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WooCommerce 11.2が登場、商品CSVのUPC照合と決済日付入力を追加

WooCommerce 11.2が登場、商品CSVのUPC照合と決済日付入力を追加

WooCommerce 11.2が2026年10月8日にリリースされた。今回のアップデートでは商品CSVインポートの照合方法が拡張され、サプライヤーから届いたUPCだけの価格表をそのまま取り込めるようになった。ほかにもチェックアウトでの日付入力、注文撤回メールの設定、カタログ画面のパフォーマンス改善が含まれる。

ECサイトを運営する担当者にとって、日々の商品管理と受注業務に直結する変更が中心だ。特に商品コードを使った一括更新は、数千点規模の在庫を扱う店舗で作業時間を大きく短縮できる。本記事ではWooCommerce 11.2の主要な変更点と、アップデート前に確認しておきたい注意事項をまとめる。

WooCommerce 11.2の主な変更点

WooCommerce 11.2の主な変更点

WooCommerce 11.2はWordPressのECプラグインとして広く利用されているWooCommerceのマイナーアップデートだ。公式ブログでは変更点を6つの項目に分けて紹介している。いずれも店舗運営の効率化に寄与する内容で、商品管理から顧客体験の改善まで幅広い。

WooCommerce 11.2の変更点マップ
商品管理 CSVインポートがUPC・GTINなどで照合できる
チェックアウト 注文時に日付入力欄を追加できる
メール設定 注文撤回メールを管理画面で設定できる
パフォーマンス カタログ画面とレポート集計が高速化
ブロック機能 商品フィルターがスティッキー表示に対応
注意点 一部メールのCC・BCC配信が停止される

上記のほか、セキュリティ改善とデータベース更新も含まれる。更新前にバックアップを取得しておくことが推奨される。

商品CSVインポートがUPC・GTINなどのコードに対応

商品CSVインポートがUPC・GTINなどのコードに対応

商品コードとは

UPC(Universal Product Code)は主に米国で使われるバーコード規格で、商品パッケージに印刷された12桁の数字を指す。GTIN(Global Trade Item Number)は国際標準の商品識別コード、EAN(European Article Number)は欧州で広く使われるバーコード、ISBNは書籍の識別コードだ。いずれも商品を一意に特定するための番号で、サプライヤーから届く価格表にはこれらのコードだけが記載されていることが多い。

インポート時の照合の流れ

WooCommerceの商品CSVインポート機能では、これまで各行を商品IDまたはSKUで照合して既存商品を更新していた。11.2では照合の優先順位が拡張され、ID、SKU、GTIN、UPC、EAN、ISBNの順に一致する商品を探す。サプライヤーからUPCだけの価格表を受け取った場合でも、そのままCSVファイルとしてアップロードできるようになった。

CSVインポートの照合順序
STEP 1 商品IDで照合
↓
STEP 2 SKUで照合
↓
STEP 3 GTIN・UPC・EAN・ISBNで照合
照合は上から順に行われ、最初に一致したコードが使われる

利用するにはインポート画面で「既存の商品を更新」を有効にする必要がある。同一商品にSKUとUPCの両方が登録されている場合はSKUが優先される仕組みだ。

チェックアウトで日付入力を追加できる

チェックアウトで日付入力を追加できる

日付フィールドの用途

チェックアウトブロックを使用している店舗では、注文手続き中に顧客へ日付を尋ねられるようになった。配達希望日や誕生日など、商品の性質に合わせて自由に用途を決められる。顧客はスマートフォンやブラウザ標準の日付ピッカーを使って日付を選択する。店舗側は選択できる日付の範囲も制限できる。

設定方法

この日付フィールドを追加するには、チェックアウトブロックの設定にショートコードスニペットを追加する。テーマのfunctions.phpやコード管理プラグインに数行のコードを貼り付けるだけで有効化できる。コードの詳細は公式のリリースノートに記載されている。

チェックアウト画面の変化
従来のチェックアウト(Before)
お名前
入力欄
配送先住所
入力欄
↓
改善後のチェックアウト(After)
お名前
入力欄
配送先住所
入力欄
配達希望日
日付を選択

