連性の強さに依存していることを示唆している。

意図しないクエリの混入

また、自社とは直接関係のない競合他社の名前や、無関係な企業の役員名がフィルタに含まれてしまうケースも確認されている。これは、Googleの「ブランド」に対する定義が広範であるため、あるいはAIの学習データに基づいた関連付けが強すぎるために発生する現象と考えられている。

このように、AIフィルタは「概ね正しいが、細部には手動のチェックが必要なツール」として扱うのが賢明だ。重要な分析を行う際は、引き続き正規表現を用いた厳密なフィルタリングと併用することが推奨される。

ECサイトにおける3つの実戦的活用シーン

ECサイトにおける3つの実戦的活用シーン

このブランドフィルタは、特に競争の激しいEC(電子商取引)領域において強力な武器となる。記事では、具体的な3つのユースケースが紹介されている。

1. 競合による「ブランド乗っ取り」の検知

自社のブランド名で検索した際、検索結果の1位を維持できているか、あるいはクリック率(CTR)が極端に低下していないかを確認することは極めて重要だ。競合他社がGoogle広告で自社のブランド名をターゲットに設定したり、「[自社名] の代替品」といった比較ページを作成したりすることで、顧客を奪おうとする動きは珍しくない。

ブランドフィルタを適用し、平均掲載順位が1位でない場合や、CTRが50%を下回っている場合は、ブランド防衛策を講じる必要がある。これには、自社広告の出稿(リスティング広告でのブランド名入札)や、ブランドキーワードをターゲットにしたコンテンツの強化が含まれる。

2. マーケティングキャンペーンの影響測定

広告、メールマガジン、SNSでのプロモーションなどは、直接的なコンバージョンだけでなく、指名検索の増加という形でも成果が現れる。ブランドフィルタを使用すれば、キャンペーン期間中にブランドトラフィックがどれだけ底上げされたかを容易に可視化できる。

パフォーマンスレポートのグラフ上で右クリックし、「アノテーション(注釈)」を追加することで、施策と数値の変化を紐づけて管理できる。なお、このブランドフィルタのデータは2026年2月21日以降の結果から反映されているため、それ以前の施策との比較には注意が必要だ。

3. 地域別のブランド認知度の比較

グローバルに展開するEC事業者の場合、国ごとのブランド認知度の差を把握することは戦略立案に欠かせない。ブランドフィルタを適用した状態で「国」フィルタを追加すれば、カナダとイギリスでどちらのブランド認知が高いか、といった比較が容易に行える。

特定の地域でブランド検索が少ない場合、その地域に向けたローカライズ広告や認知拡大のための施策を優先的に検討する判断材料となるだろう。

独自分析:ブランド検索はECサイトの「防御壁」である

独自分析:ブランド検索はECサイトの「防御壁」である

今回のアップデートは、単なる操作性の向上以上に、SEO戦略のパラダイムシフトを象徴している。現在の検索エンジン最適化において、一般的なキーワード(例:「メンズ スニーカー」)で上位表示を狙う難易度は年々高まっている。一方で、ブランド名そのものを検索して訪れるユーザーは、購入意欲が高く、競合への流出も少ない「良質なトラフィック」だ。

ブランドフィルタを活用することで、Web担当者は「SEO=順位を上げること」という狭い視点から、「SEO=ブランドの信頼を維持・拡大すること」という広い視点へと移行できる。ブランド検索が増えているということは、サイト外でのマーケティングや、顧客満足度の向上が実を結んでいる証拠でもある。

また、Googleのアルゴリズムにおいて「ブランドとしての権威性」はますます重視される傾向にある。ブランド検索が多いサイトは、特定のトピックにおいて信頼できる情報源であると判断されやすく、結果として非ブランド検索(一般キーワード)の順位向上にも寄与する。この「ブランドによるポジティブな循環」をデータで証明し、社内のマーケティング施策にフィードバックできるようになったことが、今回の機能追加の真の価値と言えるだろう。

この記事のポイント

  • ブランドフィルタの登場:AIが自社名や製品名を自動判別し、抽出・除外を簡素化する。
  • AIによる自動分類:表記揺れやスペルミスにも対応するが、マイナーな製品名などは見落とされる可能性がある。
  • 競合対策への活用:ブランドクエリのCTRや掲載順位を監視し、顧客の流出を防ぐ。
  • 効果測定の効率化:キャンペーンに伴う指名検索の増減を、アノテーション機能と併用して正確に把握できる。
  • 戦略的価値:ブランド検索の動向を追うことは、ECサイトの長期的な信頼性と競争力を測る指標になる。

出典

  • Practical Ecommerce「Search Console Adds Brand Filters」(2026年3月16日)