
WordPress 7.2開発サイクル始動、Gutenberg 23.8と23.9の開発者向け新機能まとめ
WordPress 7.1「Mary Lou」が2026年8月にリリースされた。レスポンシブスタイルステート、アイコン登録機能などが含まれる大型アップデートだ。まだ更新していない場合は早めの対応が推奨される。
続くGutenberg 23.8と23.9では開発者向けの改善が多数入っている。コードリファレンスの実行可能コード例、ブロックのキーボードショートカット宣言API、テーマJSONスキーマの修正など、実務に直結する変更が多い。
WordPress 7.2のBeta 1は2026年10月20〜22日、正式版は12月8〜10日に予定されている。本記事では2026年9月時点の開発者向け変更点を整理して解説する。
コードリファレンスがブラウザ上で実行可能に

WordPress公式のコードリファレンスで大きな変化があった。コード例をその場で実行できるようになったのだ。WP_HTML_Processorクラスのclass_list()メソッドのページを開き、「Run」ボタンを押すと、Playgroundを使った実際のWordPress環境でコードスニペットが実行される。
従来のコードリファレンスは静的ページであり、コード例を読むだけだった。だが今回の変更で、関数の動作確認がブラウザ内で完結する。ドキュメントと関数定義が同じファイルに存在するため、コードと実行結果の乖離が起きにくい構造だ。
実装方法はDocBlocksの中に「php interactive」というコードフェンスを書くだけ。関数の説明コメント内に実行可能なコードを埋め込む仕組みで、ドキュメント提案として長く議論されてきた内容が実現した形だ。
ブロック開発の新APIと改善点

キーボードショートカットを宣言的に定義可能に
Gutenberg 23.9では、ブロックのキーボードショートカットを宣言的に登録するAPIが追加された。これまで「Alt+Shift+2」で段落をHeading 2に変換する機能はハードコードされており、エディタパッケージごとに個別実装が必要だった。
新しいAPIでは、ブロックバリエーションにshortcutオブジェクトを指定するか、ブロック変換にshortcuts配列を指定する。後者の場合、1つの変換で最大6つのショートカットをまとめて定義できる。
インナーブロックテンプレートがブロック設定へ移行
Gutenberg 23.8では、templateとtemplateInsertUpdatesSelectionがブロックタイプ設定として追加された。従来のInnerBlocksコンポーネントのpropsを使う方式は非推奨となり、WordPress 7.2リリース前に移行することが推奨される。
この変更の背景にはリアルタイム共同編集の開発がある。propsベースの方式はマウント後にテンプレートを適用するため、3人の共同作業者がドキュメントを開いている場合、Listブロックを挿入すると3つのリスト項目が生成される問題があった。ブロックタイプ設定として宣言することで、ブロックとテンプレートが単一のストア操作で処理される。
kebab-case変換がJSとPHPで完全一致
WordPress Coreの_wp_to_kebab_case()は、数字の扱いに関して一般的なライブラリと異なる挙動をしていた。今回、JavaScript側でも同じ変換結果を返す@wordpress/kebab-caseパッケージが公開された。
kebabCase(‘font2xl’) → font2xl
kebabCase(‘white4th’) → white4th
kebabCase(‘font2xl’) → font-2-xl
kebabCase(‘white4th’) → white-4th
このデモで示したように、JSとPHPの間でスラッグ生成ロジックが統一された。ブロック名やCSSクラス名の変換で環境による差異がなくなる。
エディタが管理者カラースキームに対応
投稿エディタ、ウィジェットエディタ、カスタマイザーのウィジェットエディタが、アクティブな管理者カラースキームを反映するようになった。getAdminThemeColors()が@wordpress/admin-uiの公開APIとして提供され、拡張開発者も同じ仕組みを自前の管理画面に組み込める。
Data Viewsの改善と時刻フィールド追加
DataViewsパッケージからプライベートAPIの依存が排除された。これまで同パッケージをプラグインにバンドルすると「ロックされていないオブジェクトをアンロックできない」というエラーが出る問題があった。対応に伴い、CalendarやRangeCalendarなどのコンポーネントが公開APIとして移行している。
Gutenberg 23.8ではtime型のフィールドも追加された。営業時間やイベント開始時刻、予約枠など、日付を伴わない時刻データを扱う用途に向いている。値はHH:mm形式で保存されるため、訪問者のタイムゾーンに左右されない。
テーマ開発者向けの変更点まとめ