この例では配達希望日を追加しているが、誕生日や引き取り希望日など、店舗の運用に合わせて自由にラベルを変更できる。

注文撤回メールを管理可能に

注文撤回メールを管理可能に

EU圏の顧客に販売している店舗向けの変更も入った。注文撤回(キャンセル要求)が発生したときに送信される2種類のメールを、管理画面から設定できるようになった。1つは顧客が受け取る確認メール、もう1つは店舗側に届く通知メールだ。

WooCommerceの設定画面にある「メール」セクションで、それぞれのメールに独自のメッセージを追加できる。プレビューで内容を確認し、通知を受け取る担当者を選び、必要なければメール自体を無効化することも可能だ。これまではコードでしか変更できなかった設定が、管理画面だけで完結するようになった。

パフォーマンス改善とブロックの新スタイル

パフォーマンス改善とブロックの新スタイル

カタログと管理画面の高速化

商品数が5点でも5万点でも、カタログ画面で商品を自由に並べ替えられるようになった。可変商品(サイズや色などのバリエーションを持つ商品)を含む店舗では、商品ページの読み込みとチェックアウト処理が高速化している。レポート集計ではデータベースへのクエリ数が減り、顧客数が増えてもメモリ使用量が増加しにくくなった。

レポート集計のパフォーマンス
従来(Before)
データベースクエリ数が多い
顧客数に比例してメモリ使用量が増加
↓
WooCommerce 11.2(After)
クエリ数を削減
メモリ使用量が顧客数に依存しない

大量の顧客データを持つ店舗ほど、この改善による管理画面の体感速度は大きく変わる。レポート表示が遅くて開くのを待っていた店舗は、更新後に改善を実感しやすい。

商品フィルターブロックのスティッキー表示

商品フィルターブロックにスティッキー(追従)表示のオプションが追加された。長いカテゴリーページを顧客が下へスクロールしても、フィルター条件が画面上部に表示され続ける。絞り込みのたびにページ先頭まで戻る手間がなくなる。

ほかにも数量セレクター(カート内のものを含む)は枠線、影、色、角丸を設定できる。商品画像には枠線、フィルターチップにはフォントと余白のコントロールと角丸が追加された。これらのスタイルは外観 > エディター > スタイル > ブロックの画面で店舗全体に一括設定するか、ブロック単位で個別に調整する。

アップデート前に知っておくべき注意点

アップデート前に知っておくべき注意点

既存メール設定への影響

パスワードリセット、新規アカウント作成、メール確認の各メールについて、自分自身をCCまたはBCCでコピー受信していた場合、その配信が停止される。これらのメールにはログインリンクが含まれるため、本人以外には送られないようにするセキュリティ上の変更だ。

ダウンロードリンクと権限の変更

標準のダウンロードリンクは従来どおり動作する。ただし、まれにカスタム登録やインポートで不正なデータを持つリンクは動作しなくなる可能性がある。顧客から報告があれば、注文画面からリンクを再発行すればよい。

ショップマネージャー(店舗運営者)が、フォーラム権限や会員権限など特定の追加権限を持つユーザーを編集できなくなる。そのようなユーザーの編集はWordPress管理者が行うことになる。

アップデート手順の注意

WooCommerce 11.2にはセキュリティ改善とデータベース更新が含まれるため、運営中のすべての店舗でアップデートを適用することが推奨される。データベース更新が走るので、事前のバックアップが必須だ。

この記事のポイント

  • WooCommerce 11.2は2026年10月8日にリリースされた
  • 商品CSVインポートがUPC・GTIN・EAN・ISBNでの照合に対応した
  • チェックアウトブロックに日付入力欄を追加できる
  • 注文撤回メールの管理画面設定が可能になった
  • パフォーマンス改善とセキュリティ更新を含むためバックアップしてアップデートを
WooCommerceがAI商品提案プラグインβ版公開、カタログ改善を自動化

WooCommerceがAI商品提案プラグインβ版公開、カタログ改善を自動化

WooCommerceが2026年5月25日、商品カタログの品質改善を支援する新プラグイン「AI Product Advisor」のパブリックベータ版を公開した。このツールはサイト内の全商品を分析し、改善の余地が大きい商品を特定した上で、タイトルや説明文の修正案を提示する。EC担当者が抱える「どこから手をつければいいかわからない」という課題に、AIが直接答えを出す形だ。

