
WordPressコミュニティの魅力と現実。2026年WordCamp Canadaリードが語る
WordPressコミュニティは、技術者が集まるだけの場ではない。2026年のWordCamp Canadaでリードオーガナイザーを務めるCathy Mitchell氏は、WP Tavernのポッドキャスト「Jukebox」でコミュニティがもたらす帰属意識と充足感の重要性を語った。特に子育てが一段落した後の「エンプティネスター(空の巣症候群)」世代にとって、この場は単なる交流を超えた意味を持つ。
オープンで、障壁が少なく、誰でも重要な役割を任される文化。この特異な環境は、従来の企業社会や他のボランティア組織とは一線を画す。Mitchell氏の経験は、経済的な見返りだけでは測れない貢献の価値と、変化する時代の中でWordPressが直面する課題を浮き彫りにした。
「掃除だけ」では終わらない、圧倒的にオープンな門戸

WP TavernのポッドキャストでNathan Wrigley氏との対談に臨んだMitchell氏は、2007年からWordPressに関わるベテランだ。育児休暇中の個人的なプロジェクトから始まった活動は、2008年にWPBaristaとして事業化した。
彼女が強く印象に残っているのは、コミュニティに参加した際の障壁の低さだ。多くの企業組織では、意味のある仕事を任されるまでに長い下積み期間が必要となる。一方で、WordPressコミュニティの文化はまったく異なる。Mitchell氏は昨年、WordCamp Canadaの運営チームに参加した際の驚きをこう表現している。「企業の世界では、何か意味のあることを任されるまで、延々と掃除をさせられるようなものだ。でもここでは違った」。
この「イエスと言う」文化は、参加者の能力を信頼し、失敗しても周囲が支える構造の上に成り立っている。Mitchell氏も、その流れに乗って気づけばWordCamp Canadaのリードオーガナイザーに抜擢されていた。
「見返りゼロ」の貢献が事業の追い風になる仕組み

WordPressは長らく右肩上がりの市場シェア拡大を続けてきた。その間、企業によるイベントスポンサーやコミュニティ貢献は、必ずしも厳密な投資対効果を問われなかった面がある。上昇気流に乗っていれば、自然とビジネスも成長したからだ。
しかしMitchell氏は、現在の状況を「完璧な嵐」と表現する。経済の不透明感から企業の財布のひもは固くなり、代理店やプラグイン開発の競争は激化した。WP Tavernの対談で彼女が指摘したように、かつては広告すら打つ必要のなかったビジネスモデルは、もはや通用しなくなっている。
一方で、オープンソースプロジェクトへの貢献が間接的にビジネスを支える構造にも言及している。具体的なメリットは3つある。
- 採用の容易さ。貢献活動で名前が知られていれば、優秀な人材が応募しやすくなる。
- 人材の見極め。普段のコントリビューション(貢献活動)を通じて、スキルや人柄を事前に評価できる。
- エコシステム全体の健全化。WordPress自体が衰退すれば、自社ビジネスも立ち行かなくなる。
Mitchell氏は、経済的なROIだけでは説明できない利他的な価値と、それに伴う事業上の副次的利益を明確に区別していた。それがコミュニティスポンサーの継続を支える論理となっている。
「孤独の処方箋」としてのコミュニティ

今回のポッドキャストで特に印象的だったのは、Mitchell氏が「奉仕」を孤独への解毒剤と位置づけた点だ。
対談では、米国公衆衛生局長官が2023年に「孤独の流行」を宣言した統計が紹介された。週15箱の喫煙に匹敵する健康被害をもたらすとされ、特に18歳から24歳の若年層の79%が孤独を感じているというデータがある。技術の進化とこの数字の上昇は、無関係ではないというのが両者の共通認識だった。
Mitchell氏は、ボランティア活動がこの問題への強力な回答になり得ると語る。共通の目標に向かって他者と協力し、自分のスキルを誰かのために使う体験は、「役に立っている」という実感と強い連帯感を生む。WordPressコミュニティには、高い専門性を持つ技術者から、コーヒーを淹れるという気軽な貢献まで、あらゆる参加形態が用意されている。
技術者が自発的に集い、支え合う文化は、AIが浸透する時代にこそ希少価値を持つ。人間同士の直接的な交流が幸福感の基礎になるという考え方は、デジタルネイティブ世代にWordPressコミュニティの意義を伝える上で、強力なメッセージとなるだろう。
次世代をオープンソースに引き込むために

