
WordPress 7.0リリース後の開発者情報まとめ(2026年6月版)
2026年5月20日にWordPress 7.0が正式リリースされた。その後1ヵ月の間に、メディア編集の刷新やクライアントサイドでの画像処理、テーマ向けスタイル機能の強化など、開発者にとって見逃せないアップデートが続いている。
本記事では、Developer WordPress News の「What’s new for developers? (June 2026)」を読み解きながら、6月に登場した主要トピックを整理する。プラグイン開発者、テーマ制作者、そしてサイト運営者が押さえておきたいポイントを中心に、実務への影響をわかりやすく解説する。
メディア編集モーダルがデフォルトに、画像処理の進化

画像の切り抜きがより直感的に
Gutenberg 23.3では、画像の切り抜き操作が専用のモーダルウィンドウで行われるようになった。これまでは編集画面内で直接操作していたが、今回の変更により、縦横比の指定や回転、反転、ズーム、メタデータの編集までひとつのモーダルに集約されている。
操作の入り口はこれまで通り「切り抜き」ボタンだが、編集体験は格段に整理された。プラグインで画像編集機能を独自に拡張している場合や、画像メタデータに依存する処理を組んでいる場合は、実際の画像を使ったキーボード操作やタッチ操作のテストが必要だ。
ブラウザ上で画像リサイズを行うクライアントサイド処理
もうひとつ注目したいのが、クライアントサイドメディア処理のテスト呼びかけだ。これは、可能な場合にはブラウザ上で VIPS/WASM パイプラインを使って画像のサブサイズを生成し、必要に応じてサーバーサイド処理にフォールバックする仕組みである。
対応形式はAVIFやWebP、HEIC、Ultra HDR、JPEG XL、GIFから動画への変換など多岐にわたる。ただし、現時点ではChromiumブラウザと最新のGutenbergプラグインの組み合わせに限られ、FirefoxやSafariでは無効、メモリが2GB以下のデバイスではスキップされる。通信速度が遅い場合やContent Security Policyの worker-src が制限的な場合も利用できない。
このデモでは、従来のようにサーバーがすべてのリサイズを担当する方法から、可能なときはブラウザが先に処理を引き受ける流れへの変化を示している。サーバーの負荷軽減とユーザー体験の向上が期待されるが、環境による制限があるため、フォールバックを含めたテストが欠かせない。
プラグインとツールを取り巻く重要な更新

React 19への移行は一時的に巻き戻されたが準備は続く
WordPress 7.0ではReact 19へのアップグレードが計画されていたが、Gutenbergでは一時的にこの変更が巻き戻された。理由は、複数のプラグインがReact 18のJSXランタイムヘルパーをバンドルしており、React 19と同時に読み込むとクラッシュする問題が発生したためだ。
コアチームはWordPress 7.1でのReact 19導入を目指し、より段階的な戦略で進める方針を示している。コンパイル済みのJSXを同梱しているプラグインや、@wordpress/element を使っている場合、またはエディターのプライベートAPIに触れている場合は、引き続きテスト環境で最新のGutenbergを試すことをおすすめする。
Abilities APIの拡充が進行中
Abilities APIはこれまでのラウンドアップでも取り上げられてきたが、6月も継続的に改良が進んだ。ライフサイクルフィルターや入出力のバリデーションフィルター、wp_get_abilities() へのフィルタリングサポート、サイトやユーザー、環境情報のレスポンス拡張、RESTスキーマの堅牢化などが行われている。
能力(アビリティ)を使った実験を始めている開発者は、以前の想定に頼りすぎず、トランクの最新の挙動を確認しておくとよい。
PHPサポートの明確化とUnicodeメールアドレス対応の提案
WordPress 6.9および7.0では、PHP 8.5を完全にサポートすることが正式に明文化された。これにより、古い「ベータサポート」ラベルは廃止され、WordPress 7.0時点での最低動作バージョンはPHP 7.4、推奨はPHP 8.3に整理されている。
一方で、メールアドレスやユーザー名、スラッグにおけるUnicode対応を拡張する提案も公開され、フィードバックが募られている。この提案は is_email() や sanitize_email() などの関数、フィルター、データベース格納、文字の正規化などに影響を及ぼす可能性があり、メールアドレスを扱うプラグインは早めに内容を確認しておく価値がある。
AI Clientを使った画像生成プラグインのチュートリアル
4月・5月のラウンドアップで紹介されたAI ClientとConnectors APIに関する実践的なチュートリアルが登場した。ここでは、画像生成プラグインを構築する方法が解説されており、特に機能検出パターンが参考になる。プラグインは、プロバイダーが設定済みかどうか、そして必要な機能をサポートしているかを確認したうえでUIを表示すべきであり、チュートリアルではメディアライブラリから画像を生成し、添付ファイルとして保存する一連の流れが実装されている。
テーマ開発者向けのスタイルとブロックの改善