商品カタログのメンテナンスは後回しにされがちな作業の一つである。タイトル、説明文、カテゴリ、タグ、バリエーション情報と、改善ポイントは無数に存在する。人的リソースが限られる中小規模のECサイトでは、優先順位をつけること自体が難しかった。AI Product Advisorはこの問題に対して、データに基づく判断軸を提供する。

本記事では、AI Product Advisorの主要機能と導入方法を解説する。さらに、このツールがEC運営にもたらす実務的な変化と、AIエージェントの台頭がECサイト運用に与える構造的な影響について考察する。WooCommerceユーザーはもとより、EC業界全体のトレンドを掴みたい担当者にも有用な情報だ。

AI Product Advisorの概要

AI Product Advisorの概要

AI Product Advisorは、WooCommerce管理画面に専用のメニューを追加するプラグインである。アクティベート後の初回起動時にオンボーディングプロセスが走り、既存ストアのコンテンツを分析する。このとき単に商品データを読み込むだけでなく、ストア固有のブランドトーンを学習する点が特徴だ。これにより、AIが生成する提案文が「無機質なAIコピー」ではなく、ストアの世界観に沿った自然な文体になる。

分析完了後、プラグインは商品タイトル、詳細説明、短い説明文、カテゴリ、タグ、バリエーション詳細といったフィールド単位で改善提案を生成する。提案は一覧画面にキューとして蓄積され、EC担当者は優先度の高いものから順に確認できる。各提案はサイドバイサイドの差分表示で提示され、元のテキストとAI提案文を比較しながら、ワンクリックで適用するか編集するかを選べる。

3つの主要ビュー

本プラグインは、EC担当者の業務フローに合わせた3つの画面で構成されている。

概要 Overview

保留中の提案数、承認率、週間利用状況をダッシュボード表示。変更適用済み商品には「受注増減インジケーター」が付き、改善後の効果を数値で追跡できる。

↓
提案キュー Suggestions

優先度順にソートされた改善提案の一覧。商品をクリックするとインライン編集可能な差分画面が開き、その場でテキストを調整できる。

↓
履歴 History

承認したすべての変更を時系列で記録する監査ログ。各変更は元に戻すことができ、誤った適用を即座にリバート可能。

3つのビューは、EC担当者の「状況把握→改善実行→事後検証」という一連の業務サイクルに対応している。特に履歴画面の存在は重要だ。AI提案を機械的に適用するのではなく、人間が判断し、結果を検証し、必要に応じて差し戻すという運用プロセスを前提に設計されている。

ブランドトーン学習の仕組み

ブランドトーン学習の仕組み

AI Product Advisorが他のAIライティングツールと一線を画すのは、ストア固有のブランドトーンを学習する機能である。オンボーディング時にプラグインは既存の商品説明文やストア情報を分析し、「です・ます調」「だ・である調」の文体選択にとどまらず、語彙の傾向、感情表現の強さ、専門性のレベルまでプロファイル化する。

Developer WooCommerce Blogの記事によれば、このトーンプロファイルは提案生成時に参照され、AIが出力するテキストをストアの世界観に自動調整する仕組みだ。たとえばカジュアルなファッションブランドであれば親しみやすい口調で、ビジネス向けのBtoB商材なら専門的でフォーマルな表現で提案が生成される。AIコピーにありがちな「無機質さ」や「浮いた感じ」を抑える狙いがある。

ブランドトーン未調整の場合(一般的なAI提案)
「当店自慢の逸品!是非ご賞味あれ。期間限定の特別価格にてご提供中。お急ぎを。」
↓
ブランドトーン調整後(ストアに合わせた提案)
「2024年産新米、精米したてのお米を農家直送で。ふっくら炊き上がる食感が自慢です。定期購入なら毎回5%引き。」
※AIが既存コンテンツから「落ち着いたトーン」「事実ベースの説明」「特典の明示」を学習し、提案に反映

この機能がもたらす実務上の恩恵は大きい。従来のAIライティングツールは「それっぽい文章」を出力できても、ストアの声と一致させるには結局人間が手直しする必要があった。トーンプロファイルによる自動調整は、この手直し工程を大幅に削減する可能性を秘めている。もっとも、ベータ版であるため、現時点では学習精度にばらつきが出ることも想定しておくべきだろう。