対談の終盤、Mitchell氏はWordCamp Canada 2026への意気込みを語る中で、Open Sourceの未来に向けた重要な視点を示した。それは「若者を巻き込まなければならない」という強い危機感だ。
彼女の考えは明快だ。かつてWordPressの成長期に恩恵を受けた世代には、今こそ次世代に扉を開く責任がある。具体的には、大学の単位取得と連携する「Campus Connect」や「WordPress Credits」といったプログラムをカナダ国内で拡大したいとしている。これにより、学生は卒業要件を満たしながら、オープンソースの文化や実務スキルに触れることができる。
Mitchell氏は、オープンソースとAIの組み合わせにこそ未来があると確信している。AIがクローズドな有料APIに囲い込まれれば、テクノロジーの進歩は限定的になる。オープンなコードベースと、それを支える人間のコミュニティがあってこそ、技術は広く社会に還元されるという信念だ。
ただし、この構想が簡単に実現するわけではない。人々の関心を引き、参加の重要性を伝えるのは、依然として難しい課題だ。しかし、今のうちに基礎を固めておかなければ、WordPressを取り巻く楽観的な未来は描けない。Mitchell氏が主導するWordCamp Canadaは、まさにそのための土台作りの場となる。
この記事のポイント
- WordPressコミュニティは「イエス」を基本とするオープンな文化で、未経験者にも門戸が開かれている。
- 企業によるコミュニティ貢献は、短期的なROI以上に採用や業界の健全化に寄与する。
- ボランティアによる共通目標へのコミットメントは、現代の孤独問題に対する有効な解毒剤となり得る。
- 次世代をOpen Sourceに引き込む教育連携が、WordPressエコシステムの長期的な存続には不可欠だ。
- 2026年のWordCamp Canadaは、経済的逆風下でもコミュニティの価値を再定義する試金石となる。

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験
・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識
・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験
・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験
・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験

WCEU 2026クラクフ開催。CERN基調講演とWordPress 7.0全容
# フロントマター
— title: “WCEU 2026クラクフ開催。CERN基調講演とWordPress 7.0全容” meta_description: “WordCamp Europe 2026がポーランド・クラクフで開催。CERNのWordPress移行基調講演、WordPress 7.0のAI機能、ビジネスセッションなど主要トピックを解説。WCUS 2026は8月フェニックスで。” tags: [“WordPress”, “WordCamp”, “WordCamp Europe”, “WCEU 2026”, “WordPress 7.0”, “CERN”, “AI”, “オープンソース”] slug: “wceu-2026-krakow-recap” scrape_method: “trafilatura” image_prompt: “Upper portion: the CERN logo (a stylized double-ring emblem with intertwining loops) prominently displayed in photorealistic 3D with subtle metallic reflections. Lower portion: the ICE Kraków Congress Centre with a vibrant WordCamp Europe banner outside, attendees networking in the plaza. Composition: split-screen style with key visual elements positioned in the upper and lower portions of the frame, with a natural atmospheric transition in between, no horizontal bands or strips across the frame. 16:9 aspect ratio. If UI screens, dashboards, code editors, or admin panels appear, all text within them must be in English. If laptops or monitors appear, use ultra-thin bezel modern design. No visible year numbers on calendars, screens, or documents.” featured_text: “WCEU 2026 全容\nCERNが語るWP採用理由”
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WordCamp Europe 2026が6月4日から6日まで、ポーランド・クラクフのICE Kraków Congress Centreで開催された。81カ国から2,458人のチケット保有者が集まり、うち約4人に1人が初参加という大規模なイベントとなった。
基調講演にはCERN(欧州原子核研究機構)のウェブチームが登壇し、世界初のウェブサイトを公開した研究機関がWordPressを採用した理由と具体的な移行手法を明かした。WordPress 7.0のAI機能も多数のセッションで取り上げられ、コアに組み込まれたAIクライアントやAbilities APIの実用性が議論されている。
ここでは3日間の主要セッションと、今後のWordPressを取り巻く技術潮流を整理する。
基調講演は大手企業や著名開発者が中心。新機能の発表が主目的。
CERNによる研究機関視点の採用根拠、AIとオープンソースの本質的議論、教育プログラムの具体的成果が前面に。
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Contributor Dayが作り出す協働の場