theme.jsonスキーマの修正
WordPress 7.1で導入されたレスポンシブスタイルステートと擬似クラスステートのスキーマが不完全だった。Gutenberg 23.8で複数の修正が入り、コードエディタでtheme.jsonを編集する際にステートが不正として表示されないようになった。
スタイルUIの制御オプション追加
blockStatesEditingEnabledとresponsiveEditingEnabledという2つのフラグが追加された。block_editor_settings_allフィルターを通じて無効化できる。クライアント向けのサイト構築で、設計済みのスタイルを崩させずに編集機能をロックダウンする用途に有効だ。
label要素とフォーム要素のスタイル対応
Gutenberg 23.9ではlabel要素がtheme.jsonのスタイル対象に追加された。styles.elements.labelで指定でき、Search、Form Input、Post Comments Form、Archives、Categoriesブロックなどでレンダリングされるlabelタグに適用される。
続けてcite、textInput、select要素もエディタのStylesインターフェースから直接編集できるようになった。エディタのTypographyパネルとColorsパネルで操作できる。
GroupブロックのblockGapが軸別指定に対応
GroupブロックのblockGapサポートが水平方向と垂直方向の両方に対応した。theme.jsonでblockGapの値として通常の文字列に加えて、topとleftのキーを持つオブジェクト形式を指定できる。エディタUI上ではflexレイアウトとgridレイアウトでのみ軸別コントロールが表示される。
そのほか、Listブロックがwideとfullの配置をサポート、Query No Resultsブロックがボーダーとスペーシングをサポート、Query Loopブロックがblock gapをサポートするようになった。Accordion Headingブロックのtheme.jsonスペーシングがトグルボタンに正しく適用される修正も入っている。
Playgroundの進化とWordPress 7.2の展望

WordPress PlaygroundがWebMCPに対応した。これはAIエージェントが呼び出せるツールとしてブラウザ内のアクションを公開する草案APIだ。PlaygroundはWordPressをネストされたiframeで実行するため、新しいプロキシが埋め込みサイトのツールを外部ページに広告し、呼び出しを転送する仕組みになっている。
さらに、Playground上でWordPress 0.7まで遡って実行できるようになった。設定パネルで「Include older versions」にチェックを入れると、6.2までの全バージョンが選択肢に含まれる。PHPのバージョンも自動的にペアリングされるため、「いつこの機能が壊れたのか」を確認する用途に役立つ。
このタイムラインで示したように、WordPress 7.2の開発サイクルは約2ヶ月にわたって進行する。開発者向け機能の実装状況を確認しながら、互換性の検証を進めるのが良いだろう。
この記事のポイント
- コードリファレンスがブラウザ上でコード実行に対応、Playgroundを使った動作確認が可能になった
- ブロックのキーボードショートカットを宣言的に定義するAPIが追加された
- インナーブロックテンプレートはブロックタイプ設定への移行が推奨される
- theme.jsonのスキーマ修正とスタイルUIの制御オプションでテーマ開発が改善された
- WordPress 7.2は12月8〜10日に正式リリース予定、Beta 1は10月20〜22日

・ 複数業界における17年間のデジタルビジネス開発経験
・ ウェブサイト開発のためのHTML、PHP、CSS、JavaScript等の実用的知識
・ 15ヶ国語対応の多言語SaaSの開発経験
・ 17年間にも及ぶ、Eコマース長期運営経験
・ 幅広い業界でのSEO最適化の豊富な経験
