WordPress 7.1正式版が8月19日リリース。レスポンシブスタイルと疑似状態の全容

WordPress 7.1正式版が8月19日リリース。レスポンシブスタイルと疑似状態の全容

WordPress 7.1正式版が8月19日リリース。レスポンシブスタイルと疑似状態の全容

WordPress 7.1の正式版が2026年8月19日にリリースされる。WordCamp US最終日と重なるタイミングで、すでにRC1とRC2が公開され、機能セットは確定済みだ。先月にはセキュリティリリース2件も出ており、影響を受けるサイトは自動更新が強制された。

今回のアップデートで注目が大きいのは、レスポンシブブロックスタイルと疑似状態スタイルのコア導入だ。テーマ開発者はモバイルとタブレットの表示をtheme.jsonだけで制御できるようになる。プラグイン開発者もリストテーブルの構造変更に注意が必要だ。正式版まで残り数日、互換性確認のポイントを解説する。

WordPress 7.1は8月19日リリース、RC2まで公開済み

WordPress 7.1は8月19日リリース、RC2まで公開済み

正式版はWordCamp US最終日に到着

WordPress 7.1は8月19日にリリース予定だ。ちょうど8月16日から19日にかけて米国フェニックスで開催されるWordCamp USの最終日と重なる。年次フラッグシップイベントの最終日に正式版が出るのは珍しいスケジュールで、現地参加者はその瞬間をライブで目撃できる。

先週までにRC1とRC2が立て続けに公開された。RC(Release Candidate / リリース候補版)とは、正式版の一歩手前の段階だ。ここまで来ると新機能の追加は終了し、バグ修正だけが行われる。Field Guideも公開済みで、全機能の開発者向け詳細がまとまっている。

セキュリティリリース2件、強制自動更新も発動

先月はセキュリティリリースが2件公開された。7月17日に出たWordPress 7.0.2は、重大な脆弱性1件と高深刻度の脆弱性1件に対処したものだ。深刻度が高かったため、影響を受けるバージョンのサイトには強制自動更新が適用された。続いて8月6日には7.0.3が公開され、十数件の追加修正が入っている。

管理しているサイトが両方の自動更新を何らかの理由で逃していた場合、先にそちらの更新を済ませることが最優先になる。7.1のテストはその後でかまわない。

レスポンシブスタイルがコアに登場

レスポンシブスタイルがコアに登場
デスクトップビュー(デフォルト)
パディング幅 3rem(約48px)
theme.json のデフォルト値がそのまま適用される
タブレットビュー(@tablet)
パディング幅 2rem(約32px)
782px 以下の画面で適用される
モバイルビュー(@mobile)
パディング幅 1rem(約16px)
480px 以下の画面で適用される

上記の図は、theme.jsonでデスクトップ・タブレット・モバイルのパディングを切り替える様子を視覚化したものだ。実際には端末の画面幅に応じて、この3つの状態が自動的に切り替わる。

theme.jsonでモバイルとタブレットのスタイルを定義

春先から開発が進められていたレスポンシブスタイルが、WordPress 7.1で正式にコアに導入された。ブロックのスタイルをタブレットとモバイルのビューポートごとに定義できる。Global Styles(グローバルスタイル)ではブロックタイプ単位で、個別のブロック単位でも設定可能だ。theme.jsonでは@mobile@tabletというキーの中にネストして記述する。

ここで押さえておきたいのは、@desktopキーが存在しない点だ。ブロックのデフォルトスタイルがそのままデスクトップスタイルになる。モバイルやタブレットで上書きしなかったプロパティは、すべてのビューポートでデフォルト値が適用される。

さらにテーマ側でブレークポイントを設定できる。theme.jsonのトップレベルにsettings.viewportプロパティを追加する仕組みだ。デフォルトはモバイルが480px、タブレットが782px。値はpx、em、remの非負の長さのみ許可され、CSS関数やパーセント、単位なしの値は無視される。タブレット値がモバイル値と同じか小さい場合は、モバイルのみが使われる。

標準ブロックサポートを使っているブロックは、タイポグラフィ、カラー、背景、ボーダー、寸法、スペーシング、レイアウトが自動的に対応する。逆に独自のスタイルコントロールを持つブロックは対象外だ。自作ブロックがある場合、この線引きで対応有無を確認してほしい。

疑似状態スタイルでホバーやフォーカスを制御

ボタンの疑似状態スタイル(4状態)
通常状態 ボタン
ホバー状態 ボタン
フォーカス状態 ボタン
アクティブ状態 ボタン
通常  ホバー  フォーカス枠  アクティブ

ホバーやフォーカスは実際の操作で状態が変わるため、上記は4つの状態を並べて示したものだ。実際の編集画面では「Hover」タブを選んでスタイルを設定する。

かねてから要望の多かった疑似状態スタイルも7.1で実装された。:hover:focus:focus-visible:activeをtheme.jsonとエディタで定義できる。現時点ではButtonブロックとNavigation Linkブロックに限定されている。

さらに初期段階のカスタムステート機能も入った。現状はtheme.jsonのみで、管理画面のUIはまだない。Navigation Linkブロックが現在のメニュー項目をスタイルするために-currentプロパティを使う仕組みだ。カスタムステートは-接頭辞を使い、ブロックのblock.jsonにあるselectors.statesプロパティで宣言したクラス名をターゲットにCSSを生成する。現時点では限定的だが、今後の拡張に向けた重要な布石だ。