本編開始前日の6月3日、会場にはContributor Day(コントリビューターデー)が設けられた。これはWordPress本体の改善に直接取り組む実務作業日であり、講演を聞くのではなく実際に手を動かす場だ。午前中に登録と歓迎セッションが行われ、参加者はPolyglots(翻訳)、Documentation(文書)、Support(フォーラム回答)、Core(本体開発)、Performance(パフォーマンス)、Testing(テスト)、Themes(テーマ)、Plugins(プラグイン審査)などの各テーブルに分散した。
経験者が新規参加者を一人ずつ引き受け、初めてのパッチや翻訳文字列、サポートチケット対応を手ほどきする仕組みが整えられていた点が特徴的だ。会場に行けなかった参加者も、Make WordPress Slackの #contributor-day チャンネルを通じてリモート参加できた。
ここで注目すべきは、プラグイン審査チームの存在感だ。同チームはディレクトリに登録される全てのプラグインを審査する役割を担っており、初期参加者にとっては「誰がどのような基準で審査しているのか」を直接知る貴重な機会となった。
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CERN基調講演。世界初のウェブサイトがWordPressを選んだ理由

開幕基調講演に立ったのはCERNのウェブマネージャー、Joachim Valdemar Yde氏とWordPressインフラ責任者のFrancisco Borges Aurindo Barros氏だ。CERNは30年以上前にティム・バーナーズ=リーがWorld Wide Webを発明した場所であり、その研究機関がなぜWordPressを次期ウェブ基盤に選定したのかが語られた。
CERNの設計思想は明確だった。研究者やスタッフはコンテンツ制作に集中し、ウェブチームが基盤全体を管理する。セルフサービスポータルから数クリックでサイトを申請でき、共通テーマとセキュリティ審査済みのプラグイン一式が自動適用される。初年度だけですでに数百のサイトが立ち上がったという。
Yde氏は会場にこう告げた。「本日より、CERNの旗艦サイト home.cern はWordPressで稼働している。自動移行を経て、すでに本番公開済みだ」
この発表が持つ象徴的な意味は大きい。Webを発明した機関が、いまWebの40%以上を動かすオープンソースソフトウェアを自ら選び、GPLライセンスの下で運用している。この対称性は、オープンソースコミュニティにとって強力な支持材料となるだろう。
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WordPress 7.0とAI。コアに組み込まれたネイティブAIの実像

WCEU 2026を通じて最も多くのセッションを横断していたテーマが、WordPress 7.0とAIの融合だった。単なる機能アップデートではなく、WordPressが「どう変わるか」の方向性を示す議論が展開された。
AIクライアントとAbilities APIの設計思想
パネルセッション「Inside WordPress 7.0」には、Juan Manuel Garrido氏、Adam Silverstein氏、Benjamin Zekavica氏、Sarah Norris氏、Milana Cap氏らリリース貢献者が登壇した。ここで明らかにされたのは、WordPress 7.0に実装された3つの中核的変革だ。
- ネイティブAIクライアントのコア実装
- Abilities API。プラグインが自身の機能を宣言し、他のツールから発見可能にする仕組み
- Connectors画面。OpenAI、Anthropic、Google GeminiなどのAIプロバイダーを管理画面から接続できる管理インターフェース
パネルでは単なる機能一覧にとどまらず、大規模なリリースがオープンに進行する過程そのものが解説された。貢献ワークフロー、複数チーム間の調整、公開状態でソフトウェアを出荷する人間的側面までが議題に上った点は、これまでのリリース説明とは一線を画す。
実務者たちが示した具体的ユースケース
Anukasha Singh氏はAbilities APIに焦点を当て、プラグイン権限のチェックを従来のcapability(権限)方式よりクリーンかつ安全にできることを示した。Vito Peleg氏のワークショップでは、単発のAIプロンプトから一歩進み、ライブサイトを監査して構造化チケットを自動生成するツール活用ワークフローが実演された。
WP-CLIメンテナーのAlain Schlesser氏は、AIアシスタントやAI検索がオープンウェブに実トラフィックをもたらしている現状を数字で示した。2025年半ばまでに10億件以上の参照訪問が記録されており、WordPressはその流入を受け止める準備ができていると指摘する。氏のセッションは、サイトがAIに「発見され、読まれ、引用される」ための実践的チェックリストとして構成された。
Tammie Lister氏の「Human in the loop means something」は、AI導入が議論される中で「人間がループにいる」というフレーズを単なるチェックボックスではなく本物の責任として捉え直した。人間とAIは得意分野が異なり、優れたプロダクトはそれぞれの強みを活かす設計になるべきだ、という主張だ。
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「つくる」現場の開発セッション