単一ブロックインスタンスへの擬似状態スタイルの適用
Gutenberg 23.3では、個別のブロックインスタンスに対して :hover や :focus、:visited といった擬似状態のスタイルを設定できるようになった。これまではサイト全体のブロックすべてに影響するスタイルしか設定できなかったが、この変更により、特定のボタンだけホバー時の色を変えるといった細やかな制御が可能になる。
この機能は、Add supports for pseudo states on single block instances というPRで実装されており、長年課題となっていたインタラクティブな状態の標準化に向けた動きとして注目されている。ボタンやリンク、ナビゲーションのデザインにこだわるテーマ制作者は、Gutenbergでテストしてみるとよい。
レスポンシブ対応のスタイル状態がさらに拡張
レスポンシブかつ状態を考慮したスタイル設定は、Gutenberg 23.2と23.3で大きく前進した。23.2ではグローバルなブロックスタイルに状態付きのレスポンシブ設定が導入され、23.3ではレイアウトのレスポンシブスタイルや、状態選択時に一部のコントロールを隠すUI調整が加えられている。
まだGutenbergプラグインでのテスト段階だが、theme.jsonのプリセットや設定、レイアウトプリセット、ブロックサポート、カスタムレスポンシブコントロールに依存しているテーマにとっては影響が大きいため、Responsive style states for blocks 、 iteration for WP 7.1 のIssueを追いかけておくとよい。
その他テーマ向けのブロックアップデート
細かいが実務に効く変更もいくつか入った。グローバルスタイルのカラーパネルでスラッグベースの色選択が統合され、ホームリンクブロックに不足していたコントロールが追加された。パンくずブロックでは視覚的な区切り文字がスクリーンリーダー向けに非表示となり、ナビゲーションでは非推奨化された block_core_navigation_submenu_render_submenu_icon() 関数のシムが復活している。画像ブロックでは幅か高さの片方だけが設定された場合に出力が崩れる問題も修正された。
また、WordPress 7.0では著者アーカイブリンクのデフォルトの title 属性(「Posts by Author」)が削除されている。マークアップのわずかな変更だが、テーマの表示テストやスナップショットテストに影響する可能性があるため注意しておきたい。
WordPress Playgroundの最新動向