新しいデザインツール3点

新しいデザインツール3点

テーマ開発者が長年待っていた変更を含む、デザインツールの追加が3つある。グラデーションと背景画像を同時に使えるようになるのは特に大きい。

背景グラデーションと背景画像を併用可能に

新しいbackground.gradientは既存のcolor.gradientとは別のサポートとして追加された。違いはCSSの出力先にある。従来のサポートはbackgroundショートハンドを通じて描画されるため、background-imageを含むすべてのbackground関連プロパティをリセットしてしまっていた。ブロックにグラデーションか画像のどちらか一方しか使えなかった理由だ。

新しいサポートはbackground-imageロングハンドで描画される。スタイルエンジンが1つの宣言内にグラデーションと画像をカンマ区切りで出力できるようになった。7.1ではGroup、Accordion、Pullquote、Post Content、Quoteがコアで対応する。値はstyle.background.gradientに保存される。

最小幅とテキストシャドウ

dimensions.minWidthは既存のminHeightと同じパターンで、CSSのmin-widthとして適用される。テーマがdimensionSizesプリセットを提供していれば、それを活用できる。1点注意があり、この設定はデフォルトではブロックインスペクターに表示されない。ブロック側で__experimentalDefaultControlsを通じてopt-inした場合のみ表示される。Global Stylesではデフォルトで表示される。

テキストシャドウもGlobal Stylesでサポートされた。これまでは個別ブロックやCSSでしか指定できなかったが、theme.jsonからサイト全体またはブロックタイプ単位で制御できる。

SVG Icon APIが正式公開

アイコン名の衝突を防ぐ名前空間の仕組み
名前空間なしの場合(衝突する)
core / star my-plugin / star 同じ名前で衝突
名前空間を付けた場合(安全)
core/star my-plugin/star それぞれ別のアイコンとして識別

アイコン名の衝突を防ぐため、コレクション名が名前空間の接頭辞になる。プラグイン独自のアイコンを登録しても、コアのアイコンと混同される心配がない。

WordPress 7.0でエディタとIconブロック向けにSVGアイコンのセットが同梱された。7.1ではこれが正式な公開APIになり、プラグインやテーマから登録できるようになった。wp_register_icon_collection()でコレクションを登録し、wp_register_icon()でアイコンを追加する。PHPの任意の場所でwp_get_icon()を使えば、サイズやクラス、ラベルを指定してアイコンを表示できる。

計画時に意識したい制限が2つある。登録したSVGはwp_ksesによって保守的な許可リストでサニタイズされる。許可されるのは<svg><path><polygon>のみ。許可リストの拡大作業は進行中だ。fillは図形部分にのみ許可され、外側の<svg>には付けられない。またwp_get_icon()単体で呼び出すとSVG自身のfill(黒)で描画される。周囲のテキスト色に合わせたい場合は、渡したクラスに対して自前でCSSを指定するのが推奨される。

エディタのiframe化とプラグインへの影響

エディタのiframe化とプラグインへの影響

投稿エディタは常時iframe表示へ

テンプレートエディタがiframe化されたのはWordPress 5.8からだ。それ以来、投稿エディタも段階的に移行してきたが、7.1で最終段階に入った。テーマの種類や登録ブロックのAPIバージョン、コンテンツ内のブロックのAPIバージョンに関係なく、投稿エディタは常にiframeで表示される。レガシーメタボックスを登録しているサイトも同様だ。

7.0では投稿ごとに挿入されたブロックに基づいて判断されていた。つまりコンテンツによってiframedモードと非iframedモードが切り替わり得た。この条件付き動作がなくなり、挙動が単純化された。

大半のブロックは変更なしで動作する。問題が起きる場合、ほとんどは1つの根本原因にたどり着く。iframeは管理者ページとは別のdocumentとwindowを持つ。エディタスクリプトが実行される管理者ページからグローバルのdocumentやwindowにアクセスしてキャンバスを操作しようとすると、間違ったドキュメントを見ていることになる。対処としては、キャンバス内の要素からownerDocumentdefaultViewでドキュメントを取得するか、useRefEffectでキャンバス要素にリスナーをアタッチ・クリーンアップするのが一般的だ。

リストテーブルの行ヘッダーが移動

カスタムCSSやJavaScriptを書いているプラグインにとって、静かに何かを壊す可能性が高いのがリストテーブルの変更だ。投稿一覧テーブルで、プライマリのth scope="row"がチェックボックス列からタイトル列に移動した。チェックボックスセルはtdになり、タイトルセルがthとして投稿タイトルを含むaria-labelを持つ。レスポンシブ表示で折りたたまれるセルはflexレイアウトを使うようになった。

これはアクセシビリティの大きな改善だ。スクリーンリーダーは各行を、場合によっては存在しないチェックボックスではなく投稿名で認識できるようになる。ただしこのマークアップは2010年以降ほぼ安定していたため、多くの拡張が暗黙的に依存している。th.check-columnを選択するCSSやJavaScript、td内の行アクションや投稿タイトルを期待するコードがある場合は確認が必要だ。

この記事のポイント

  • WordPress 7.1は8月19日リリース予定、RC2まで公開済みで機能セットは確定
  • セキュリティリリース7.0.2と7.0.3が先月公開され、強制自動更新も適用された
  • レスポンシブスタイルがコアに入り、モバイルとタブレットのスタイルをtheme.jsonで定義可能に
  • 疑似状態スタイルでホバー、フォーカス、アクティブをテーマから制御できる
  • SVG Icon APIが公開され、プラグインが名前空間付きでアイコンを登録可能に
  • 投稿エディタは常時iframe化され、リストテーブルの行ヘッダー移動も要確認
海田 洋祐

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験 ・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識 ・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験 ・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験 ・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験

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