開発トラックでは、技術の深掘りが光った。Dennis Snell氏はHTML APIとブロックパーサーの設計に携わった立場から、HTML APIの内部構造と活用方法をワークショップ形式で解説した。Peter Wilson氏はパフォーマンスチームの長期コミッターとして、WP_Queryクラスのキャッシュ改善による高速化と、大規模サイトでの活用法を詳述している。
スケーリングに関するハンズオンセッションでは、12ドルの仮想サーバーでWordPressがどこまで耐えられるかをGrafanaでプロファイリングしながらチューニングする実演が行われ、GitHubリポジトリも公開された。Fellyph Cintra氏はWordPress Playgroundの最新状況を取り上げ、ブラウザベースのツール群とアーキテクチャ変更による高速化の成果を報告した。
Jessica Lyschik氏のセッションは、アクセシビリティ対応の要件が多くのテーマ開発者が想定するよりはるかに達成しやすいことを、ブロックテーマとクラシックテーマの実審査事例をもとに論じた。プラグイン審査チームのDavid Perez氏とFran Torres氏は、25,000件以上のプラグイン審査経験から、よくある回避可能な問題と審査待ち期間を短縮する具体的ノウハウを公開した。
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ビジネスとオープンウェブをめぐる議論

ビジネストラックでは、感傷を排した実践的な内容が続いた。Debbie Levitt氏は3つのレイヤーで同時にプロダクトマーケットフィットを追求するモデルを提示し、「チームが一つの良い指標を祝った数ヶ月後、なぜユーザーが去ったのかわからなくなる」という問題に切り込んだ。Vassilena Valchanova氏は、仕事ができることと、それを周囲に知られていることは別物だという、スキルと認知のギャップをテーマに据えた。
クラクフを拠点とするフルスタック開発者Irfani Silviana氏は、Business Model Canvasを「開発者が機能出荷から事業価値の創出へ視点を移すための変換レイヤー」と位置づけ、地元での登壇にふさわしい内容を披露した。
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クロージングセッション。教育、AI、オープンソースの交差点

最終日のクロージングでは、クラクフ工科大学の代表者が登壇し、WordPressエグゼクティブディレクターのMary Hubbard氏に情報数学部からの贈り物を手渡した。同大は2026年10月からWordPress専門コースを開講する。これはポーランド国内だけでなくWordPressコミュニティ全体にとっても先駆的な取り組みだ。
Hubbard氏はGutenbergプロジェクトリードのMatías Ventura氏と、WordPressデザイナー兼開発者のRich Tabor氏をステージに招き、WordPressの将来方向性を議論した。Ventura氏はWordPress 7.0のリリースリードを務めたばかりで、まず全貢献者にスタンディングオベーションを求めた。
- ● クラクフ工科大学のWordPress専門コース開講(2026年10月〜)
- ● WordPress Campus ConnectとWordPress Creditsの教育プログラム成果
- ● AIとWordPressの関係。デザインシステムの長期的投資がAI連携で成果を上げている
- ● WP-CLIをAIモデルが流暢に利用。Studio Codeエージェントベースのコーディングツール開発
- ● USパイロット版AIリテラシーマイクロクレデンシャル。WordPressを学習の場に活用
Hubbard氏はオープンソースとAIの関係について、明確な立場を示した。「オープンソースこそがWordPressの成長を支えてきた。同じ価値観がAIを形作るべきであり、コミュニティはもっと声高に主張すべきだ」
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この記事のポイント
- WCEU 2026には81カ国から2,458名が参加。CERNがWordPress採用の基調講演を実施
- WordPress 7.0にネイティブAIクライアント、Abilities API、Connectors画面が実装された
- AI関連セッションでは「人間とAIの役割分担」「実務的な監査自動化」が具体的に語られた
- 開発トラックではWP_Queryキャッシュ改善、HTML API、アクセシビリティ対応の実審査事例が共有された
- クラクフ工科大学が2026年10月よりWordPress専門コースを開講。教育分野での広がりが加速している
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WordCamp Asia 2026開催、Kinstaが初のインド進出でコミュニティと交流
WordPressコミュニティのアジア最大級イベント「WordCamp Asia 2026」が、2026年4月9日から11日までインド・ムンバイで開催される。会場はJio World Convention Centreだ。
このイベントには、アジアを中心とした世界中のWebエージェンシー、開発者、マーケター、デジタルプロフェッショナルが集結する。主催者によれば、エネルギーと創造性に満ち、急成長するデジタルエコシステムを抱えるムンバイは、WordPressコミュニティが集うのにふさわしい場所だという。
WordPress向けマネージドホスティングサービスを提供するKinstaは、今回が初のインドでの公式参加となる。同社はブース出展に加え、AIとマーケティングをテーマにしたパネルディスカッションのモデレートも担当する。
WordCamp Asia 2026の概要とKinstaの参加