導入方法とベータ版の注意点

導入方法とベータ版の注意点

インストール手順

  • GitHubのリリースページからプラグインZIPファイルをダウンロードする
  • WordPress管理画面で「プラグイン」→「新規追加」→「プラグインをアップロード」を開く
  • ダウンロードしたZIPファイルを選択し、インストール後に有効化する
  • 管理メニューに追加された「Product Advisor」を開き、オンボーディングを完了させる

オンボーディングではストアの接続とブランドトーンの設定を行う。所要時間はストアの商品点数によって変動するが、Developer WooCommerce Blogの記事では明示的な所要時間の言及はない。小規模ストアであれば数分、数千SKUを抱える大規模ストアでは相応の処理時間を見込む必要があるだろう。

ベータ版利用時の注意点

AI Product Advisorは「実験的なプラグイン」という位置づけである。WooCommerce開発チームは「実際の利用から学ぶために早期公開した」と明言しており、本番環境への導入はステージング環境での十分なテスト後が推奨される。フィードバックはGitHub IssuesまたはDeveloper WooCommerce Blogのコメント欄で受け付けている。

また、AIが提案するテキストはあくまで「提案」であり、最終的な判断と責任はストア運営者にある。特に法的表記が必要な商品(食品表示、薬機法関連、特定商取引法に基づく表記など)については、AI提案をそのまま適用せず、必ず担当者が内容を確認する必要がある。

AI Product Advisorが示すEC運営の変化

AI Product Advisorが示すEC運営の変化

AI Product Advisorの登場は、単なる「便利なプラグインが増えた」という話にとどまらない。EC運営におけるAIの役割が「分析補助」から「実行提案」へと明確にシフトしている点が重要だ。

従来のEC向けAIツールは、アクセス解析や売上レポートといった「現状把握」を支援するものが中心だった。データを見て、そこから改善策を考えるのは人間の役割である。一方、AI Product Advisorは「この商品の説明文にこういう問題がある」「こう書き換えると効果が見込める」という具体的な行動提案まで踏み込んでいる。WooCommerceのエコシステムにおいて、AIが「実行レイヤー」に進出した最初期の事例と言える。

従来のEC運営フロー(Before)
担当者 データ確認 → 仮説立案 → 手動で修正 → 効果を待つ
↓
AI Product Advisor導入後(After)
AI 自動分析 → AI 改善提案を提示 → 担当者 ワンクリック適用 → 担当者 効果を数値で確認

このフロー変化が示すのは、EC担当者の役割が「考えて書く人」から「判断して承認する人」へと変わりつつあることだ。時間を奪われていた反復作業から解放され、本来注力すべき「戦略立案」や「ブランド育成」にリソースを振り向けられるようになる。WooCommerceがAIエージェントへの布石を打ったと見ることもできる。

AIエージェント型EC運用の展望

AI Product Advisorはまだ「提案→人間が判断」という協調型だが、この延長線上には「AIが自動的にA/Bテストを実施し、勝ちパターンを学習して自律的にカタログを最適化し続ける」エージェント型運用が想定される。WooCommerceの開発チームがGitHub上で公開しているソースコードには、将来的な拡張を見越したアーキテクチャが示唆されている。

EC運営者はこの流れを「自分たちの仕事が奪われる」と警戒するのではなく、「ルーティンワークから解放されるチャンス」と捉えるべきだ。AIが商品説明文を最適化している間、人間は新商品の企画や顧客体験の設計といった、より創造的な業務に集中できる。中小規模のEC事業者にとって、この人的リソースの再配分が競争力の源泉になる。

この記事のポイント

  • AI Product Advisorは商品カタログ全体を分析し、改善余地の大きい商品を優先度順に提示する
  • ブランドトーン学習機能により、ストア固有の文体に合わせた自然な提案文が生成される
  • 3つのビュー(概要・提案キュー・履歴)で、改善実行から効果検証まで一貫して管理できる
  • ベータ版のため、本番適用はステージング環境でのテスト後に実施することが推奨される
  • AIが「実行提案」まで踏み込むことで、EC担当者の役割は「判断と承認」へシフトしつつある
WooCommerce商品管理が大幅刷新へ、DataViewsで超高速カタログ操作