wp-nowが非推奨に、Playground CLIへの移行を
ローカル環境を手早く立ち上げるために wp-now を使っていた開発者は、Playground CLIへの移行が必要になる。Developer WordPress Newsの記事によると、2026年6月8日付でwp-nowが非推奨となり、今後の推奨パスはPlayground CLIに一本化された。
移行は比較的スムーズに行えるよう設計されており、テスト用サイトを素早く立ち上げたいプラグイン開発者やテーマ制作者は、早めに切り替えておくとよいだろう。
PRプレビューとPHPスニペットの公式ガイド
Playground関連では、2つの役立つガイドも公開された。ひとつは「PR Preview with WordPress Playground: What changes in version 3 of the GitHub Action」で、プルリクエストのプレビューを自動化するGitHub Actionの最新バージョンについて解説している。プロジェクトでPlaygroundプレビューを利用しているなら、一度目を通しておきたい内容だ。
もうひとつは「Run PHP examples anywhere with WordPress Playground」で、WordPressの開発者向けドキュメントやチュートリアルに、ブラウザ上で実行可能なPHPサンプルを埋め込む方法を紹介している。技術記事を書く立場の開発者にとって、この手法は読者の理解を大きく助ける強力な武器になる。
保存型Playgroundと古いWordPressバージョンの復元
Playground v3.1.35およびv3.1.36では、サイトの保存とSites APIの機能が大きく進んだ。保存したブラウザ上のWordPressサイトに何度も戻れる永続化の仕組み、自動保存からの復元UX、埋め込みPlaygroundでの不要な保存プロンプト回避などが実装されている。
さらに、WordPress 0.7 のような過去のバージョンを丸ごとロードできるようになり、Virtual WordPress Museum のようなデモも登場した。デモやテスト、教育目的の用途が一層広がる変更といえる。
PHP.wasmによる高度なデモやフレームワーク対応
PHP.wasm周辺の開発も活発だ。新しい「Running PHP Frameworks in Playground」ガイドでは、WordPress以外のPHPフレームワークをPlayground上で動かす方法が示されており、ブラウザベースのツール構築の可能性を大きく広げている。また、@php-wasm/compile-extension ワークフローにより、PHP拡張のコンパイルも以前より容易になった。高度なデモやドキュメント用のサンプルを作る開発者には、これらの進歩も見逃せない。
ユーザーインターフェースとアクセシビリティの改良

実験的なダッシュボードのカスタマイズ機能がウィジェットを追加
カスタマイズ可能なダッシュボードはまだ実験段階だが、Gutenberg 23.3では新たに5つのウィジェット(サイトヘルス、ニュース、イベント、クイックドラフト、サイトプレビュー/URLバー)が追加され、レイアウトの調整も進んだ。ゴーストウィジェットやサイズプリセット、コンテナブレークポイントによるグリッドカラムなど、徐々に実用性が高まっている。
管理者画面の拡張やプラグイン独自の管理パネルを開発しているなら、この実験がどこに向かっているのかを customizable dashboard overview issue で追いかけておくことをおすすめする。
エディターと管理画面でのアクセシビリティの磨き込み
GutenbergとCoreの両方でアクセシビリティ関連の改善が続いている。Gutenberg 23.3ではリビジョン機能が改善され、フォントライブラリのフォーカスナビゲーションも修正された。Core側では、管理画面のカラースキームのコントラスト強化、フロントエンドツールバーのフォーカスアウトライン修正、ハイコントラストモード時のボタンアクティブ状態の不具合対応などが行われている。
カスタム管理画面やエディターパネル、メディア操作UIを提供している場合は、キーボード操作、ハイコントラストモード、文字サイズの拡大設定、標準以外の管理画面カラースキームを組み合わせたテストを定期的に実施することが重要だ。
この記事のポイント
- メディア編集はモーダルに集約され、クライアントサイド画像処理の実験的テストも始まった。サーバー負荷の低減とUX向上が見込まれる
- React 19移行は一時停止中だが、WordPress 7.1に向けた準備は継続。プラグイン開発者は互換性を確認しておく
- テーマ開発では、単一ブロックへの擬似状態スタイル適用やレスポンシブスタイルの拡張など、表現力が高まる変更が多い
- PlaygroundはCLIへの一本化、保存型サイトの強化、過去バージョン対応などで開発者の実験環境が飛躍的に便利になった
- アクセシビリティの改良も着実に進行。カスタムUIを作るならテストにキーボード操作やハイコントラストモードを含める

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験
・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、Java等の実用的知識
・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験
・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験
・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験