WordCamp Asiaは、WordPressのオープンソースプロジェクトを支えるグローバルコミュニティが主催する地域カンファレンスの一つだ。アジア太平洋地域のWordPressユーザーや開発者が年に一度集まり、最新の技術動向、ビジネスノウハウ、コミュニティ活動について情報交換を行う。
2026年の開催地であるムンバイは、インドの経済と文化の中心地であり、活気あるスタートアップシーンとIT産業を擁する。この地での開催は、インドおよび南アジア地域におけるWordPressの普及とコミュニティ成長を後押しする大きな契機となる。
Kinstaのブースと担当スタッフ
Kinstaは会場内の409番ブースに出展する。来場者はブースでKinstaのチームと直接対話し、限定グッズを受け取り、WordPressプロジェクトに関する相談ができる。
Kinstaからは2名のスタッフが参加する。アジア太平洋地域のパートナーシップおよびコミュニティマネージャーを務めるAlexander Ando-Michaelsonと、EMEA地域のアカウントエグゼクティブであるSachi Jainだ。両名は、ホスティングプラットフォームの技術的特長だけでなく、地域ごとのビジネスニーズや開発環境についての知見も有している。
初のインド進出が意味するもの
Kinstaのインド初進出は、同地域のデジタル市場に対する本格的なコミットメントを示すものだ。インドは世界有数のIT人材を輩出し、デジタル経済の成長が著しい。WordPressは同国においても、企業のコーポレートサイトからECサイト、メディアプラットフォームまで、幅広く採用されている。
Kinstaのようなグローバルホスティングプロバイダーが直接コミュニティに参加することは、現地の開発者や企業が国際的なベストプラクティスや高性能インフラに触れる機会を提供する。これは、地域のWeb制作・開発の質的向上にも寄与すると見られている。
注目セッション:AIがマーケティング手法を再構築する

カンファレンスのセッションの一つとして、「AIが伝統的および近代的マーケティング手法をどのように再構築しているか」をテーマにしたパネルディスカッションが行われる。このセッションのモデレーターを、KinstaのAlexander Ando-Michaelsonが務める。
パネルの議論内容
パネルでは、AIがSEO、コンテンツ制作、ディスカバラビリティ(発見可能性)をどのように変容させているかに焦点が当てられる。具体的には、キーワードリサーチの自動化、パーソナライズされたコンテンツ生成、ユーザー行動予測に基づく広告配信最適化など、実際のマーケティング業務へのAI導入事例が議論される予定だ。
また、AIの急速な進化に対応して、マーケティングチームの組織構造やワークフローがどのように変化しているかについても検討される。リアルタイムデータ分析やオートメーションツールの普及により、従来の役割分担や意思決定のプロセスが再定義されている現状が共有される見込みだ。
WordPressエコシステムにおけるAIの位置づけ
このセッションの背景には、WordPress自体のAI機能統合の動きがある。ブロックエディタ(Gutenberg)へのAI支援機能の組み込みや、AIを活用したプラグインの増加は、コンテンツ作成の効率化を推し進めている。
一方で、生成AIが生み出すコンテンツの品質管理、SEOへの影響、著作権や倫理的な課題は、サイト運営者やマーケターにとって新たな検討事項となっている。パネルでは、こうした実務上の課題と機会のバランスについても、現場の声が交わされると期待される。
コミュニティ交流を深めるネットワーキングディナー