WooCommerce商品管理が大幅刷新へ、DataViewsで超高速カタログ操作

WooCommerceの商品管理画面が、WordPressのDataViewsとDataFormsという基盤技術を用いて根本から再構築された。2026年5月21日、Automatticの開発者らが4週間の「Radical Speed Month」で生み出した概念実証(PoC)として公開したものだ。

このPoCは実際に動作し、WooCommerceのコアに機能フラグ付きで組み込まれている。商品一覧の高速な検索・絞り込み、バリエーションの階層表示、そして長年要望の多かったクイック編集と一括編集を、サードパーティ製プラグインなしで実現する。現在50以上存在する補完系拡張機能の多くが不要になる可能性を秘めた、意欲的な試みだ。

これはリリースを約束するものではなく、コミュニティからのフィードバックを得るための実験的ビルドである。大規模カタログでのパフォーマンス、拡張機能向けのAPI整備、一括編集の堅牢化など、まだ多くの課題は残る。しかし、WooCommerceの管理画面体験がどこへ向かおうとしているのか、その方向性をはっきり示すものとなっている。

カタログ管理が抱えてきた構造的な問題

カタログ管理が抱えてきた構造的な問題

商品管理はWooCommerce店舗運営の中核業務だ。それにもかかわらず、管理画面の体験はマーチャントの期待に追いついていなかった。ユーザーから繰り返し寄せられていた要望は、より優れた検索とフィルタリング、多数の商品を横断的に操作できる一括編集、情報量の多いクイック編集、そしてバリエーションを親商品から開かずに一覧できる仕組みだった。

このギャップを最も如実に物語るのが、エコシステムの現状だ。WooCommerceの商品管理ワークフローを補完するために、クイック編集拡張、一括編集ツール、スプレッドシート形式のグリッド、カスタムカラムマネージャーなど、50以上の拡張機能が存在している。これは「拡張性がある」という健全な状態ではない。コアが基本的な操作フローすら提供できておらず、マーチャントが他社製プラグインで組み立てざるを得ない状況を意味する。

今回のプロジェクトが問いかけたのは、WordPressコアがDataViewsとDataFormsをプリミティブとして提供するようになった今、「全商品」画面をそれらのネイティブ機能で再構築できるのか、そして拡張機能エコシステムが補ってきた機能を失わずに済むのか、という点だ。

従来の商品管理画面(Before)
● バリエーション確認に商品ごとのクリックが必要
● 一括編集機能が限定的で拡張機能に依存
● 高度なフィルタリングはプラグイン頼み
↓
DataViewsベースの刷新コンセプト(After)
● 親商品を展開するだけで全バリエーションが子行表示
● コア標準の一括編集モーダルで複数商品を同時編集
● カラムのカスタマイズと高速検索がネイティブ動作

この比較図が示す通り、刷新後の画面では商品操作の導線が大幅に短縮される。特にバリエーションの扱いは、従来の「個別クリックで詳細画面へ」から「一覧上で即時展開」へと変化し、数十のバリエーションを持つストアでの作業効率が大きく変わる見込みだ。

4週間で構築された3つの主要機能

4週間で構築された3つの主要機能

この概念実証は、フル機能の再設計ではなく、最も差し迫った3つの要素に集中して開発された。いずれもWordPressコアが提供する既存のプリミティブの上に構築されており、アドオン的ではなくネイティブな操作感を実現している。

機能 1 DataViewsネイティブテーブル
カスタマイズ可能なカラム、高速スキャン、ソート、フィルタリングを備えた商品一覧テーブル。拡張機能なしで実用的な商品検索・絞り込みが可能。
機能 2 バリエーションの階層行表示
親商品の行を展開すると、バリエーションが子行としてインライン表示される。一括操作は親商品単位でも、選択した子行単位でも実行可能。
機能 3 クイック編集と一括編集のネイティブ実装
長年にわたる要望に応え、コアのモーダルパターンを用いた編集機能を実装。WordPress標準のUIパターンを踏襲し、自然な操作感を提供する。

これらの機能は、WooCommerceチームがこれまで外部拡張に委ねていた中核的な操作を、ついにコアに取り込む試みだ。特に注目すべきは、WordPress 6.5以降で導入されたDataViewsとDataFormsというプリミティブを活用している点である。これらは管理画面のデータ表示と編集フォームを抽象化するAPIで、サイトエディターなどで実績を積んだ技術だ。WooCommerceチームはこの技術をEC特化の文脈に応用し、商品管理に適したUIへと転用している。