カンファレンス初日の4月9日(木曜日)には、Kinsta主催の招待制ネットワーキングディナーが会場近くで開催される。このディナーは、デジタル、マーケティング、テクノロジー分野のリーダーを対象とした交流の場だ。
ディナーの目的と過去の実績
Kinstaはこれまで、シンガポール、シドニー、東京などアジア太平洋地域の主要都市で同様のネットワーキングイベントを開催してきた。これらのイベントは、公式カンファレンスとは異なるリラックスした環境で、業界のプロフェッショナル同士が深く対話し、協力関係を築く機会として評価されている。
ムンバイでの開催は、インドのWordPressおよびデジタル業界のキーパーソンと、グローバルなプレイヤーをつなぐ役割を果たす。食事と飲み物を共にしながら、今後のWebの在り方やビジネスチャンスについて率直な意見交換が行われる。
コミュニティ形成における非公式イベントの価値
大規模カンファレンスでは、セッションやブース訪問が中心となり、個人間の深い対話には時間的制約がある。招待制の小規模ディナーは、そうした隙間を埋める。共通の課題や興味を持つ参加者同士が、より具体的なプロジェクトや協業の可能性について話し合える場を提供する。
オープンソースプロジェクトの持続的成長には、コードやドキュメントの貢献だけでなく、人的な信頼関係に基づくコミュニティの結束が不可欠だ。このような非公式交流は、コミュニティの社会的資本を強化する上で重要な役割を担っている。
WordPressホスティング市場と今後の展望

KinstaのWordCamp Asiaへの参加は、単なる企業PRを超えた意味を持つ。高性能なマネージドWordPressホスティング市場が、成熟した欧米から新興のアジア市場へと焦点を移しつつあることを示唆している。
アジア市場の特殊性と対応
アジア地域は、インターネットインフラ、利用デバイス、ユーザーの行動パターンが欧米と異なる。モバイルファーストの環境が主流であり、多様な言語や文字コードへの対応が求められる。さらに、国や地域ごとに異なるデータ保護規制(例えばインドの個人データ保護法)への準拠も必要だ。
ホスティングプロバイダーは、グローバルなサービス水準を維持しつつ、こうした地域固有の要件にどう応えるかが課題となる。現地のコミュニティイベントに参加し、直接フィードバックを得ることは、サービス改善と市場理解を深める有効な手段だ。
オープンソースと商業サービスの共生
WordPressは無償のオープンソースソフトウェアだが、その上で動作する高品質なWebサイトを構築・運営するには、有償のホスティング、テーマ、プラグイン、開発サービスが不可欠だ。WordCampのようなコミュニティイベントは、この「無償のコア」と「有償のエコシステム」が健全に共存し、互いに成長し合うための接点を提供している。
Kinstaのような商業企業がコミュニティに積極的に関わることで、プロジェクトへの資金還元(スポンサーシップ)や、開発者向けの最新技術情報の提供が可能になる。これは、オープンソースプロジェクトの持続可能性を高めるモデルの一つと言える。
この記事のポイント
- WordCamp Asia 2026は4月9日から11日まで、インド・ムンバイのJio World Convention Centreで開催される。
- Kinstaが初めてインドに進出し、409番ブースで来場者と交流する。APAC地域担当のAlexander Ando-Michaelsonが、AIとマーケティングをテーマにしたパネルディスカッションのモデレーターを務める。
- カンファレンス初日には、Kinsta主催の招待制ネットワーキングディナーが開催され、業界リーダー間の交流が図られる。
- この参加は、アジア市場、特にインドにおけるWordPressエコシステムの成長と、高性能ホスティングサービスの需要の高まりを反映している。
- コミュニティイベントは、オープンソースプロジェクトと商業サービスが共生し、互いの発展を促す重要なプラットフォームとなっている。

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