現在の制約とこれからの重点課題

現在の制約とこれからの重点課題

このPoCは完成した機能ではなく、あくまで検証用の実験的ビルドである。現時点で最も重要な制約は、大規模カタログでのパフォーマンスだ。開発チームは4週間という短期間でコア体験の検証を優先したため、商品数やバリエーションが数千を超えるストア向けの最適化はこれから取り組む段階にある。

今後の作業として、開発チームは次の3つの領域を次の重点課題と位置づけている。

課題 1 パフォーマンス
DataViewsのレンダリング層と、アイテム選択の動作を含む上位のインタラクション層の両方を、数千単位の商品とバリエーションを持つ大規模カタログでも快適に動作するよう平滑化する必要がある。
課題 2 拡張性
現在のテーブルはファーストパーティ体験として動作する。次の大きな段階は、拡張機能がクイック編集や一括編集のフローを含めて構築できる、安定した予測可能なAPI基盤にすることだ。必要なフック、フィルター、カスタマイズポイントの整備が焦点となる。
課題 3 一括編集の堅牢化
現在の実装は一般的なケースに対応しているが、次の段階では一括編集をより堅牢にし、コアの規約により深く準拠させ、拡張機能が統合しやすいよう明示的に設計し直す必要がある。

いずれも、現時点でPoCを試用する妨げにはならない。しかし開発チームが今このタイミングでフィードバックを募る理由はここにある。APIの基盤設計が本格化する前に、実際の利用者や拡張機能開発者からの具体的な意見を得たいのだ。

コミュニティに求められるフィードバック

コミュニティに求められるフィードバック

開発チームが特に聞きたいのは、次の3つの観点だ。

  • マーチャントとストア構築者から 実際の商品管理業務と比較して、この体験が通用するかどうか。どの操作で時間が節約でき、どの部分が作業の妨げになるか。
  • 拡張機能の開発者から 現在依存している統合パターンをDataViewsネイティブテーブルにきれいに移行するために何が必要か。仕事に最も影響するフック、フィルター、カスタマイズポイントはどれか。
  • すべての人から 粗削りな部分、「10秒間混乱した」瞬間、挙動に驚いた点、探したが見つからなかった機能。

なお、移行とAPI連携の作業はこのPoCの範囲外だが、その計画は現在進行形で進められている。このテーブル基盤を利用・拡張する人々から早期に意見を得られれば得られるほど、最終的な実装の形はより良いものになる。

実際に試す方法

実際に試す方法

このPoCには、技術的な環境構築なしで触れられる手段を含め、複数の試用経路が用意されている。

Playgroundデモ(最短経路)
デモを開く(外部リンク)と、WooCommerceの開発版が機能フラグ有効状態で起動し、サンプル商品がインポート済みの状態で試せる。
自身のサイトにインストール
WooCommerce開発版、Gutenbergプラグイン、Beta Testerプラグイン、関連する機能フラグの有効化が必要。詳細な手順はEpic #64414に記載されている。
フィードバック送信
商品管理画面に組み込まれた2分のアンケートが最も早い経路だ。画面タイトル横のインタラクティブバッジから直接アクセスできる。Epic #64414へのコメントやブログ投稿への返信でも受け付けている。バグ、些細な使い勝手の問題、拡張機能統合に関する疑問、すべてが適切に届く。

Playgroundデモは特に注目に値する。WordPressのブラウザ上で動作する瞬間実行環境であり、サーバーやローカル環境の準備が一切不要だ。WooCommerceの開発チームが専用のブループリントを用意したことで、数クリックで刷新された商品管理画面を試せる。このようなハードルの低さは、コミュニティからの広範なフィードバック収集を促す重要な施策である。

この記事のポイント

  • WooCommerceの商品管理画面がDataViewsとDataFormsで再構築され、概念実証として公開された
  • バリエーションの階層表示、カスタマイズ可能なテーブル、クイック編集・一括編集のネイティブ実装が含まれる
  • 大規模カタログでのパフォーマンス、拡張機能向けAPI、一括編集の堅牢化が今後の重点課題
  • Playgroundデモで環境構築不要の即時試用が可能で、コミュニティからのフィードバックを募集中
  • これはリリース確定機能ではなく、方向性を探るための実験的ビルドである